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さくら、たちばな、ももの花。~ひなまつり in ねこじま~
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桃の花が咲いている。
リビングに飾られた桃花の蕾が綻んでいるのを見つけ、
佐和崎 紗月
はもとより優し気な顔をさらにふわりと和らげた。
喫茶店を営む両親は、今日も早朝からの出勤で、だから家にいるのは自分ひとり。
咲く花に思うのは、二週間近く前の木天蓼大学の合格発表からめっきり忙しくなった恋人のこと。
入学準備に忙しいのは自分も同じではあるけれど、卒業とともに桜花寮を引き払い新しい部屋を借りなくてはならない恋人はもっと忙しい。
なかなかいい条件の部屋が見つからないと電話口でぼやいていた彼女のことを思い出す。昨日の夜のことなのに、
(声が聞きたいな)
そう思ってしまって、紗月は白い頬に桃花の色を宿らせた。
恋人である彼女──
初瀬川 理緒
は、売れっ子の現役女子高生グラビアアイドルで、先日まで事務所から『偏差値30からの大学受験』企画を課せられていた。
(すごくがんばったもんね、理緒ちゃん)
受験日前夜までいっしょに勉強していた。
前夜も当日も、ひどく思い詰めて根を詰めていた。
合格発表の日だって、いつもの太陽のような笑顔を忘れるくらいに緊張していた。発表の掲示板の前に立つことさえ彼女らしくなく怖じて、紗月に確認を託してきた。
それを隣でずっと見ていたからこそ、合格を知らされてぎゅっと抱き合ったときの彼女の笑顔が、自分の合格よりも嬉しかった。
(春からは現役女子大生グラドルだね)
受験企画が無事終わったかと思えば休む間もなく仕事のスケジュールが埋められ、
──もうね、ちょっとゲンナリじゃよ……
昨日の電話口でおどけた調子で苦笑いしていた彼女のことを思い出す。くすりと小さく笑んで、
(……逢いたい、な)
黒い瞳を伏せたとき、ポケットの中で携帯電話が着信を示して震えた。手にしてみれば、画面に表示されているのは今しも想っていた彼女の名。
「理緒ちゃん?」
ワンコールで電話に出れば、
『紗月、今日はひなまつりだった!』
大好きな恋人の華のある声が耳朶を打った。
『もうそんな季節なんだ。早っ』
ひとりで言ってひとりで笑って、だからね、と不意に真剣な声を出す。
『女の子のお祭りだから、遊ぶべきだよね』
いろんなイベントやってるし、と相槌を打つ間もくれずに言い募る。
『一緒に適当に星ヶ丘あたりでも巡ってみよう、そうしよう! ……ね、そうしよう?』
勢いよく言ってしまってから、そっと手を取るように続けてくる。甘え上手な彼女の誘いに、紗月が抗えた試しは多くない。
「理緒ちゃん」
『ん?』
「今、ちょうどね、……逢いたいと思ってた」
電話口の向こう、大好きなひとが嬉しそうに笑っている。それだけで紗月の胸はどきどきと弾んだ。
『ひなまつりデート、しよう! 今日一日遊び倒すよー!』
星ヶ丘駅前で待ち合わせ。
ひなまつりに賑わう駅は吊るし雛や桃の花に飾り立てられ、その上、着飾った女の子たちに溢れている。
星ヶ丘住宅地や高級ホテルで開催されている『ひなめぐり』イベントに向かう女の子たちの中に理緒の姿を探しながら、紗月は自分の恰好を確かめる。
(やっぱり、地味かな……)
精一杯にお洒落をしてきたつもりだけれど、駅から次々に出てくる着物姿や華やいだ姿の女の子たちを眺めていると段々不安になって来る。
それに加えて、この界隈はシーサイドタウンや旧市街とは明らかに空気が違う。柔らかな日差しまでがハイソサエティな色を纏っている気さえしてくる。
(同じ寝子島のはずなのに)
「……さっすが星ヶ丘って感じだよねー」
伏せた視線の端に、ローヒールの靴がごく自然に並んだ。ちっぽけな不安など吹き飛ばしてくれる明るい声を傍らに聞き、紗月は隣を仰ぐ。
