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さくら、たちばな、ももの花。~ひなまつり in ねこじま~
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春のコートを揺らす夜風が沈丁花の香りを帯びている。
夜に沈んで静かに咲く花に彩られた寝子島病院の花壇の前を過ぎながら、
志鷹 若菜
は街灯に照らし出された職場を仰いだ。
病棟よりも高い空に、月が白く輝いている。
(……どうか)
小指の指輪にそっと触れて祈るのは、自分と同じ病院で救命医として働く双子の弟のこと。
(平穏な夜でありますように)
指輪に煌めく月長石と空に輝く月に願いを捧げ、ローヒールの靴音を夜道に響かせて歩いて行く。
勤務先からほど近い橋を渡った先に、弟と共に暮らすマンションがあるけれど、今は帰りたくなかった。心身は疲れ果てていて、だからこそ、ベッドに伏せたところで眠れるはずがない。
瞼を閉じれば、半月以上前の光景がまざまざと脳裏に浮かんだ。愛しいひとの身に刻まれた、凄惨な傷痕。
途端に息が詰まって、胸が痛んだ。足が止まる。うずくまってしまいたくなる気持ちを歯を食いしばって堪え、無理矢理に息を整える。固まってしまいそうな足を強引に動かし、夜の中を進む。
闇の向こう、潮騒の聞こえるところへ向かう。
(……ユニ君)
闇よりも深い色した海の底に棲む、蒼い髪の少年の小さな背中が、心に浮かんで消えない。
ひな祭りの彩りが取り残された町を横目に過ぎ、夜の砂浜に立つ。波と風の音に息を吐き、砂の上を歩く。波打ち際に至る。
「ユニ君」
水底に棲む少年の名を呼ぶ。
波に耳を澄ませるよりも早く、
「若菜!」
元気のいい声は、少し離れた場所から聞こえた。
海からではなく砂浜から聞こえたその声に驚き、首を巡らせる。いつもなら呼びかけに応じて海から現れる少年は、今日は砂浜に打ち上げられた流木の上に座っていた。
「若菜だ! 若菜!」
こちらを見つけるなり流木の上に立ち上がり、かと思えばぴょんと飛び降りて子犬のような仕草で駆け寄ってくる。
「久しぶり。ユニ君」
会いに来れなくてごめんね、と囁く若菜の手を取り、ユニは笑った。
「若菜の手、おれより冷たい」
「もう春になっちゃったね……」
「うん、春だ。今日はひなまつりの日なんだ、おれ知ってるよ」
もしかすると昼間にひなまつりを楽しんだのかもしれない少年の細い肩を柔らかく抱擁する。くすぐったそうに綻ぶその頬を両手で優しく包む。
「桃の花の匂いだ」
掌に押し付けられる少年の頬の感覚に、若菜はそっと微笑んだ。
「お母さんがバームを作って送ってくれたの。いい香りでしょう?」
掌を離せば、ユニは自分の頬をごしごしと擦った。掌の匂いを嗅ぎ、同じ匂いだ、と嬉しそうな顔をする。
「若菜、こっち!」
同じ匂いのする手に引かれ、砂浜を渡る。寝子島街道と海の間に造成された小さな広場に行き付いて、ユニは月の空を仰いだ。空との間に咲いているのは、まだ浅い春の夜を彩る桃の花。
勿忘草やネモフィラの空色の咲く花壇を囲うベンチに並んで座る。
「そうだ、ユニ君」
若菜が鞄から取り出したのは、若菜が務める小児科病棟で催されたひな祭りでお裾分けしてもらったひなあられ。淡い色した丸い粒を掌に乗せ、ユニは海色の瞳を輝かせた。
「今日はこの『ひなあられ』っていう可愛いお菓子を食べる日なの。甘くて美味しいんだよ」
一粒一粒を指先につまんでは口に運び、食べる度に笑いかけてくるユニに応じて微笑みを返す。ユニの笑顔に、月に照らし出された碧い景色に、思い出すのは共に過ごした時間。
たくさんの愛おしい思い出が詰まった大切な場所で、──この寝子島で、愛しい少年との時間が走馬灯のように蘇る。
「……ねえ、ユニ君」
「うん」
「初めて逢った日のこと覚えてる?」
「……じいちゃんが、若菜たちのことを呼んでくれたんだ」
海色の睫毛の影を白い頬に落とす少年の肩を抱き寄せ、若菜は傍らに置いた鞄から風鈴を取り出した。
「ユニ君と出逢った日にアレスさんからいただいたの。私の宝物」
懐かしく微笑んで、祈るようにそっと鳴らす。
「ここに付いている小さな石はユニ君がくれたシーグラスだよ」
春風にも似て軽やかに優しく鳴るその音色に、ユニは小さな小さな息をひとつ零した。
「この島に来て、この海で貴方と出逢えて、私はとても嬉しかった」
彼の海はもう無いけれど、亡くしたものの代わりには決してなれないけれど、彼の心を少しでも慰めることが出来ていたならば──
「……貴方の心に、私はどう映っているのかな」
呟く若菜の横顔を、ユニは見上げる。ひどく寂しく傷ついて見えて、それでも微笑もうとしている、美しく哀しい横顔。
「……おれ」
若菜を照らす月を睨むように少年は立ち上がる。
「おれ、憶えてるから。若菜のことも、若菜がしてくれたことも、かけてくれた言葉も、ぜんぶ。おれが存在し続ける限り、ずっとずっと憶えてるから」
蒼い月影の中にまっすぐに立つ少年に、若菜は腕を伸ばす。小さな身体をぎゅっと抱きしめる。
「おやすみ、ユニ君。いい夢見てね」
別れの言葉の代わり、全身全霊で伝える。
これまでも、これからも、愛してる──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月22日
参加申し込みの期限
2020年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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