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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇真夜中のゴールデンラブラドライト
万年筆の透明軸の中、小さなミルクコーヒー色した垂れ耳うさぎがもっと小さなハートを抱いて笑っている。
バレンタインと、少し早めのバースデープレゼントにと貰った万年筆をしばらく眺めて、
鴻上 彰尋
は学習机に広げた日記を書き始めた。万年筆を贈ってくれた女の子の言葉の通り、書き心地はとても滑らかだ。
知らず頬が緩んでいるのに気づいて、口元を手の甲で擦る。手にした万年筆が頬に触れて、消そうとした笑みは逆に深くなってしまった。
冬の夜更けの窓を、北風が叩いている。
消えない笑みは笑みのままに諦め、北風の歌を耳にしながら日記を綴る。
毎日続けているわけでもない、内容もさまざまの日記。誰に見せるわけでもなく、見せられるわけもない日記。
今日の夕飯の献立を書き記したところで、万年筆の中のうさぎと目があった。プレゼントしてくれた女の子と似ているようにも見えるうさぎを指先で一撫でして、
──いつか、また
そこまで書き綴った手が止まった。
──そのうち、また
書き直して、
──今度、また一緒に
もう一度書き直す。『今度』はいつにしようか、都合が合うなら次の休日もいいかもしれない、会う理由は何がいいだろう。
(……でも)
負担はかけたくない。
あの笑顔を曇らせたくない。
いつだって笑っていて欲しい。そうでないときも隣にいたい。手を取って、いつものように笑えるようになるまでずっと、支えていたい。いっしょに笑いあいたい。
できることなら、もしも叶うのなら。それを、彼女が望んでくれるのなら──
気が付けば彼女への想いを綴っていることに気づいて、文字を書く手が止まった。筆先に丁寧にキャップを被せ、小さく息を吐く。始めは別のことを書いていても、気が付けば彼女のことに内容が偏ってしまう。積み重なってゆく彼女への想いを書き連ねてしまう。
(でも、)
綴ることで少しでも発散出来ているなら構わないような気もする。
(じゃないと、)
保てない距離がある。それはどうしようもなく事実で、彼女との日々を重ねれば重ねるほど、その重みは増してゆくばかり。
(……今の、距離)
今はこれ以上に踏み込んではいけない。
欲張ってはならない。
募る胸の内をもう少し文字にして吐き出してしまおうと万年筆に手を伸ばしたとき、ころん、と間近で音がした。
別室に寝かしつけた双子の弟妹が目を覚ましたのかと上げた瞳に映ったのは、机の上に転がる柔らかな曲線に洗い出された透明な宝石。
(一体どこから)
透明な中にきらきらと金色に光る色を帯びたその宝石に指を伸ばした途端、机の影から背伸びしてそれに手を触れさせようとしているカワウソと目があった。
「……え」
「はっ、」
カワウソはつぶらな黒い瞳をぱちりと瞬かせた。鼻先と口元に生えた無数の透明髭がひよひよっとそよぐ。
「こんばんは、ワタクシ、宝石商をいとなんでおりますカワウソです」
今にも掴めそうだった宝石から名残惜し気に小さな手を離し、カワウソはお辞儀をする。
(あなたも一体どこから)
尋ねるより先、隣の部屋から聞こえた弟か妹かの寝言らしい声にぎくりと身が強張った。それはそうと、家で不思議なことは困る。
開きっぱなしだった日記をぱたりと閉じて立ち上がる。
「こ、ここだとなんなので、」
知らず赤くなってしまった頬をカウワソから逸らし、コートを取る。小首を傾げるカワウソとカワウソの持ち物らしいスーツケースをコートでぐるりと包んで隠す。
「外に行こうか!」
「ワタクシ、みられるとまずいのでしょうか」
どこか他で似たような扱いを受けたらしいカワウソがぼやいた。
「た、たぶん」
「ではじっとしています」
それきりジッと動かなくなるカウワソの宝石商を抱きかかえ、自室を出る。リビングで持ち帰りの仕事をしている兄に眠れないから散歩してくる、とだけ告げて外に出る。
深夜の道に人気がないことを確かめ、コートの覆いからカワウソを解放する。ぷぷぷと全身を震わせるその姿は、いつだったかに水族館で見たカワウソそのもの。
コートを羽織り、どこへ行こうかと月を仰ぐ。
(コンビニ、は)
人目につくから、と選んだのは近所の公園の自販機の前。
自分には温かい缶コーヒーを、興味津々で自販機を眺めるカワウソには、
「付き合わせてしまうから」
と好きなボタンを押してもらう。
自販機脇のベンチに腰掛け、物珍し気にミルクティーの缶を抱えながら、カワウソの宝石商は今日という『特別な日』と旅から旅な自身について話してくれた。
「なんだか、」
手に握りこんだままだった宝石を月明かりにかざし、彰尋は思わず呟く。優しい金色を宿して月の光を透かせる宝石が自分の何かしらの感情から出来た宝石であるというのは、
「……とても不思議だ……」
「おそばにとっておかれますか」
カワウソの黒い瞳に覗き込まれ、彰尋はそっと首を横に振る。隠し持つにしても、これを手元にとっておくのは一介の高校生には難しいかもしれない。
「他の石か、これのイミテーションがあるならそれと交換とか、してもらえないかな」
「かしこまりました」
頷いてスーツケースを漁り始めるカワウソの小さな背中を眺めながら、彰尋は思う。
(いつか、もう少し大人になって、)
その時にカワウソの宝石商にもう一度出会えたら、譲り渡した宝石を買い戻してみるのも、
(素敵かな、なんて)
そのときにもしも隣に彼女が居れば、きっともっと素敵、
(……なんて)
ひっそりと頬を赤らめる彰尋が自らの生み出した宝石の代わりに手にしたのは、自身の指にはめるには小さすぎる、空木の花が彫り込まれた銀細工に小さな月長石が埋められた指輪。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
カワウソの宝石商との一幕、お届けにあがりました。
色んな宝石と、いろんな感情を書かせていただきまして、とても楽しかったのです。
書きながら、いろんな宝石の画像を眺めたり調べたりするのもとても興味深かったです。世の中にはいろんな綺麗なものがたくさんありますねえ!
登場する宝石は、実在するものであったり架空のものであったり、色々です。
でもどの宝石も、みなさまの想いから生まれた、どれも美しく尊いものばかりです。
お読みくださいまして、ご参加くださいましてありがとうございました。
少しでもお楽しみいただけることを祈るばかりです。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
このたびはありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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