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【星幽塔】第三階層 黄金砂漠には砂行く船
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鉄の床に格子の網が取りつけられただけの昇降機が下降する。
「怪我はありませんか」
「僕はどこも……吉住さんのお陰」
息を整えながら問うまりえに、夏朝がそっと首を横に振る。
「盾役ですもの、お役に立てれば幸いです」
二人分の視線を受けて、志桜里は前ばかりを睨んでいた顔を肩越しに振り返らせた。闘志に満ちたまなざしが、ふたりを見る間だけ静かに和らぐ。
昇降機を囲んでいた壁が不意に途切れた。周囲が不意に明るくなる。
格子の網の向こうに見え始めるのは、高い壁に囲まれた石と鉄の町。下降してゆく昇降機の高さからは、重なり合う石橋の向こう、壁より一段高い巨大な門のその先まで見渡せる。
「隔壁、というのはあの門のことですね」
小さくまりえが呟いた。
「もうあんなに凹んで……!」
夏朝は瞳を凝らす。隔壁に体当たりを続けているのは、今までに目にしてきたものの中でも一際巨大な『竜の尖兵』が一体、艦橋を襲ったものと同じサイズのものが三体。
町のそこここに転がる『竜の尖兵』と、それよりも多く倒れる兵士を確かめながら、夏朝は手にした戦輪にねこシールを貼り付ける。ろっこん『軽く重く』は自身を対象とすることはできないけれど、その他のものであれば、ねこシールを貼り付けることで思うままにその重量を変化させることが叶う。
ろっこんを発動させれば、別のねこシールを別対象に向けて射出することもできる。先に手近なものにねこシールを貼り付けておくことは、だからこれは進化能力を使うための前準備だ。
大人し気な瞳に決意の色を煌めかせる夏朝の横顔を見遣り、まりえは肩から提げた鞄を片手にぐっと引き寄せる。母の形見の指輪をはめた指を己の胸に押し当て、静かに息を整える。
守るべきふたりを背に、志桜里は倒すべき魔物をもう一度視線に絡め取る。下降する昇降機からの視線は見る間に低くなり、魔物の姿は高い壁の向こうに見えなくなった。
(盾役がメインだけど)
手にした盾、『睨む盾蛇』をちらりと見やる。左右下半と底面に刃のついた攻防一体、取り回しには相当量の筋力を必要とする超重量級の盾。中心に埋め込んだリンドヴルムの眼結晶に宿らせたは剣士の光。地面にアンカーとして刃を突き立てれば、どんなに重たい敵の突進でも防御が可能となる。
(シールドバッシュから剣術の応用まで、質量と筋力ならお任せ!)
己を鼓舞して心に詠う。
(タンクに火力がない、搦め手がないなんて誰が言ったのかしら、見てなさい!)
ゴン、と重い音をたてて昇降機が町の一角に辿り着く。ガラリと格子が開くのも待ち切れず、押し開くような格好でまりえが町へと飛び出した。
一目散に向かうのは、昇降機が町の天井の高さにあったときに位置を確認していた怪我人のもと。
「救援に参りました! 怪我をされている方、逃げ遅れた方はいませんか?」
隠れているかもしれない誰かにも届くよう、出来る限りに闊達な声を張る。そうしながら、いつもの仕事時と同様に通路を駆ける。
確認した道筋を通り、一番に近いはずの怪我人のもとへと辿り着く。
細い路地には、倒れ伏した兵士が数人と、袋小路に追い詰められ刃で滅多刺しにされて動かぬ『竜の尖兵』が一体。
(……っ……)
『竜の尖兵』たちは飢えて『船』を襲ったのだろうと、翼持つ老馬は言っていた。
飢えた果てに追い詰められて殺められた魔物の死体に一瞬だけ睫毛を伏せる。痛む胸を心の奥底に封じ、倒れ伏した兵士たちの容態を素早く確認する。
(大量出血、多発外傷、──)
それぞれの重症度の高さを見極め、治療の優先順を定める。
「もう大丈夫ですよ」
冷静な頭とは反対に、唇には柔らかな笑顔を浮かべてみせる。温かな励ましの言葉をかける。
「一緒に頑張りましょう」
治療においても、患者の心が不必要な不安に染まることは避けたい。どんな症状であっても、ひとは大きな不安に苛まれれば容易く死ぬ。
食いちぎられた足は切断面を清潔な布で覆って止血バンドで留めて止血、骨折した腕は手近な棒と布で患部を固定、創傷には縫合テープで傷口を接着。慣れた手つきで迅速に応急処置を行ってゆく。
目を背けたくなるほどの怪我にも動じず、的確に正確に止血を行い、時に星の力で治療する。
「こいつは、もう、……」
「大丈夫、まだ出来ることがあります」
息が絶えたと仲間が諦めた兵士の状態さえ確かめ、蘇生処置を行う。
(器具が足りない……!)
内心の焦りなど表には決して出さぬまま、救急とICUで重症患者を診ている知識を総動員させ全身全霊で治療にあたる。
戦闘能力を持たぬ彼女にとっての戦いは、『竜の尖兵』を倒すことではなく、兵達の傷を癒すことにある。ひとりでも多くの命を助けることにある。
「兵士さん達、大丈夫……!?」
まりえの手で治療を施され、ともかくも落ち着いて路地の端にうずくまる兵士のひとりの前に夏朝が膝をつく。
「だめだ、逃げろ」
優し気な風貌の少女に、兵士は低く呻くも、
「私たちはあれを斃しに来たんですよ」
「隔壁までの道を教えて」
重厚な盾を軽々と手に物静かに微笑む志桜里と、眦を決した夏朝の様子に唇を閉ざす。血に汚れて震える指先で地面に簡易な地図を描く。
「この道の先の階段を登って右、石橋を渡って行けばすぐだ」
「ありがとう」
夏朝はそっと微笑んで立ち上がる。敵の居る方向を真っすぐに見据えて駆けだす。
「まりえさん、私たちは先に向かいます」
治療に勤しむまりえに一声掛け、志桜里も夏朝の背を追う。
「処置が終わり次第追います」
一心に駆けて行くふたりの背に告げ、兵士の治療に戻ろうとするまりえの手を、年配の兵士がそっと取った。
「ありがとう、助かった」
だから、と瞳を覗き込んでくる兵士の眼には強い意志の光があった。
「行ってくれ」
「こっちはもういい」
「大丈夫だ」
他の兵士たちにも口々に言われ、まりえはほんの僅か逡巡する。怪我人はまだいる。だが、
「……分かりました」
彼らの意志を汲み、まりえは頷いた。隔壁が破られてしまえば、隔壁の向こうの『竜の尖兵』たちが町に入り込んでしまえば、今以上に被害が広がってしまう。
「終わればまた様子を見に来ます」
ご無事で、と心から願い、まりえは先に別の戦場へと駆けたふたりの後を追った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月18日
参加申し込みの期限
2020年06月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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