【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

　卒業証書の授与が行われている最中、在校生として参列していた椎井莉鳥は思索に耽る。
　――何を考える必要があるのだろう。もう、二人の関係は終わっている。あの時、納得して別れた。
　それなのにダラダラと関係が続いているように感じた。同じ学校に通っているから嫌でも目に入る。ばったり出会えば言い合ったりして、そんなことが積み重なって今のよくわからない状態を作り出した。
　卒業生の名前が呼ばれた。男子で緊張した顔のまま、舞台に上がった。莉鳥は一瞥しただけで目を伏せた。
　――あの正月以来、雅樹とはほとんど会話をしていない。学校の廊下で相手に気づけば適当なところに身を隠す。通学路で見かければ別の道をいく。そうやって互いに会うのを避けていた。
　こんな状態で会ったら、どうなるのだろう。心の中に燻っている思いが再び熱く燃え始めるのだろうか。この感情をどのように呼べばいい？　単なる未練……それとも……。
　その時、北里雅樹の名を聞いた。莉鳥は瞬間的に姿を捉えた。目で追い掛けて顔を横に向けて切り離す。
　――冗談じゃない。身体の関係は二回だけ。気の迷いでキスをして、そんな繋がりがなんだって言うのよ。
　マイクを通して声が聞こえる。莉鳥は抗いながらも横目で雅樹を見つめた。