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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇昼下がりのブルースカイブルー
足が向いたのは屋上だった。
(んー、)
階段を上った先にある重い扉を押し開けながら、
呉井 陽太
は眼鏡越しの元より細い瞳をますます細める。
(どーしちゃったのかなぁ……)
扉を開けた途端に吹き寄せてくる二月の風にも似て、胸の内をしんと冷やしてしまうような感覚が居座ってしまっている。
(んー……)
三年六組の教室の後ろの壁に貼り付けられたカレンダーを見たときからの感情であるのは理解している。もうすぐ卒業かー、と自由登校が始まってから人気の少ない教室を眺めた途端にふわりと胸に降りた気持ちであるのも分かっている。
分からないのは、どうして自分がこんな気持ちになってしまっているのかだ。
昼過ぎの屋上に人気はない。
下のグラウンドや中庭から聞こえてくる学生の賑やかな声を耳にしながら、給水塔の傍に足を投げ出して座る。ひゅるひゅると空に踊る風を仰いでみる。
(珍しくしんみりしちゃって、調子狂うわー)
自身で自身の気持ちを茶化してみても、胸にうずくまる冷たいような切ないような気持ちは去ってくれなくて、余計に途方に暮れる。
(卒業、……卒業かー……)
それが嫌ということではない。
(なんでこんな気持ちになってるのかなぁ)
冷たいものが詰まっているようにも感じてしまう胸に何気なく手を当てて、
「ん?」
その手の中、ナニカを握りこんだ。じりり、掌と指に硬く尖った冷たいものが触れている。
「え、えぇ……?」
動揺するまま、恐る恐る開いたてのひらには、哀しいほどに蒼く澄んだ色を宿した宝石があった。切り出されたままの原石の、目を射る蒼を眼鏡の鏡面に写す。反射的に両手でぱちんと挟んで隠す。きょろきょろと周囲を見回す。
(なんで? なんでいきなり?)
視線を走らせても、さっきまでとなにひとつ変わらぬ人気の無い屋上があるばかり。学舎のどこかから誰かの笑う声が聞こえてくるばかり。
(またナニカが起こってる?)
今までに体験したフツウな出来事やあれやそれやが頭の中を駆け巡る上、
「あっ、ああっ、てを! 手をひらいてあなたの宝石をみせてください!」
更にいつのまにか目の前にシルクハットに背広姿のカワウソまで出現している。きらきらと黒い眼を輝かせ、ちいさなまんまるこい手で陽太の手をぷにぷに叩いている。
「かっ……カワウソさんっ? カワウソさんっ?!」
「はい、宝石商をいとなんでおりますカワウソです」
咄嗟につやつやもふもふの幼児ほどの大きさの身体をがっしと抱き上げ立ち上がる。この時間の屋上にひとはあまり来ないかもしれないけれど、決して来ないとも限らない。
(人目につかないところ……!)
「あっ、あいぼうも! 相棒もいっしょに……!」
もふもふの耳と尻尾と短い四肢をぴこぴこ、透明な髭をひよひよさせて言うカワウソの足元にあるカワウソサイズのスーツケースも手に取り、とにかく人目につかなさそうな給水塔棟の影にふたりで隠れる。
グラウンドや中庭からも、屋上に上ってくるかもしれない誰かからもすぐには見つからないことを確かめ、陽太はひとまず安堵の息を吐く。
(びっくりした……)
どきどきする心臓を宝石を握りこんだ手で抑えつつ、足元でぴょこぴょこと跳んでは宝石をみせてくださいと懸命に請うカワウソを見下ろす。
聞けば、どうやら今日は『寝子島にいる人々が宝石を生み出す特別な日』であるらしい。さまざまの世界を旅するカワウソの宝石商は、だからこの寝子島を訪れているらしかった。
「そっかー……」
てのひらの中の蒼い宝石を見遣る。
しゃがみこんでカワウソにも見せてやりながら、陽太はちょっと頭を抱えた。
(コレ、さっきのしんみりした気持ちが形になった、んだよなぁ……)
自身のそんな気持ちから生れ出た宝石は、見れば見るほど何だか気恥ずかしい。
「どうかしましたか」
以前、友人から誕生日プレゼントに貰ったカウワソのぬいぐるみともよく似たもふもふの姿で覗き込んでくる宝石商に、陽太は熱を帯びた頬を掌で擦って応じる。
「いやぁ、多分コレって、大切な友達と気軽に会えなくなることの淋しさ、だと思うから……」
もちろん、その友人とも。
言葉にすればするほど恥ずかしくなってきて、陽太はまた頭を抱える。
(まいったなぁ)
言葉にして思い知ってしまった。ここまで寂しいと、かたちになるほどきっぱりと淋しさを感じているとは思っていなかった。
自分のことながらに驚きながらも、気づいてしまえばそのかたちを確かめざるを得ない。
(それだけ大きな存在ってこと、なんだけど、)
それにしても、改めて目に見えるかたちで認識してしまうのは思っていた以上に照れくさい。
(傍で誰かに見られてなくてよかった)
つくづくと思ってから、隣でぺたりと座り込んでジッと待つ宝石商を見遣る。投げ出した肢に色んな宝石を書き込んだ図鑑のようなものを広げ、羽ペンを手にしたカワウソは、どうやら陽太の宝石をそこに記したい様子。
「よろしいですか」
「えっと、誰から生み出されたとか名前書かないならどーぞ♪」
ありがとうございますと笑い、カワウソは器用な手つきで羽ペンを動かし始めた。陽太には読めない文字で記しているのは、どうやら宝石の色に関することらしい。
「さびしいせつないは、あおの色にあらわれることがおおいです。こちらの宝石のあおも、とてもうつくしくかなしくあざやかなあお」
「やっ、ヤメテっ」
ひええ、と陽太は顔を覆い隠す。かたちを成してしまったこのなんとも気恥ずかしい己の感情はどうしてくれよう。
(手元に置いておくのも、)
それはそれでどうにもそわそわ落ち着かない気持ちになるのが目に見えている。
ううう、と考えに考えて、思いついた。宝石の色とよく似た海に、放り投げに行こう。波間に投げ入れてしまえば、同じ蒼の色にきっと紛れてくれる──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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