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さくら、たちばな、ももの花。~ひなまつり in ねこじま~
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近くのスーパーで両手に持てるだけのお菓子やジュースを買い込み、よいしょよいしょと戻っていた夏朝が堤防沿いの道で出会ったのは、散歩途中な
仙藤 紫
と
仙藤 蒼
の姉妹だった。
「こんにちは、仙藤先輩」
「今日は、恵御納さん」
「わ、お菓子いっぱいだね!」
紫の肘に掴まってご機嫌な蒼が目を輝かせて笑う。こら、と姉に優しくたしなめられて、蒼はまたカラリと笑った。
「こんにちは!」
「うん、こんにちは」
挨拶を交わす少女たちを目ざとく見つけたか、
「夏朝さん、お荷物お持ちしますよー!」
海岸への入口になっている堤防の切れ目で待ち受けていた衛士が狩衣の袖を揺らしてぶんぶんと手を振った。
「ううん、大丈夫……」
「せめて半分くらいは持たせてください」
人の好さそうな笑顔を浮かべる、まるで雛人形のような恰好をした男は蒼と紫にも変わらぬ笑顔で話しかける。
「お二方もよろしければ如何ですか」
男に声を掛けられ、仙藤姉妹は顔を見合わせた。どうやらまた何かしらの『フツウ』な出来事が起こっているらしい。
「いやあ、実は……」
衛士から流し雛たちの事情を聞かされ、実際に海岸線に錨を下ろした宝船や集って宴を開いている雛たちの姿を見、
「行こう、お姉ちゃん!」
先に声を上げたのは妹の蒼の方。
海岸を散歩したあとは星ヶ丘か神社に行くつもりではあったけれど、話を聞いてしまったからにはこのまま海岸で流し雛たちを見送ってやりたい。なにより、こっちも楽しそうだ。
「そうね」
目を輝かせる妹に、紫は頷いて返す。宴の賑やかしになればいいだけのようではあるし、なにより蒼が危険にさらされるようなことはなさそうだ。
(まあ、それで済むのなら)
姉妹の様子に満面の笑みを返し、衛士は夏朝から結局ぜんぶ荷物を受け取って宴の場へと向かう。
「夏朝さんからの差し入れですよー」
衛士の呼びかけに、官女たちがわらわらと集まってきた。夏朝を囲んで礼を言いながら、どこからか取り出した器にお菓子を盛りつけ茶器に飲み物を注ぐ。あっと言う間に宴を楽しむ人々へ差し入れの品々を配ったかと思えば、
「さ、ささ、」
仙藤姉妹と夏朝を囲み、おもてなしとばかりに漆塗の盃を進めてくる。うっかりと手にした紫と蒼の盃に注がれたのは、桃の花びらを浮かべた白酒。
「すみません、まだお酒は……」
「ごめん、未成年だからお酒はダメ」
初手から出される酒に慌てて丁重に詫びる紫と首を横に振る蒼に気を悪くした風もなく、それではと別の盃に満たした果汁が供された。
「ありがとう、いただきます!」
遠慮なく手を合わせ、官女たちや衛士たちと屈託なく話をしたりお菓子をつまんだりとすぐさまその場に馴染んでみせる妹を、姉は静かに眺める。差し出されるまま勧められるままに飲食しつつ、それはそれなりに楽しみつつ、紫はそっと瞳を伏せる。
(何をどうすればいいのか……)
賑やかしになるだけならばと参加はしてみたけれど、出来得るなら役に立ちたい。海の向こうに行く流し雛たちを見送るため、自分には果たして何ができるだろう。
生真面目に悩む姉に構わず、妹の方は衛士たちに誘われるままに弓矢を手にする。向かうは波打ち際、鏃を向けるは浜辺に錨を下ろした宝船の舳先に結わえ付けられた扇。挑むは弓矢での扇落とし。
「こういうの、やったことないよ?」
「大丈夫だいじょーぶ、こうやって引いてー、適当に狙ってー、」
「えっと、……こうやってー、」
隣に立って弓を引く衛士の動きに倣い、見様見真似で弓矢を構える。
「南八幡大菩薩!」
周囲で野次馬と化した雛たちの掛け声と共、衛士が弓矢を放つ。ひょう、と海風を切った矢は扇の端を掠めてあさっての方向に飛んで行った。
「なむはちまんだいぼさつ!」
掛け声を真似て蒼の放った矢も、海へと落ちて消える。
「難しいよ、これ!」
「なんの、次なる矢!」
さっと渡された矢を弓に番え、蒼は深呼吸をひとつ。ひとつ外したことで、むしろ持ち前のゲーマー根性に火が点いた。ひとつがえ、ふたつがえ。ひとつ外すごとに目測を正し、ひとつ外すごとに弦を引く力を正す。
(……よし)
幾度か外して後、蒼は少し離れた席で見守っていてくれる姉をちらりと見やった。
「お姉ちゃん!」
呼べば姉は小さく頷いて返してくれた。姉のまなざしに十全の力を得て、蒼はいっそ朗らかに笑う。
「お姉ちゃん、見てて!」
神様よりも姉に呼びかけ、蒼は一瞬の集中ののちに矢を放った。
ぱん、と射貫かれた扇が軽やかな音を立てて宙に舞う。
おお、と野次馬連から歓声が上がった。やった、と蒼はその場で飛び跳ねガッツポーズを決める。姉に向けてピースサインを送る。
コツを掴んでしまえばあとは蒼の独壇場。次の矢も次の矢も、舳先に扇が掲げられた先から射落とし、
「いやあ、参った!」
「引き分けとは言え、初めての相手にこのざまでは負けも負け!」
