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寝子島高校
さくら、たちばな、ももの花。~ひなまつり in ねこじま~
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三月三日に母から届いたのは、やたらに重い箱だった。
(また仕送り……)
休日の恒例になっている猫探しに意気揚々と出かけようとした出鼻をくじかれ、
万条 幸次
は寝ぐせがついたままの頭を掻く。
にゃあ、と宅配便のお兄さんに警戒して引っ込んでいた飼い猫の花遊が部屋の奥から顔を出した。
「開けてみようか」
段ボールの中からまず出てきたのは、緩衝材代わりの新聞紙に包まれた猫キャラクターつきの大きな弁当箱。妙にずっしりとした弁当箱にぎっしり詰められていたのは、
「ひなあられ……?」
それにしては開いた途端にバターと砂糖の甘い匂いがした。
『手作りだから早めに食べてね』
弁当箱の蓋につけられていた手紙を読みつつ、一粒つまんでよくよく見てみる。小さくて丸くてピンクと緑と白で、一見ひなあられに見えるそれは、よく見れば一口サイズのクッキーだった。
(母さん、三月三日にはちらし寿司とか作ってたもんな)
息子一人の家で、さすがにひな人形はなかったものの、きちんとそれなりにひなまつりを楽しんでいた母の大らかな笑顔をちらりと思い出す。
ふわりと栗色の瞳を和ませる幸次の膝に、足音もなくやってきた花遊がごしごしと頭を擦り付けてきた。反射的に撫でてやりつつ、更に箱の中を探る。続いて出てきたのは、ひなあられっぽい猫用のおやつ。
「よかったな花遊!」
にゃ、と返事する花遊と笑いあうも、更に出てきた猫用の桜の花の被り物に幸次はうーんと首を捻る。被ってもらって写真を撮って送ってやれば、母はきっと喜ぶだろうけれど、どう考えても花遊は嫌がりそうだ。
被り物の気配に気づいて脱兎の勢いで駆け去る飼い猫の背中を眺める。片手に持ったまま持て余した花の被り物を自分の頭に着けてみようとして、猫の頭の大きさと高校生男子の頭の大きさが合わずに断念する。
ついでに遠目に胡散臭そうに見つめてくる花遊にへらりと笑いかけて、幸次は被り物をそっと段ボールに封印した。
母手作りのひなクッキー弁当は手提げ袋に詰め直す。
(今日は島でもお祭りやってるみたいだし)
寝子島神社のひなまつり、星ヶ丘のひなまつり。どちらに向かうにしても、せっかくの春の休日、お菓子を持って出かけよう。
(見物しながら食べ歩きもいいんじゃないかな)
猫写真を撮る用のカメラも忘れず首から提げて、今度こそ意気揚々とアパートを出る。まだ少しひんやりとした空気の残る旧市街を猫のように気ままに歩く。足の向くまま気の向くまま、昼前の優しい太陽の日差しに瞳を細めて、
「あ」
紋白蝶を追う白靴下猫を見つけた。ご機嫌に揺れる尻尾を追いかけて、辿り着いたのは寝子島街道と寝子ヶ浜海岸を隔てる堤防の前。
勿忘草とネモフィラの青に埋められた小さな花壇には、蕾を付け始めた白木蓮や桃の樹。蝶を追うのに飽きた白靴下猫は花壇を囲うかたちで据えられたベンチの上に飛び乗って、海からの春風に透明髭をなびかせている。
思わずカメラを構えそうになったとき、花壇の向こう側にデジカメを手にした眼鏡の青年を見かけた。おっと、と後退る幸次に気づいて、デジカメの画面を見つめていた青年の視線が動く。
「……」
知らぬ顔で陽だまりのベンチで香箱を組む白靴下猫を撫で、
神代 千早
はカメラを提げた男子高校生に小さく会釈をした。
被写体な猫を無言のままに譲り、ベンチの傍に留めていた自転車を花壇の広場の端に設けられた自転車置き場に留め直す。眼鏡の視線を向けるのは、堤防の向こうの砂浜の際を黄色く彩る菜の花や蒲公英。
春の花を手前、春の海を背景にシャッターを切る。
