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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇午後のターコイズとクラック水晶
今日の部活はお休み。
所属している水泳部も家庭科同好会もお休みとなれば、
水上 桜
のすることはひとつ。
北風の冷たさにも負けずに放課後の女子高生が心なしか弾む足取りで向かうのは、シーサイドタウンのアクセサリーショップ。
(何かいい素材ないかな)
キャットロードにあるお気に入りのアクセサリーショップには、色もかたちも素材もさまざまなアクセサリーの材料が揃っている。
(春に向けて何か一つ、アクセ作りたいよね)
ここのところ部活か生徒会かのどちらかが忙しく、趣味としているアクセサリー作りにまで手が回らなかった。だから部活も生徒会もお休みな今日は、久しぶりに趣味に放課後の時間をぜんぶ費やせる。
マフラーの端をぱたぱた、スカートとコートの裾をひらひら、ご機嫌に歩く背中に、
「こんにちは、おじょうさん」
穏やかな声が掛けられた。切り揃えた黒い前髪を揺らして振り返った先には誰もいない。
「こちらです、もう少し下」
言われるままに視線を落としてみれば、
「こんにちは」
立っていたのは洋装のカワウソ。
魚を象った仕立ての良さそうなアクセサリーを飾ったシクルハットを取り、背広の胸に当てて透明髭をそよがせる、身の丈八十センチくらいの、たぶん普通の大きさのカワウソ。冬風にひよひよ揺れる毛はふかふかのもっふもふ。
カワウソのつぶらな黒いおめめとしばらく無言で見つめ合う。
(はぁ?)
桜の脳内には大きなハテナマークが浮かんで消えない。
(なぜカワウソ?)
「ワタクシ、宝石商をいとなんでいるカワウソです」
(なんでカワウソが人語をしゃべれるのよ?)
混乱の坩堝の放り込まれ言葉を失う桜に構わず、カワウソはシルクハットをかぶり直す。まるっこい指先で帽子の縁を正し、背広の襟を整える。傍らに並ぶ長旅を共にしてきたようなスーツケースの取っ手をきゅっと握り、カワウソは改めて桜を見上げる。
「あなたの宝石を見せてください」
桜はぱちりと瞬きひとつ。
(……またか……また……)
胸に浮かぶはいつもの魂の叫び。
(また、フツウかあ──!)
口から迸りそうなシャウトは唇を両手で抑えて懸命に堪える。何せ目の前にいるのは『フツウ』な存在。うっかり驚かせてしまえばどんな珍妙な事態に陥るかもわからない。それは避けたい。フツウに振り回される普通な女子高生としては、これ以上のフツウは避けたい。
「だめ?」
「……カワウソなのに宝石を売るの?」
「カワウソが宝石をあつかってはいけませんか」
心底不思議そうな瞳で見上げられ、桜は唇を尖らせる。
(普通のカワウソは宝石商なんかしないの!)
本当は地団駄を踏んで喚き散らしてしまいたいところではあるけれど、それをするとカワウソはきっと悲しい顔をする。フツウな存在にそんな顔をさせてしまったら、果たしてどんな事件が起こるか。
「だってうつくしいです、宝石。どんな宝石も、すべからくうつくしい」
きらきらと瞳を輝かせるカワウソに、桜はそうねと小さく頷いて返した。
ともかくも、そこのところは百歩も千歩も譲ってそういうことにしておこう。けれどそれ以前に、
「……私が宝石を持っているように見える?」
一抹の華美さもない、普通一辺倒な女子高生姿の自分のどこに宝石を持ち歩く要素があるというのだろう。
(判りそうなものだけど……)
小首を傾げるばかりのカワウソの宝石商を見下ろす。
(フツウの存在に判ってもらおうと思った私が間違いか)
もれいびになって以降、どこに行っても、それどころか自分の部屋に籠っていても、『フツウ』の洗礼を受ける。
(私は、……私は!)
普通に普通の女子高生として過ごしたいだけなのに──
『フツウ』に遭遇するたびに胸を塞ぐ暗鬱たる気分を溜息にして吐き出した、その途端。
コツ、と足元に溜息が結晶化したような深く青い宝石が転がり落ちた。涙のかたちしたそれは、
「ターコイズですね」
地面に落ちた宝石の傍にうずくまり、うずうずと触りたそうにしながらジッと我慢しつつ、カワウソは宝石の種類を鑑定する。
「さわってもいいですか」
「これって一体……?」
自分の溜息が変化したようにも見える宝石に、桜は眉をひそめる。フツウの存在に出会ったばかりか、今度は自分までもがフツウな存在になり果ててしまったように思えて、思わず一歩後退る。
「こわがることはありません」
宝石の前にちょんと座ったカワウソが言うには、今日に限り、寝子島に居るひとびとがなにかしらの宝石を生み出す日らしい。
「こちらの宝石は不安をやわらげるちからをもつともいわれています。ためいきも、はあっとすると肩のちからがぬけます。つぎのくうきを吸うじゅんびになります」
カワウソと向き合うかたちでその場にしゃがみ、転がる宝石を指先にそっとつつきながら、桜ははあ、と生返事をする。
「わかったようなわからないような……」
「こちらの宝石、図録にしるさせていただけませんか」
「……あげる」
恐る恐る指につまんだ宝石をカワウソに差し出せば、カワウソはならばと肩から提げた麻鞄の中から小さな木箱を取り出した。綿の詰まった箱の中には、白い綿雲が詰まったような小さな丸い水晶がひとつ。
「こちらと交換いたしましょう。まよけやくよけの宝石」
クラック水晶、と呼ばれるその宝石を差し出されるままに受け取ってから、桜はぱちりと黒い瞳を瞬かせた。
「……ありがとう」
「いいえ、こちらこそありがとうございます」
透明髭を嬉しそうにそよがせ、宝石商はシルクハットを取ってお辞儀をした。スーツケースをコロコロ引いてまたどこかへ向かう小さな背中をひと眺めして、桜は掌に一粒乗った小さな爆裂水晶を見下ろす。
これは、新しいアクセサリーの素材にしてみようか。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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