【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――｜リアクション

【卒業式】青い空に想いを解き放ち、私達は今――

卒業式
　卒業式の当日を迎えた。そのせいなのか。森篠琳子の目覚めは早かった。
　特に思うことはない様子で起き上がる。寝間着の状態で部屋を出ると洗面台でうがいを済ませた。
　キッチンには誰もいなかった。椅子の背もたれに掛けられていたエプロンを身に付けて朝食の用意を始める。
　ベーコンエッグの香ばしい匂いが満ちる頃、母親が姿を現した。少し遅れて妹が目を擦りながら自分の席に着く。
　いつもの朝食となり、合間に出た卒業式の話に琳子は言葉を添えて頷いた。
　食べ終わると各々が食器をシンクに運ぶ。洗い物は母親に任せて琳子はきびきびと動いた。洗面台で歯磨きと洗顔を終えて自室に戻る。
　クローゼットを開けると動きが止まった。制服の横に吊るされた真新しいスーツに目が留まる。
「……新しい制服になるのね」
　噛み締めるように言うと寝子島高校の制服に着替えた。表情を引き締めて玄関に向かった。