決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来｜リアクション

決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来

●第十一階層、苦手なものも元気のモト！

　第十一階層は極寒の雪の世界。
　さくさくぎゅっと雪を踏んで歩いてくる一人の少女が長い金髪をなびかせている。
　毛皮の外套の中は異国風の装束とバンダナ。胸はかなり大きめだ。
　ルーク・ポーラスターとアリス・ミーティアが合体した姿――アルスであった。
　アルスが雪にうずもれた村の一軒の家を訪ねると、中からひとりのオヤジくさい男が辛気臭く顔を出した。
「神威……落ち込んでるね」
「ウェイ。合体するなら女の子と合体したかったっすよ……まあ、入って」
　アルスを迎えたのは、第十一階層のアステリズム、ジェリコ・神威with村のオヤヂ。
「少しの辛抱でしょ。もう元気がないなー。あー、元気がない時は美味しいもの食べて元気を出そう！」
　アルスはそう言うと、いそいそと胸元から弁当箱に似た箱を取り出した。
「何っすかそれ」
「らっきょうの酢漬けだよ。弱点克服しようって言ったの憶えてる？　食べれるよね？」
　神威の顔がみるみる歪んだ。匂いの強いものが苦手で、ラッキョウはその最たるものなのだ！
「無理ッ。無理っス！」
「逃げないでよ。神威、おじさんの力を借りれば食べれるでしょ」
「村のオヤヂにそんな力ないッス！」
「だめだよ。好き嫌いしてたらまた付け込まれるよ。はい、あーん」
　アルスがらっきょうを爪楊枝に刺して神威の口元に運ぶ。
「無理無理無理ッ、あ、ああーーーーーー！！」
　どうやら体の中のオヤヂが食べる気になったらしく、神威は意に反して口を開けてラッキョウをぱくり。
「んぐーーー、んむうーーーー」ごくんっ！
「はい、もう一個どうぞ！」
　目を白黒させる神威だったが、元気というか逃げる気力のようなものは沸いて来たらしい。
「もう勘弁っすーー！」
「逃げてらたら落ち込んでるのも吹っ飛ぶでしょ。おじさんと意外と合うかも？　神威、待ってー」
「パーツの金具とやらは渡すんでーーもう帰ってーーーー！！」