猫又川の流れこむあたりには、寝子島神社からの流し雛が次々とたどり着く。桃色の人型紙を乗せた緑色の笹船が春霞の海へと流れて行く光景は、きっといい画になる。
同じように考えて海岸にまで足を延ばしてきたらしい見物客を見遣る。流し雛が河口に辿り着くまではまだ少し時間がかかりそうだ。
海に続く階段に腰を下ろし、波の音に耳を澄ます。春の色に淡くぼやける水平線を眺める。
打ち寄せる波の音に誘われ、夏の夜の夢が──蒼く碧い水底の色が、繋いだ冷たい手が、ふわと浮かび上がる泡の輪が、さざなみの如く寄せては返し、寄せては返し──
白昼夢に引き込まれそうだった頭を引き戻したのは、波打ち際に遊んでいたこどもたちの歓声だった。どうやら雛が流れてきたらしい。
海に向けて幾度かシャッターを切って後、カメラを下ろす。波に返されつつも海へと向かって行く雛をじっと見送る。
人々に見送られ、誰かの願いを乗せた笹船が遥かな海へと去って行く。
ささやかな船団が遠い波間に差し掛かった頃、ふわり、沖に錦の色が立ち昇った。少し遅れて、きらびやかな楽の音が潮騒を纏って海を戻ってくる。
視線を巡らせてみれば、海岸に居たはずの人々の姿が世界から弾かれたように消えている。否、弾かれたはこちらの方か。
「……またか」
おそらく神魂の影響だろうと眼鏡の奥の榛の瞳を細める千早から少し離れて、
「着物姿の人たち……」
「もしかして、流し雛さん達……?」
同じように海の向こうから戻ってきた流し雛を目にした幸次と夏朝が目を凝らしている。
「宝船……に、雛……」
寝子島神社で願いを籠めて流したはずの雛たちが、煌びやかな宝船と衣装を纏った人間のかたちとなって戻ってきているのを茫然と眺め、夏朝は呟く。
(流し雛さん達、ちゃんと辿り着けたかな……って)
寝子ヶ浜海岸まで見送りにきて、大変なものと出くわしてしまった。
いつもの悪い癖で、今日くらいはのんびりしようと思いながらもどうしてもフツウを壊す輩の干渉を警戒してしまってはいたけれど、
「でも、……綺麗……」
『寶』の文字に染め抜かれた帆が風を受けて膨らむさまも、天人とも見紛う豪奢な着物を纏った人々が船縁から優雅に手を振るさまも、こちらに悪意を抱いているようには決して見えない。
「すみませーん、すみませーん!」
果たして、海岸に錨を下ろした宝船から駆けてきたいかにも人の良さそうな衛士は、立ち尽くすばかりの少年少女たちに己らの目的を遠慮がちに告げてきた。
「だったら……!」
母さんのお菓子が役立つのなら、と大きな弁当箱を提げ、まっさきに幸次が雛たちの集う砂浜へと向かう。無表情なままに見える千早もそれに続く。
「宴会用に色々買って来るね……!」
夏朝はひとり、急いで踵を返す。未成年でお酒は買えないけれど、ジュースやお菓子やお惣菜や、色々買って来よう。
(雛さん達と一緒に楽しもう)
くるりと返した踵を、もう一度くるりと返す。きょとんとする衛士に問うのは、撮影の可否。だって、宝船も雛の人々も、写真に撮りたいくらいに綺麗だ。
「大丈夫かな」
「大丈夫ですが、きっと映りませんよー」
ひらひらとお気楽に手を振る衛士と並び、宝船を遠景にスマホで自撮りをしてみるも、映ったのは自分の姿といつもの寝子島の海ばかり。
ちょっと肩を落とす夏朝に、衛士は穏やかに笑む。
「どうか憶えていてください。僕らみたいな流し雛が居たこと。こうして一緒に遊んだこと」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月22日
参加申し込みの期限
2020年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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