this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お正月】賑やかで華やかな一時を
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
つぎへ >>
電車は都心を離れ、郊外へと向かう。前の駅で多くの人が降りて車内は閑散とした。
座席には晴れ着姿の
葉月 朱真
と
古苗木 美姫
が並んで座っていた。
朱真がぽつりと口にした。
「七五三は十一月十五日だ」
「そうだけど、さっきのおばあちゃんに悪気はないと思います。あのくらいの年齢になると、朱真ちゃんやわたしが小さな子供に見えるのでしょう、たぶんですが……」
「わたしを見て言った」
「そう、だったかしら」
美姫は小首を傾げた。眼鏡の奥の目に落ち着きがない。
何か思い付いたのか。急に笑顔となった。
「ほら、朱真ちゃんの晴れ着は生地が赤くて、描かれた幾何学模様が想像でいろんな花に見えます。その華やかな感じと可愛らしい顔が印象的で七五三が頭に浮かんだのかもしれないですよ」
自身の言葉に笑顔で頷く。朱真は青い目を向けた。
「美姫は『若いのに大変ね』と言われたが」
「あれは……わたしの生地が青いせいです。牡丹の柄と手毬が古風で大人びて見えて、お姉さんと勘違いされたのだと思います」
「お母さんではなくて?」
「そこまで年の差があるようには見えないと思いますよ」
「そうか。考え過ぎたか。悪い癖だ」
朱真は正面の窓に目を向ける。ビルは消えて畑が目に付くようになった。
同じように見ていた美姫が口を開く。
「実家に誘ったのはわたしですが、朱真ちゃんは帰省しなくて平気? 家族の方々が心配していたりしない?」
「実家の正月は堅苦しいところがあって少し退屈だ。美姫からの誘いは渡りに船で大いに助かったよ」
「それを聞いて安心しました」
目的の駅に着くまで二人は会話を楽しんだ。
改札を抜けると牧歌的な風景が広がっていた。高層マンションはなく、木々が多く目に付いた。
朱真は関心を寄せて方々に目を向ける。
傍にいた美姫はスマートフォンを起動した。表示された時間を見て少し俯いた。
「朱真ちゃん、お昼まで時間があるから先に初詣はどうかしら」
「わたしは構わない」
「ありがとう。案内しますね」
草履の移動が苦にならない距離に神社はあった。
小さな鳥居を潜ると横手に手水舎が見える。二人は立ち寄って穢れを落とし、社殿に向かう。
境内を歩きながら朱真は大きく息を吸った。
「森の匂いがする」
「木々のおかげで夏は涼しくて、秋には提灯が下げられて幻想的な風景を楽しめます」
「美姫のお気に入りの場所ということか。それで願い事はどうするつもりだ」
二人は同時に足を止めた。賽銭箱を前にして美姫は頭を少し傾ける。
「家族の健康と、あとは内緒です。朱真ちゃんは?」
「わたしは自分や親しい人の健康と安泰を祈る。二十歳で身長が伸びるとは思えないが、五百円の賽銭の効果を信じよう」
「わたしも五百円にします」
二人は賽銭箱に五百円玉を入れた。一緒に紐を掴み、鈴を鳴らした。
二礼二拍手のあとに祈り、一礼して後ろに下がる。
美姫は社務所に目を向けた。
「おみくじで今年の運勢を試してみません?」
「童心に返ってみるか」
見た目が幼い為、美姫は微妙な視線を送った。
二人はおみくじを引いた。書かれている内容を目にしてどちらも顔が綻ぶ。
「大吉だ。良縁に恵まれて想い人が来るそうだ。健康運を見ると、背が伸びる兆候はないか」
「わたしは吉ですね。待つことで運が開けるみたい。方角は西南が良いみたいですが、そちらに何があるのかしら」
「わたしと同じで想い人が関係しているのかもしれないな」
「え、そうなのでしょうか。そうだとしたら……」
美姫は顔を赤らめた。いそいそと紙を畳んで財布に入れた。
「想い人がいるのか?」
「い、いないですよ。想像しただけで。早く家に行きましょう」
美姫は早口になって歩き出す。朱真は顎先を触りながら付いていった。
道路脇には田畑が広がる。その中に民家が点在した。
