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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇夕焼けの流星石
乾いた空を染め上げるのは、紅椿の花の色。
千切れ雲が冬風にさらわれて行くのを見るともなしに眺め、
恵御納 夏朝
は白い息をふわりと吐いた。
吐き出すつもりのなかった溜息と一緒になって、うーん、と心なしかしょんぼりした声が零れて落ちる。
「今日は見つからないなぁ……」
次の一歩を踏み出す気持ちが押し寄せる北風に流されて、ぴたり、足が止まってしまった。一日中古書店巡りをした疲れがずしりと身体に圧し掛かる。求める情報の断片ひとつも探し出せなかったことも、肩と足を余計に重くした。
歩きだせないまま、周囲を見回す。
朝いちばんに桜花寮を出て、キャットロード周辺の古書店を数軒、参道商店街で昼食替わりのおにぎりを齧ってもう数軒。まだまだ知らない古書店があるかもとシーサイドタウン駅周りも歩き回って、足はもう棒のよう。
夕暮れ時に賑わう駅を離れ、帰路を辿る。
(今日は、もう……)
とぼとぼと歩くうち、小さな公園が目に入った。夕方の公園には誰の姿もない。
落ち葉を踏む。煉瓦の路の隅に置かれたベンチにぺたりと座り込む。
傍らに設置された自販機で飲み物を買う気にもなれず、ただぼんやりと瞬きを繰り返す。
願いごとが、あった。
(……夏夜ちゃん)
己の身の内で今は眠る、もうひとりの名を呼ぶ。
『夏朝』が眠っているときにだけ、この身体を使うことの出来る別人格。
夏朝が起きている間は決して相対することの叶わぬ『彼女』。
それでも、この島で色々な事象を経てふたりは互いを認識するに至った。互いが互いを想い、今はふたりで同じことを願っている。
それが叶え難い願いであることは重々承知していて、それでも諦めたりはしたくなかった。そのための手段の手がかりはないかと日々探し回っている。
探して探して、未だ何の手がかりも見つけられずにいる。
(……願う事で叶えばいいのに)
つい、そう思った。祈るように両手を組み、瞼を伏せる。
(僕と夏夜ちゃんが、心身ともに分離して、ふたり一緒に普通の日々を過ごしたい)
心から願ってみる。
願うだけで叶わないことは理解していても、願わずにはいられなかった。
(わかってる、……だって)
どんなに願っても、どんなに頑張っても、この願いは叶っていない。
ほんのひとときであればふたり一緒に過ごせたこともあるにはあるけれど、それはいつだって『普通』の日々ではなかった。いつだって最後にはお別れの時間がやってきた。
(それに、なにより)
願うだけでどんな願いでも叶うのなら、フツウを壊す輩の災厄のような願いだって叶ってしまうことになる。もしも自身の願いが叶うとしても、それはお断りだった。
(そうでない存在に叶えて貰うか、)
そうでなければ、
(僕等自身が叶えたい!)
癖っ毛なチョコレート色の髪がふわふわと頬をくすぐるのも構わず、優しく垂れた目じりにムムムと力を籠めて願って祈って、
「……」
知らず詰めていた息を吐き出す。傍らに夏夜の姿がやっぱりないことを確かめて、ふと気が付いた。願いが叶わなかったその代わり、握り合わせた両手の真ん中に滑らかなナニカがある。
そうっと開いたてのひらには、いつか見上げたことのある星空のような半円型の宝石が生まれていた。
(宝石……宝石!?)
元の濃紺色を埋め尽くすほどにさまざまな色して輝く光の粒は、見つめるうち、恥じらうように音もなく光の尾を引いていくつもいくつも流れた。
「これはすばらしい」
てのひらの中の宝石を見つめる夏朝の手に、ぷに、と丸っこいカワウソの指が触れる。
驚いて顔を上げれば、ほとんど正面にシルクハットに背広を着こなした二足歩行カワウソの姿があった。
「おどろかせてもうしわけない」
カワウソはシルクハットを胸に当ててお辞儀をし、宝石商を営んでいると告げる。そうしてからもう一度、きらきらと輝く黒い瞳で夏朝のてのひらの中の宝石に見惚れた。
「図録にしるさせてはいただけませんか」
いろんな世界のいろんな宝石を書き記しているのだと言うカワウソは、どうやらフツウを壊すような存在ではなさそうだ。
「見るだけなら、構わないよ」
どうぞ、と差し出す夏朝の手から宝石を取ることはせず、カワウソはベンチに図録を広げた。肩掛け鞄から引っ張り出した羽ペンを丸っこい手で上手に使い、夏朝の宝石のかたちを描き、夏朝には読めない文字でなにごとか書き記す。
「どんな宝石なのか、聞かせてもらえる、かな……?」
「りゅうせいせき、とよばれるのが一般てき。いのり、ねがうことで生まれることがおおいです。こちら、とてもうつくしい。内包する星々もたくさん。真摯で、純粋で、……とてもむずかしいとあなたが思うねがいごとの、宝石」
羽ペンを走らせながら楽しそうに口にしてから、カワウソは透明な髭をはたとそよがせた。なにか言いたげにする宝石商に、
(願いが叶う宝石は、あるのかな)
問おうとしてやめる。あるとしても、きっとこのてのひらの中の宝石と交換しなければならないだろうから。
(僕の宝石は)
持ち帰って、宝物として保管しよう。
(名前、付けた方がいいのかな……?)
流星石とはまた別の、この宝石だけの名前をつけてみてもいいかもしれない。
「きちょうな宝石、みせてくれてありがとう」
図録への記載を終え、ぺこりと頭を下げて傍らのスーツケースを引いて去るカワウソの宝石商に、夏朝はそれじゃまたねと手を振る。
「……素敵な宝石に巡り合えますように!」
黄昏の中に振り返ったカワウソは、黒い眼を輝かせて笑った。
「それはもう! この島は、すてきな宝石をうみだすひとびとであふれています」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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