決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来｜リアクション

決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来

●鈴島、起動

　――彰尋くん、綾花ちゃん、もうひと頑張りだよ！
　あおいの声に励まされ、緑の小塔で恋有彰尋が最後の瓦礫に手を掛けたその時。
　時々少し離れて全体の瓦礫が落ちてこないか状況を確認していた恋無彰尋が声を張り上げた。
「ッ！　危ない――！！」
　残っていた天井の瓦礫の崩落！
　彰尋たちはふたりとも咄嗟にあおいを覆うようにしてかばう。
　ふたつの背中に瓦礫がぶつかり鈍い音を立てた。
「うっ」
「くっ」
「大丈夫ですか！？」
　ふたりの綾花も駆け寄ってくる。
「大丈夫だ」
「それよりもあおいさんは無事？」
「私は大丈夫。でも彰尋くんたちは……」
「何てことない……あたた」
「だめだよ。休んでいて。残った瓦礫を除けるくらい、私たちでも大丈夫だから」
　あおいは彰尋を気遣って言った。
「それにしても急に崩落なんて――」

◇

　緑の小塔の急な崩落には理由があった。
　トファルドフスキが空飛ぶ鶏で体当たりしたのだ。
　しかしその攻撃は、赤の小塔にいた修によって妨害された。
「仲間を――あおいを守るのに、俺は躊躇なんかしない」
　＜分解＞の進化能力で砕いた瓦礫を上空まで動かし、質量弾としてトファルドフスキ目掛けて打ち落としてゆく。それはまるで岩石雨のごとくトファルドフスキにぶつかっていく。
　遺跡側からの反撃を予想していなかったトファルドフスキには、杖もなく、ヒヨコたちもいない。
「ぬ、う、ぅ。人間どもめ。どこまで逆らう」
　憎々し気に呻き、かといって瓦礫雨に突っ込んでいくことも出来ずにいるトファルドフスキに向かって、ひとつの影が跳び上がった。
　弾む黒髪は――クロハだ！
　拓郎のろっこん＜テイクオフジャンパー＞で遺跡を利用してハイジャンプし、持っていた三体の編みぐるみを投げつける！
「いっつショータイム！」
（大丈夫、今の彩葉さん……いや、クロハなら届く……！）
　拓郎が心の中で念じたのが通じたのか、彩葉の＜ファンタジックオートマタ＞で動き出した編みぐるみが空飛ぶ鶏の目に張り付いて視界を塞ぐ。
　暗闇に不安になったのか、翼をばたつかせて無軌道に回転しはじめる空飛ぶ鶏。
「なっ、私を振り落とすつもりですか！？　しっかりしなさい！」
　そうトファルドフスキが叱咤しても落ち着かない。
「カアー！！　カアアアーーーー！！」
　今だ、というように、勘三郎カラスが高く鳴いた。
　より中心部に近い緑の小塔にいる綾花が、共同通話（ニャカイプ）に向かって叫ぶ。
「みなさん、私のカウントダウンに合わせてレバーを引けますか！？」
　大丈夫、了解、の声が他のチームから戻ってくる。
　赤、青、緑３か所の台座のレバースイッチを同時に入れればいい。それがテオからの伝言。
　空中で回転するトファルドフスキ――絶神の尾を消滅させるタイミングは、まさに今だ！
「５・４・３・２・１――」

「ももこもいっしょに！」
　赤の小塔では萌々子がレバーに手をかけている。

「他の小塔とタイミング合わせて……」
　青の小塔では装置周辺をグレ露草が警戒し、残る者たちがレバーに手を置く。
「せーの……！」

　――ゼロ！！！！！

　眩い光があたりを包み込む。
　――ウアァァァァァァアアアア……！！！
　魔術師トファルドフスキの断末魔が、遠く聞こえた気がした。