大きなビニールハウスもあり、味のある看板には『古苗木ベリー』とあった。隣接する二階建ての一軒家と庭が繋がっていて、小さなテラスにはテーブルと三人分の椅子が置かれていた。
家の中では
古苗木 此幹
が落ち着かない様子でいた。ソファに座っていたかと思えば立ち上がり、時計を見て座り直す。
再び立ち上がって部屋の中を歩き回った。亡き妻の写真を見て語り掛ける。
「今日、正月の休みを利用して美姫が帰ってくるよ。大学の友達を連れてくると聞いて楽しみで。ブルーベリー農園を経営しているからベリーそわそわだよ」
チャイムが鳴った。此幹は目を見開いて玄関に素っ飛んでいく。ずり下がった眼鏡を中指で上げてからドアを開けた。
晴れ着姿の美姫と朱真の初々しい姿に此幹は目を細めた。
「お父さん、ただいま。この子が友達の葉月朱真ちゃんです」
朱真は一礼した。
「初めてお目にかかります。葉月と申します。美姫さんとは常日頃から親しくさせていただいております」
「こちらも初めまして。娘がお世話になっています。美姫パパです。おかえり、我がベイビー。それと肩の力を抜いて気楽に接してくれると嬉しいなぁ」
「では、失礼のない程度で善処します」
姿勢を崩さず、微かな笑みを作った。
「朱真ちゃん、わたしの部屋に案内しますね」
少し焦れたように美姫が言った。
此幹は立ち塞がるように両腕を広げた。
「美姫、お帰りのハグがまだ終わってないよ」
抱き締めようとした腕を横に躱す。
「お父さん、それより昼食の用意をお願いします」
「ずっと会えなくてパパのハートはズッキーニだったのに」
「ズッキーニ?」
朱真が繰り返すと美姫は手を繋いだ。急かすように上げて自室に向かう。
「ランチの用意ができたら部屋に呼びにいくよ。まぁ、ゆっくりしていきなさい」
バタバタと音を立てて美姫は朱真を連れていった。
自室に入ると美姫は意外そうな顔で見回す。
朱真は軽く袖を引っ張った。
「何かおかしいのか?」
「あまりに変わっていなくてびっくりしました」
美姫はそっと前に出た。本棚や飾られた写真を眺めてクローゼットで足を止める。開いて中を見ると暗い色が目に付いた。
「晴れ着と違って黒いな」
「改めて見てわたしも、そう思います。中学の時の服が特に黒くて、お母さんが亡くなった影響があったのかもしれません」
朱真は一着に目を留めた。
「この服は青いが」
何気なく引っ張り出す。肩紐の付いた一体型のズボン、オーバーオールであった。
「可愛いデザインだ」
「こ、これは、違うのです。農作業の手伝い用の物で、決して普段着ではなくて、本当に違いますから!」
美姫は早口でクローゼットを閉めた。
朱真は力強く頷いて見せる。
「人は見た目で判断できないものだ。知る程に深さが増して、実に興味深い。無邪気な一面があってもおかしくはない」
美姫は否定の意味で頭を振った。朱真は得心がいった様子で本棚に目を向ける。
「美姫の愛らしい一面が収められているのだろうか」
指先で出したアルバムを見て美姫はやんわりと押し戻す。
「文庫の小説もあります。星座占いの本もありますし、これは昔から好きだった絵本ですね」
「絵本か。齢を重ねるに連れて左脳が活発になる。わたしも二十歳を迎えて大人の仲間入りだ。たまには右脳を鍛えてみるのもいいか」
美姫がクッションを用意した。並んで座った状態で絵本を開く。
「種を土に埋めるのか」
「そうですよ。この後、何が起こるでしょう」
「芽が生えるのだろう」
「答えは次の頁にあります」
美姫は頁を捲った。土から立派なタケノコが生えていた。
「どうしてだ? タケノコは地下茎から生えてくるクローンのはずだが」
「どうしてでしょう。また種を植えました」
楽しそうに言いながら美姫は頁を捲った。蛇が身をくねらせて土を這う。
「これはどういうことだ?」
頁を捲る度に謎が深まる。種はロケットや恐竜を生み出した。
最後の頁を捲ると一人の男の子が描かれていた。種から生まれた数々の物に囲まれて笑っている。
『アイデアの種がいっぱい!』
その一文を見て朱真は、なるほど、と頷いた。
「どうでした?」
