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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇真昼の漆黒金剛石
海を臨む大きい窓から午後の冬陽が穏やかに流れ込んできている。
座り心地の良いソファの前に置いたサイドテーブルからカップを取り、淹れたての熱い紅茶をひとすすり、
旅鴉 月詠
は白銀の睫毛を上下させる。
緋色の瞳に映しこんでいるのは、スケッチブックに描き貯めたさまざまのデザインや風景画、動物の絵やポートレート。
カップをテーブルに置き、脇に置いた二段重ねの色鉛筆セットの中から何本か取り出す。迷う様子も見せず、白紙に色とかたちを描き出し始める。
猫をモチーフとしたアクセサリーが描き出されるまで、然程時間はかからなかった。
描き上げたアクセサリーの上、傍らに積み上げた標本箱から取り出したいくつもの宝石を並べて行く。碧、紅、琥珀、翠、色とりどりの宝石は、けれど本物ではない。海辺から拾ってきたシーグラスであったり、キャットロードのアクセサリーショップで買い求めてきた玩具じみた人工宝石であったり、寝子島のあちらこちらで調達してきたものばかりだ。
寝子島で折に触れて行われるイベント──ネコミケやフリーマーケットに出品するためのアクセサリーには、基本的に玩具の宝石を使う。ために、作り出したアクセサリーのほとんどは作成者である月詠の手元には残らない。だからこそ、こうして絵にして残している。
描き出した黒猫のアクセサリーに合う色合いを探す作業に一息つく。
(この子にはこの琥珀色かな)
色味によって区分けした標本箱の中からただひとつの色を取り出そうとして、
「……ん」
琥珀色の区分の箇所に、見慣れぬ宝石を見つけた。
いずれは誰か別の人間のもとへ行く宝石であれど、一度気に入って手にした宝石のかたちはほぼすべて覚えている。琥珀の中に混ざりこむ、混じりけのない漆黒の色した宝石は、月詠には手にした覚えのないものだった。
たなごころに収まるほどの漆黒を取り上げる。大きさの割にずしりと重いそれは、明らかに玩具ではない硬い質感があった。
(加工ダイヤ? ……いや)
似て非ざると判断する。石炭でも勿論ない。
(人工ダイヤ? ……いや)
純白の長い髪を揺らして小首を傾げる。自然に作られたものではない、と直感に近く確信する。かと言って、現代技術で作り出せる代物でもない。そう思うのは、
(この黒の深みを私は知っている)
魔女の予言の如く、月詠は胸に呟く。
磨かれていない原石のようにも、不思議の技術の粋を凝らしてカットされたようにも見える、漆黒のダイヤ。
不意に手元に顕われた不思議なダイヤをためつすがめつして後、月詠は知らず詰めていた息をそっと吐きだした。ダイヤを掌に握り締めたまま、サイドテーブルの端に置いたタロットカードを手にする。なんとなし引いてみたカードは、『力の正位置』。
(前向きであることが良い結果を生み出す、かな)
タロットカードの意味するところをそう読み取り、月詠はふむ、とひとつ頷いて立ち上がる。ここは宝石を手に出かけてみることにしよう。
(きっと何か起こるだろう)
スーツケースをコロコロと引いてカワウソが歩いてきている。
星ヶ丘寮を出て程なくして出会ったフツウ極まりない光景に、月詠は大して驚くこともなく瞬きをひとつ。
昼下がりのゆえか人気の無い星ヶ丘の静かな景色に、三つ揃えの背広を纏った旅仕様なカワウソの姿は、不思議なほどに馴染んでも見えた。
(ほら)
くすり、月詠は笑う。
(起こった)
この島では、他の世界からの旅行者との邂逅が稀にある。
こんにちは、とシルクハットを胸に当ててお行儀よくお辞儀するカワウソに倣い、月詠も被っていた帽子を手に取り挨拶をする。
「宝石商をいとなんでおります」
カワウソの言葉に、月詠は訳知り顔で頷いた。ならば、と掌に包んでいた漆黒を差し出す。
「目的は宝石かね」
「これは、おはなしがはやい」
きらきらと瞳を輝かせるカワウソに、月詠は緋色の瞳を細めてみせる。
「あげてもいいが、この宝石は何か教えてくれないか」
「今日はとくべつの日です」
宝石が己から生み出されたものであるとの言葉にますます瞳を細めながら、月詠は躊躇いひとつなく己から生まれた宝石をカワウソの小さな手に渡す。
「なぜ、こんなにたやすく?」
「現在私が持っている道具では本物の宝石を加工することができないからだ」
あっさりと手渡された宝石に少し惑う様子のカワウソに、月詠は至極当然とも言いたげな口調で返す。
いつか宝石を加工することはあるかもしれないが、その時までとっておくよりも、今欲しい者がいるのならその者に渡してしまう方がいい。
それに、と月詠は異界よりの旅行者であるカワウソに悪戯っぽく笑いかける。
「いつかまた手に入るかもしれない」
カワウソが両手に捧げ持った漆黒に指を伸ばす。滑らかなようにも、鋭さを帯びているようにも感じられる、不思議のダイヤ。己の内包するさまざまの要素がかたちを得たもの。
(ならこの色も、魔女である私らしいものか)
小さく思う。
この黒は、さまざまな色を混ぜ合わせた結果の漆黒。であればきっと、この黒の中からはあらゆる芸術が生まれ出ずる。
「光に翳して見てみよう」
月詠の言葉に導かれ、カワウソは宝物を捧げる仕草で漆黒を太陽に差し伸べた。漆黒を通り過ぎた光は、地面に落ちて七色の澄んだ光を撒き散らす。
(ほら)
虹を差し伸べた掌に写し取り、月詠は笑みを深くする。
(千変万化だ)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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