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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇黄昏のルビー
夕暮れの道の先、カワウソが立っている。
魚の宝石のシルクハットに小さな身体に合わせて仕立てた背広、肩から提げた麻の鞄、傍らには頑丈そうなスーツケース。
「こんばんは」
潮の香を含んだ北風に透明髭をなびかせお辞儀するカワウソに、
八神 修
は一瞬の警戒を覚えて傍らを歩いていた
七夜 あおい
を咄嗟に背に庇った。
「君は……?」
「宝石商をいとなんでおりますカワウソです」
黒いつぶらな瞳に夕暮れの光をきらきら輝かせるその顔に、親愛の情はあれど悪意は見られない。
「きっと大丈夫だよ、修君」
修の肘を軽く叩き、あおいがカワウソの傍に歩み寄る。
「こんばんは、宝石商さん」
「こんばんは、お嬢さん」
屈託のないあおいの様子に修は警戒を緩めた。不可思議で危険なこともこの島ではたくさん起こり得るけれど、今回はどうやらそうではないらしい。
「こんばんは、坊ちゃん」
「ああ、……今晩は」
丁寧にお辞儀するカワウソに肩から力を抜き、修は微笑んで見せた。吹き寄せる潮風を避け、今しもあおいとふたりで出てきたばかりの図書館の近くに設けられた四阿へととりあえず移動する。
ぺたぺたと二足歩行するカワウソが移動がてらに喋るのは、『特別の日』である今日に寝子島の住人たちに起きる不思議のできごと。
「宝石が作れるなんて面白そうだ」
四阿のベンチに勉強道具の詰まった鞄を置き、修は好奇心に眼を輝かせた。カワウソと並んで座ったあおいも、楽し気に、ちょっぴり不思議そうに自分の両手を眺めている。
カワウソが言うには、どういう経緯でどういう宝石が生まれるのかはひとによって違うらしい。
「あおい」
「ん?」
「共通する想いを重ねたら、何か生まれるかもしれない」
空色の瞳を瞬かせるあおいに、修が提案するのはふたりが出会ってから──二年間の高校生活の思い出のこと。
「楽しかったことを語り合う、……なんてどうだろう」
「いいね、何から話そう?」
ぱちんと両手を合わせ、あおいがまず口にしたのは球技大会のこと。
臨海行事にトリエンナーレ、テスト勉強に寝子祭、遠足に誕生日、それから、つい先日のバレンタイン──
楽しかったことはたくさんある。ふたりで重ねた思い出を、体験を、紡いできた絆を、言葉にして話せば話すほど、笑いあえば笑いあうほど、修の心は熱を帯びた。熱く滾るそれはたぶん、
(情熱や、愛、……かな)
心のうちに言葉としてかたちにした途端、目の前で笑っていてくれる女の子に対する気持ちを改めて実感する。
(俺は、あおいが好きだ)
それは何があろうと揺るがない気持ち。
(あおいは、……)
伸ばした視線が絡まる。きょとんと微笑むあおいがどこまでも可愛らしくて愛しくて、修は瞬きの振りで視線を逸らした。そうしなくては手を取ってしまいそうで。そうして問うてしまいそうで。
(……俺と同じように、感じてくれているだろうか)
胸をぎゅっと切なくさせる問いを発することはあおいのためにもできず、せめて修は手を伸ばす。
「想いの力をあわせよう」
ダンスを申し込むように伸ばした手を小首を傾げて見つめて後、あおいは微笑んで修の手に手を重ねた。
(ふたりで、一つの結晶になると良いな)
思ってから、欲張りすぎだろうかと心中に苦笑する。
(複数の結晶でも嬉しいけれどね)
掌を重ね合わせて、数秒。ふたりの掌の中、何かが生まれた。そっと開いて見れば、生まれ出でていたのは大粒のルビー。
(ヤバいのが来た)
見た途端に修は目を瞠る。
鳩血色は情熱の体現か。純粋な想いを受けてかどこまでも澄んだその宝石は、家の関係で宝石を見る機会にも恵まれている修の眼から見てもひどく稀有で、だからこそ高価な代物。
「これはまた、すばらしい宝石ですね」
図録に記させていただきたい、と請うカワウソに快諾の意を示しつつ、修は内心に懊悩する。
(誕生石だしあおいにプレゼントは、……しかしこれは学生が持つには……というか普通には大人も……)
悩みに悩み、修が出した結論は、
「三つに割って欲しい」
その場の三人──あおいと修、それにカワウソの分の三つに宝石を分けることだった。
「よろしいのですか」
「割っても充分に大きいし、美しい」
「それはそのとおりですが」
「稀有な体験と想いの証に」
カワウソに大きく頷いてみせてから、修はあおいを見遣る。いいかな、と問うより先に、あおいはそれがいいよと華やいだ笑顔を見せてくれた。
「名をつけるとするなら、……『情熱』かな」
「では、おあずかりいたします」
丁寧な手つきで宝石を掲げ持ち、カワウソは傍に置いたスーツケースをぱかりと開く。ふたりには見えない角度で、常ならばダイヤモンドよりも靭く割れない宝石を三等分にしてみせる。
あおいのてのひらにひとつぶ、修のてのひらにひとつぶ。己の手にもひとつぶ真っ赤な宝石を乗せ、カワウソはほくほくと透明髭をそよがせた。
「このたびはありがとうございました。それでは、しつれいいたします」
一礼して去るカワウソの宝石商を見送って、修はてのひらの中の宝石を見つめる。黄昏の光を集めて、真っ赤な薔薇よりも紅く輝く『情熱』。
「綺麗だね」
「……うん」
てのひらの宝石を握り締めるあおいに、修は柔らかく微笑みかける。
「あと一年一寸の高校生活も、この石みたいに輝かせていこう」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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