「理緒ちゃん」
「お待たせ」
ヒーローのように現れて笑う恋人の手に思わずしがみつきたくなるのを堪える。雑誌の表紙を飾るようなグラドルに同性の恋人がいるというのは、それだけでスキャンダルになりかねない。
(仕方ないよね)
伸ばした手を引っ込めかけた瞬間、ひょいとその手を掴まれた。
「行こう、紗月!」
仲の良い親友同士のように手を繋いで、理緒は先に立って颯爽と歩き始める。凛と伸びた背筋に堂々と張った胸、なにものにも怖じない足取り、前を見据えるまなざし。何気なく歩くだけでも、彼女は人目を惹きつける。
以前は引け目を感じたりもしたけれど、今は、そんな彼女の隣を歩けることがとても誇らしかった。だって彼女はきっと、どうあっても、
(私を、好きでいてくれる)
だからせめて背筋を伸ばそう。大好きな彼女の隣を歩いて行こう。
右を見ても左を見ても豪邸だらけの星ヶ丘の住宅地の路を辿って、
「あ」
理緒が足を止めたのは、星ヶ丘寮の一角だった。可愛らしい吊るし雛と雪洞が飾られている。
「これ、入っていいんだよね?」
「うん、そのはずだよ」
一歩入ると、外側からは考えられないほど広い日本建築の空間が広がっていた。
「ひええ」
「折角だし、拝見させてもらおう、理緒ちゃん」
ふたりで恐る恐る進み、桃の花が香り立つ日本庭園を横目に玄関先に立つ。開け放たれた引き戸の向こうには、広い三和土と上がり框があった。
「玄関だけであたしの寮の部屋以上だわ……」
黒い目を瞠り溜息を理緒に、紗月は小さく頷くばかり。
声を掛ければ、奥から和服姿も可憐な黒髪三つ編みの女の子が現れた。
「ようこそいらっしゃいました、どうぞごゆっくりご覧ください」
膝をついて丁寧に挨拶をしてくれる、同じ高校の後輩には違いない女の子に、ふたりはお邪魔しますとお辞儀を返す。
立派な日本庭園を臨む長い廊下を通って案内された広い座敷には、十段飾りの雛壇があった。お茶をお持ちします、と言い置いて離れる後輩に礼を言い、紗月は日当たりのいい場所に用意された座布団にそっと座る。雛壇の傍に置かれた小さな座布団は、もしかするとさっきの女の子と暮らしている小さな生き物の特等席なのだろうか。
「あれだよね、江戸時代から伝わる国宝級のお雛様とかだったりするよね」
雛壇の置かれた緋毛氈ぎりぎりに立ち、立派すぎる雛飾りをまじまじと眺め、理緒は溜息を零す。
「……さすが星ヶ丘の住人のお雛様って、高級感が半端ない」
実家のお雛様なんか霞んで見えちゃう、と溜息ばかりを繰り返す。
普段のノリの良さも騒がしさも嘘のように大人しい理緒がとても可愛らしく見えて、紗月が小さく微笑んだとき、
──きょきょきょ!
座敷に面した庭から鳥の鳴き声が大きな響いた。
「ひゃっ?!」
ぎくりと身を固め、理緒はどこか慌てた素振りで紗月の隣の座布団に畏まる。客人を驚かせることを楽しんでいるかのように、庭のどこかで鳥の羽ばたきが聞こえた。
「……もしこれうっかり倒したら、あたしのグラドルとしての稼ぎじゃ絶対に弁償できないかも」
「あはは……理緒ちゃん、そんなこと考えなくていいよ」
お雛様を仰いで顔を強張らせたかと思えばなんだか俗っぽいことを口にする理緒に、紗月は返事に困ってしまった。
普段の暮らしでは滅多とお目にかかれないような上品なお菓子とお茶を頂き、お屋敷じみた星ヶ丘寮をお暇する。
「うー」
春の空にぐうっと伸びをして、理緒は緊張から解き放たれたように笑った。
「どこか適当なところで休憩しよう」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月22日
参加申し込みの期限
2020年10月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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