「右脳が柔らかくなった気分だ」
「それでしたら、あのスゴロクも楽しめるかも!」
美姫は笑顔で立ち上がった。
「ふむ、柔軟な発想か」
朱真は思考を巡らせるように目を伏せた。
「奥の方にありました」
美姫は元の場所に座った。抱えていた長方形の紙の箱を開けて中身を取り出す。二つ折りにされたボードを床に置いて開いた。
「人生……違うな。人生転落ゲームか」
「大金持ちからスタートして、ゴールまでにどれだけ落ちぶれているかを競うスゴロクになっています」
「確かに。このマス目は『連帯保証人になって一億の借金を背負う』とあるな」
「用意しますね」
美姫は玩具の有価証券や紙幣を手にして数え始める。
「……
アケノイロ・パズル
の新作のヒントになるか……」
二人による人生の転落が始まった。早速、朱真の持ち株が暴落した。不幸を競うように美姫の会社のセキュリティーが破られ、重要機密が流失。負けじと朱真は車の衝突事故を起こし、大怪我を負った。二人が共に不況の波で会社が傾いた。
人生の挫折を共に味わっていると声が聞こえてきた。
「美姫、少し手伝って欲しいのだが、今、大丈夫かー!」
「朱真ちゃん、スゴロクが途中ですが、呼ばれているので行ってきます」
「わかった。わたしは本などを見て待つとしよう」
朱真は笑顔で送り出した。言った通り、本棚に向かってアルバムを手にした。開いて見ると美姫を中心に朗らかな両親が写っていた。
中の一枚に目がいく。左手でピースをしようとした美姫の表情が半泣きになっている。右手に持っていたソフトクリームの一部が地面に落ちていた。
「可愛いな」
笑みを浮かべながら頁を捲っていく。
ジャングルジムを背にした美姫が地べたに座り込んで泣いていた。スカートから覗く膝が赤く擦り剥けていた。
次の写真では目に涙を溜めた状態で怒りを露わにした。正面に向かって指を差し、大きく口を開けている。
「この写真は『泣いてるのにカメラ向けてないで助けてよ』といったところか」
自身の推察を交えて写真を見ていく。
「朱真ちゃん、昼食の用意ができましたよー!」
「名残惜しいが、行くとしよう」
アルバムを元に戻すと柔らかな笑みを浮かべた。
「こちらか」
朱真は廊下をゆく。ドアの開いた部屋があった。西部アメリカを彷彿とさせる調度品が数多く見られた。年代物のジュークボックスの上には家族の写真が飾ってある。
リビングに足を踏み入れた。広々とした空間にグランドピアノが威厳を放つ。壁際には大きなチェロが立て掛けてあった。アコースティックギターが寄り添う。
音楽一家を想像したのか。朱真は軽く頭を揺らしながら歩いた。
「来たようだね。ランチはテラスで食べるよ」
窓から半身を出した此幹が気さくに語り掛ける。
朱真は少し考える仕草で言った。
「お節でしょうか」
「フッ、普通はそう思うよね? これが違うんだなぁ。バーベキューだよ。炭の火力で一気に食材を焼いていくよ。タレは醤油ベースと辛味噌だよ。好きな方を選んでお腹いっぱい食べていってね」
「ありがとうございます」
朱真は玄関を回って草履を履いてテラスに移動した。
「もうすぐ焼けるから座って待っていてくださいね」
美姫がステンレス製のトングでステーキ肉をひっくり返す。網には海老や野菜がずらりと並ぶ。隅の方には餅まであった。
視線に気付いた此幹が笑いながらウインクした。
「餅があると正月気分になれるよね。美姫、あとはパパが焼くから椅子に座って待っていなさい」
「お父さん、あとはお願いします」
「感激してハグがしたくなったら、いつでもパパの胸に」
「それはないから安心してください」
「パパの胸がズッキーニ!」
此幹は胸を手で押えて仰け反った。数秒で回復してにこやかな顔で野菜の焼き目を見て位置を変える。
「自家製の野菜だからどれも甘くて美味しいよ。ブロッコリーとステーキ肉が焼けたよ。ナイフとフォークで切り分けて食べてね」
「まずはお客さんの朱真ちゃんからどうぞ。熱いから気を付けて」
「僭越ながら、いただきます。まずは醤油タレで」
皿に盛り付けられたステーキ肉にナイフを入れる。厚みの割にすっと切れた。フォークに刺して小皿のタレに一部を浸し、口に運んだ。
