決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来｜リアクション

決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来

●第十二階層、微妙なラインを探して（２）

「何やってんだこれ」
　大鎌を構えたふたりの男女の影が、四つん這いになったリサと、その谷間を覗こうとやっぱり四つん這いになっていたバーガンディの背に落ちた。男は銀髪で目つきが鋭く、女は男と双子のようによく似た顔立ちで腰まであるストレートヘアにモデル体型である。
　男の方は滝原レオン。女の方はレオンから分離した女のレオン、怜であった。
　彼らは分離した互いを見た瞬間こそ大変なことになったと驚いたが『あーもう！　やるしかねえ！　女の俺……いやもう面倒だから怜でいい！　行くぞ怜！』『面倒とか言わないで！　行くけど！　あと怜でいいけど！』といった協議の末、第十二階層へやってきたのである。
「おいじーさん、パーツよこせ！」
　レオンが単刀直入に切り出すと、怜がすぐさまレオンの頭をひっぱたく。
「そんな言い方で渡してくれるワケないでしょ！」
「そうぢゃそうぢゃ！　わし、男に興味ないもんね！」
　なんだよこのジジイ……と拳を上げかけるレオンを目顔で止め、怜は甘ったるい声でバーガンディの耳元に息を吹きかけた。
「ねえおじいちゃん、お願い……ダメ？」
「うほぅ……キツめのお姉さんっていうのもいいのう！　もうちょいっと見せてくれるとええかんじなんぢゃがのう……」
　……もっと見せろだぁ？
　キレかけるレオンをなだめ、怜は少しずつ胸元をはだけさせた。
「じゃあ、これでどう？」
「もうちょいっと！」
「これは？」
「ええんぢゃが何か足りん気が……そうじゃリサちゃん。怜ちゃんも濡らしてあげてくれんかのう？」
「いいわよ。こう？」
　リサは先ほど自分にしたように、怜の胸元に水をかける。これで怜も濡れ透けだ。
「それからリサちゃんと怜ちゃんので、わしをパフパフしてくれんかのう？」
　調子に乗るのもいい加減にしろ！　と思ったが、怜が黙っててと睨むので言葉を飲むレオン。
　むにゅっ、むにゅにゅっと濡れた美乳を左右からバーガンディのほっぺたに押し付けると、バーガンディは昇天しそうな蕩けた顔になった。
「これでいい？　いいのね？　……ねえお願ぁい、パーツちょうだい？」
「うほほ～～～。ええよ。ほい、これぢゃ～～い」
　バーガンディはふところから天使のような形をした銀の『紋章』を出して、リサと怜に渡してくれた。
　怜は甘えるような声でバーガンディにしなだれかかる。
「やったぁ、ありがとうおじいちゃん！」
　一方リサ――というか紗月は、自分では絶対にしない恥かしいことの連続にすっかり真っ白になっている。
　これ以上見ていられない、とレオンはバーガンディからリサと怜を引っぺがして歩き出した。
「目的は果たした。さっさと行くぞ」
「うおーん、もっとぉ～～！」
「黙れじーさん！　もう十分だろ！」
　追いすがるバーガンディをえいえいっと蹴倒して、レオンたちは第十三階層へ急いだのであった。

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