決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来｜リアクション

決戦絶神！分かれ合わさる運命、絶望、未来

●鈴島、三つの小塔

　三手に分かれた仲間たちは、それぞれの塔にたどり着いていた。

　赤の小塔では――

「たしかこのあたりだったはずだ」
　修は記憶を頼りに塔の広間の中央付近を指さす。天井や壁の一部が崩落し、そのあたりには堆く瓦礫が積もっている。
「任せてよ」
　腕まくりをするあおいを筆頭に、修も大きな瓦礫を＜分解＞し、萌々子が衝撃波で吹き飛ばしたりして、楽に瓦礫を排除していく。
　やがて見えてきた装置の姿に、萌々子が声を弾ませた。
「レバー、ありました！」

◇

　青の小塔では――

「ええーん、どこよ！」
　ミズヒは泣き言を言いながら瓦礫を片付けている。
　水樹の性格が大雑把なせいか探し方も大雑把になっているが、一応罠に注意して慎重に瓦礫を避けている。そのせいでなかなか捗らずにもいるのだが。
「無暗矢鱈と瓦礫を除けていたら探し出す前に体力が尽きそうだね」
「そんなこと言っても、ヒュー、どうしたらいいっていうの？」
「ふっふっふ、任せてください」
　魔王露草が不敵な笑みを浮かべる。
　一体どうするつもりかとミズヒが訝しんでいると彼らはおもむろにメモ帳に何やら紋章を書き、命じた。
「『装置付近の瓦礫』よ、光れ！」
「『崩れる危険の高い瓦礫』よ、光りやがれ！」
　ふわり、と部屋の中の瓦礫の一部に露草たちが描いた紋章が光り輝いて浮かび上がる。
　＜我が紋章は、光り輝く道標＞の力で撤去すべき瓦礫を見分け、効率よく探すことができるというわけだ。
　魔王露草とグレ露草が違う紋章を描いたおかげで、どこに装置があるのか、どこが危ないところなのかも一目瞭然だ。その光景にヒューが目を瞠る。
「なんて綺麗な……今カメラを持っていないのか残念でならないよ」
「さ、今のうちに皆で協力して装置を掘り出しますよ」
　魔王露草とミズヒが中央付近の瓦礫を除けはじめると、グレ露草はろっこんの進化能力で紋章が浮かび上がった危険性の高い瓦礫を浮かせて動かし、害の少ない位置まで移動させてゆく。
　身体がくたくたになるほどの作業の末掘り出された装置を見た時、彼らは思わずハイタッチした。

◇

　緑の小塔では――

「台座のスイッチって事は瓦礫が山になってるところの真ん中ってことですよね」
　ふたりの綾花が木の棒を使い、てこの原理で瓦礫を動かそうと悪戦苦闘している。目の前に私が居ると思うと鏡があるように思えて不思議だが、そんなことを言っている場合ではない。むしろ手が増えて助かる。
「とにかく人海戦術で瓦礫を分けていくのがいいかな？」
　恋有彰尋はそういうと、あおいに目配せして協力を要請する。
「勿論だよ、任せて」
　＜カジバオトメ＞で大きな瓦礫を持ち上げるあおいに、綾花と彰尋は目を丸くする。間近で見るとやっぱりすごいと思う。
「俺たちも頑張ろう。少しは体を鍛えているから一人ひとりそれなりの瓦礫は片付けられると思う」
「お願いします。バケツリレーの要領で移動させましょう」
　派手さはないが、彼ららしい着実な進みで、瓦礫は次第に避けられていく。
「ああ、これじゃないかな」
「きっとそうだね。彰尋くん、綾花ちゃん、もうひと頑張りだよ！」