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カワウソの宝石商と宝石を生む人々
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〇朝の光のガーネット
黒い目をきらきらと輝かせ、魚の宝石飾りのシルクハットを胸にお辞儀する灰鼠色のカワウソを前に、
宮祀 智瑜
はぱちりと瞬く。
「宝石商のカワウソさん?」
カワウソが一生懸命に見上げてくるのがちょっぴり申し訳なくなって、智瑜はコートの膝でしゃがみこんだ。ピカリと晴れた冬空が嬉しくて、朝いちばんのお散歩の途中で出会った不思議なカワウソと視線の高さを揃える。
カワウソが言うには、今日は『特別の日』らしい。
「私も宝石を生み出せるんですか?」
「はい、もちろんです」
カワウソの言葉に背中を押され、智瑜は自分の両手をじっと見つめた。ぎゅうっと瞼を閉ざす。
(私も出してみたいな)
ぎゅーっと両手を握り締めてみるけれど、掌には何の感覚も生まれてこない。
瞼を開いて空っぽの掌を見下ろし、小さく肩を落とす。
「どんなときにうまれ出るのか、ワタクシにもわかりません。けれど、そのときにはかならずおじゃまいたします」
においでわかります、と口にした途端、カワウソは黒い鼻を空に向けた。
「あちらで宝石の生まれたにおいがいたします、いってまいります」
透明髭をそよがせたかと思うと、カワウソは二本足でぺたぺたと道を歩き始めた。背広の下にのぞく立派な尻尾をご機嫌に振り振り、宝石を生み出したひとのもとへと急ぐカワウソの背中を見送りつつ、智瑜は小さく唇を尖らせる。
(良いなぁ)
羨ましいような寂しいような顔は、
(そうだ!)
けれどすぐにいいことを思いついた笑顔となる。
(日暮さんたちにも聞いてみよう)
不思議の世界から寝子島に移り住んだ日暮と夕ならば、もしかするとこういう不思議にも詳しいかもしれない。
ふたりが暮らすシーサイドタウンの住宅地の一角の古民家の庭には、そう大きくはないけれど立派な蔵がある。あの中には確か、たくさんの本が詰まっていた。今はどこからどうみても普通の幼児のそのくせ、もともとあの古民家にずっと棲んでいた座敷童でもある子ども──こんの屈託のない笑顔が浮かぶなり、智瑜は気の向くままに散歩していた足の行き先をシーサイドタウンに定める。
(こんちゃんなら知ってるかな?)
弾む足取りのまま、白い息をふわふわと吐き出すまま、シーサイドタウンに繋がる橋を渡れば、家族ぐるみのお付き合いをしている友達の家はもうすぐだ。
「おはようございます!」
冬にも関わらず開け放たれた引き戸の前に立つ。元気いっぱい挨拶すれば、
「はーい、おはようさーん」
奥の台所からまだ眠たそうな日暮の声がした。
「ちゆー!」
奥座敷の襖がすぱーんと開き、古びた廊下を雑巾がけしながら見た目四五歳ほどの少女が黒猫の珠をお供に飛び出してくる。
「おはよござます!」
上がり框の手前で止まって正座の格好で笑うこんと珠に、智瑜はおはようございますと頭を下げる。
「お掃除? こんちゃんも珠もえらいね」
「もう終わりですから、上がってってください。お茶なとどうです?」
台所から湯飲みと急須を乗せた盆を手に夕が出てきて笑う。そのあとに蜜柑いっぱいの籠を持った日暮が続く。
「蜜柑なと食べてき。言うて智瑜んちのお爺さんに貰うたやつやけど」
「はい、お邪魔します!」
手招きされるままに玄関の戸を閉め、靴を揃えて座敷にに上がらせてもらう。廊下の突き当りにあるだだっ広い座敷の端を衝立で囲った居間の炬燵にみんなで入る。
熱いお茶をすすりながら智瑜が話すのは、ついさっき道端で出会ったカワウソの宝石商と、その宝石商から聞いた話。
「どう思いますか?」
うーん、と首を捻る日暮に素敵やねえと微笑む夕、ほうせきほうせきと目を輝かせるこん。三者三様の反応を見つつ、智瑜は膝で丸くなる珠の背中をふわふわ撫でる。
「宝石が出るように願っても出ないんです」
「出たら智瑜はどないしたい?」
「うーん、皆にプレゼントしたいかな」
何でもないように智瑜が口にすれば、日暮と夕は顔を見合わせて微笑み合った。
しばらくお茶と蜜柑でのんびりして後、智瑜はふと思いつく。
「皆で一緒に宝石をイメージしてみませんか?」
膝で鳴く珠に、もちろん珠も、と笑いかける。みんなで炬燵に入ったまま、卓の上で手を繋いでみる。右手にはこんのあったかい手、左手には夕のひんやりした手。
なんだか秘密の儀式をしているみたいに思えて楽しくなった。目を伏せた瞬間に瞼の裏に浮かんだのは、ハート型の赤い石。
ふわり、淡い光を感じて瞳を開く。目の前に生み出されていたのは、
「石……岩?」
思っていた以上に大きな──春の初めに青果店に並ぶこともある土佐文旦ほどの結晶塊。鮮やかで暖かな赤の色した、ハートのかたち。
「思ってた以上に大きいですね」
「みなさんの想いのたまものです」
突然に縁側から聞こえた声は、どこからか入ってきたらしいカワウソの宝石商の声。
「あらあら、お茶でもどないです?」
動揺しない夕に招かれ、宝石商は炬燵の端っこにもそもそと潜り込んだ。ほわり、気持ちよさそうに頬を緩めて笑う。
「ガーネットのげんせきです。みがけば更につよくあざやかにかがやきますが、このままでもすばらしくうつくしい色です」
「ガーネット……」
目の前に現れた宝石に触れ、智瑜は呟く。名前だけなら知っている。
(大人が身に着けてるイメージかな)
蜜柑ももらって寛ぐ体勢に入るカワウソを微笑ましく眺めながら、智瑜は両手に宝石を掲げてみせる。
「えっと、この宝石どうします?」
これだけ大きなものを飾っておけそうなのは、座敷の床の間あたりだろうか。
「とてもご利益ありそうですよね」
「かわらない愛や友愛などの宝石言葉があります」
湯のみのお茶をふうふうと吹きながら宝石商が口にした言葉に、その場のみんなはくすぐったいような視線を交わし合い、そうして、笑いあった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年10月03日
参加申し込みの期限
2020年10月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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