とうとう衛士たちに楽し気な悲鳴をあげさせるに至る。
遊びながら才能を発揮する妹を誇らしげに見つめる姉に、
「さ、紫さんも」
差し出されたのは妹が射落としたものとよく似た扇。はらりと扇を開き、紫は睫毛を伏せる。妹のような技の披露はできないまでも、
(舞うくらいなら……)
なんとか出来るかもしれない。
いつかにテレビで見た歌舞伎や古舞踊、現代舞踊にバレエ、さまざまの舞を考えてはみるも、目前の流し雛たちがどんな舞を面白いと思うのか、
(ちょっとわからない、けれど)
考え考えその場に立てば、周りの雛たちが待ってましたとばかり周囲に散らばった盃や器を片付けて舞台じみた空間を作ってくれた。
ぐるりと雛たちに囲まれ、期待のまなざしを向けられ、紫は戸惑いつつもそっと息を整える。上げた視線の先には、キラキラした瞳の妹が三角座りをしていた。
誰よりも先に妹から力いっぱいの拍手をもらい、
「がんばれお姉ちゃん! お姉ちゃんは立ってるだけでも素敵ー!」
その上ものすごく熱と愛のこもった声援まで受けて恥ずかしく思うと同時、思わず頬が緩む。
(もう……)
唇からついて出たのは、妹が最近好きな歌。
たまに家族でカラオケに行けば決まって姉妹でデュエットする歌をのびやかに口にして、雛たちと妹の手拍子に合わせて扇を片手にふわりひらり、舞ってみせる。
歌がサビに入る頃、率先して手拍子をしてくれていた妹がやおら立ち上がった。どうやら見ているうちに踊りたくなってきてしまったらしい。
くすりと笑みが零れた。割り込んできた妹をくすくす笑いながら迎え入れ、歌に合わせてぱちんと両手を叩き合わせる。息の合った歌と舞を雛たちに披露する。
(舞……かぁ)
白酒に顔を真っ赤にした右大臣左大臣や随身たちにやんやの喝采を受け、少し困惑したような恥ずかしいような表情で宴席の端に引っ込む紫と、大はしゃぎでみんなに手を振る蒼に拍手を送りながら夏朝は思案する。
(専門じゃないけど)
隣に居た雛のひとりに頼み、蜜柑色の羽織を借りてふわりと纏う。
仙藤姉妹が引いて空いた舞台にそっと立てば、拍手が飛んできた。膝をついて楚々とお辞儀をして後、演劇部で培った舞台度胸を活かして即興で舞ってみる。
寝子島が好きで寝子島に戻って来てしまった気のいい流し雛たちが、せめて望むところへ行けるように、
(彼等の、皆の、そして僕等の願いが叶うように……)
心からの祈りを込めて、春風と桃花に遊ぶ子猫のように朗らかに羽織の裾を翻して舞う視界の端、見送りの宴の席につこうとしている修とあおいが映った。
菜の花の如く淡く微笑む友人に、修は小さく手を振る。
「間に合ってよかった」
寝子ヶ浜海岸の異変を知ってタクシーを拾い、急いで来た甲斐があるというもの。おかげで宴にも友人の舞にも間に合った。
(……気も引き締まる)
海岸に舞い戻った流し雛たちを見回し、修は瞳を細める。
彼らはきっと、たくさんの人々のたくさんの願いをその身に負って、これから海の果てまで旅をする。
隣のあおいと笑みを交わし、海岸に至る途中の画材店で購入していたアクリルペイントマーカーと、浜で拾い集めた波に洗われ丸くなった手頃な大きさの石を宴席の端に広げる。
何するの、と興味津々で寄ってきたユニや寝子島の人々も交え、石にマーカーで服と顔を書き込む。
「簡単で良いんだ、立派に人形になるよ」
楽し気なあおいたちや悪戦苦闘するユニに笑いかけ、修も石に絵を描きつける。舞を終えた夏朝も参加して、みんなでたくさん作り上げたのは掌に握りこめるほどに小さな石のお守り人形。
「可愛くできたね」
「修君は?」
あおいに手元を覗き込まれ、修は思わず掌に石を握りこんで隠した。
「俺のも、まあまあ……かな」
出来上がったお守りを雛のひとりひとりに渡すころには、見送りの宴もたけなわ。お雛さまとお内裏さまがお礼の言葉を述べたを合図に、雛たちは次々に船に乗り込んだ。
錨が上がる。
衛士たちが船縁で長い櫓を漕げば、如何なる不思議の力か、船は容易く沖を目指し始める。
「それじゃ、また……君達の旅路に幸あれー!」
海の彼方へと旅立つ流し雛たちに、夏朝が大きな声で呼びかけて大きく手を振っている。
「楽しかったよー!」
「さようなら──」
元気いっぱいに両手を振る蒼の隣、紫も水平線の彼方を眩し気に見遣って手を振る。見えなくなるまで見送る。
「たくさん食べてくれてありがとー」
「いってらっしゃーいっ」
空っぽのお弁当箱を抱えて笑う幸次の隣では、千早と手を繋いだユニが懸命に手を振る。
「行っちゃったね」
「きっと彼等も幸せになれるさ」
夏朝と一緒に手を振り、少し寂しそうな顔をするあおいに、修は優しく笑いかけた。海を見つめ、あおいを見つめ、祈るように囁く。
「俺達も、幸せになれるよ」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月22日
参加申し込みの期限
2020年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月29日 11時00分
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