朱真は深い味を追い求めるように咀嚼した。
「焦げ目があるのに柔らかい。甘い肉汁と濃厚な醤油のタレが合わさって、そう、実に美味だ」
「それはよかった。じゃんじゃん焼くから遠慮なく食べて欲しいなぁ。美姫のステーキ肉が焼き上がったよ」
「お父さん、ありがとう」
二人は笑顔で食べ進めていく。時に晴れ着の袖を気にしつつ、合間に会話を楽しんだ。そこに此幹も加わった。
会話が中心になる頃合いで此幹が提案した。
「口の中が脂っこくなったよね。成人式はまだだけど、お酒はどうかな? ワインセラーに取って置きの一本があるよ」
「お祝いで少しなら飲んでみてもいいかも。朱真ちゃんはどうします?」
「いただくつもりだ」
「決まりだね。少し待っていてね。ルッコラしょっと」
「よっこらしょではなくて?」
「朱真ちゃん、今のはお父さんの駄洒落ですから」
「野菜のルッコラか」
「そういうこと♪」
此幹は弾む声で離れていった。間もなく飛び跳ねるようにして戻ってきた。
「これだよ、これ!」
「年代物の赤ワインですね」
此幹は朱真に向かって、その通り、と明るく返した。
「この赤ワインは二十年物で妻と一緒に購入したものなのだよ」
「お母さんが……」
美姫は僅かに目を潤ませた。
「娘の成人の祝いに用意したものだからちょうどいい。少し早い成人式になるけどね」
此幹は後ろ手に隠していたワイングラスを二人に手渡す。その後、小気味いい音でコルクを引き抜き、芳醇な香りのするワインを二人のグラスに均等に注いだ。自身には少し大きめのグラスを用意した。
此幹はワイングラスを片手に持ち、二人に笑顔で言葉を送る。
「二十歳となった二人を祝って乾パイン!」
「カンパイン?」
「朱真ちゃん、これも駄洒落ですよ」
三人は揃ってワインを口にした。味や香りで会話が弾んだ。
此幹はグラスのワインを飲み干した。物足りないという顔で口を閉ざす。
瞬時に笑顔となった。
「美味しい食事に酒ときたら、次は音楽だよねぇ。パパがギターを担当するから美姫はチェロを頼んだよ。クラシックでもいいけど、誰もが知っているような懐メロがいいかな。そうと決まったら早速、ギターで指を慣らさないとね」
「決まったのですか!? わたし、晴れ着なのですが。着替えないとチェロは無理です」
文句を言いながらも美姫は椅子から立ち上がる。
部屋に小走りで引き返し、青いパーティードレス姿で戻ってきた。
テラスに置かれたテーブルやバーベキューコンロは隅に押しやられた。
空いた場所に此幹と美姫が椅子に座った状態で並ぶ。短い話し合いを終えると代表として此幹が一人の観客に向けて一礼した。
「今日はお忙しい中、古苗木ベリー主催の演奏会に足を運んでいただき、誠にありがとうございます。誰もが一度は耳にしたことのある懐かしいメロディを中心に演奏していきます。香り高いワインを飲みながらお楽しみください」
此幹は曲名を告げた。目配せをして演奏が始まった。軽快なギターの旋律にチェロの重々しくも美しい音色が重なる。
曲が変わるとチェロを指で弾いた。ギターがしっかりと支えて調和の取れた音を響かせた。
「……素晴らしい音楽会だ」
仄かに染まった頬で朱真は気持ちよさそうに上体を揺らした。
小一時間が経ち、一人の盛大な拍手で演奏会は終わった。
帰り際、朱真は美姫と約束を交わす。わたしの家にも来て欲しい、と。
<< もどる
1
…
24
25
26
27
28
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お正月】賑やかで華やかな一時を
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年06月14日
参加申し込みの期限
2020年06月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年06月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!