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カビカビレイニーデイ
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事件に巻き込まれてしまったけど、
宮祀 智瑜
は少しほっとしていた。
朝から智瑜は実家の八百屋の手伝いで配達に行っていた。巻き込まれたのは配達から帰る途中だ。
もし“行き”で巻き込まれてたら大変だった。
お客さんにカビカビの野菜を届けるわけにもいかないし、何より自分の家の野菜がそんな風になってるところを見るのは悲しい。
――お野菜の代わりにきのこを届けるわけにも行かないですし。
――でも、ここに生えているきのこ。この辺では珍しい種類のものばかりですね。
八百屋の娘なので目利きには自信がある。
――白いきのこは“ハラガイタイダケ”ですね。とってはいけない毒きのこです。
――こちらのピンクのきのこは“アイガホシイダケ”、食べられますけどそれほど美味しくありません。
――そして、このきのこが“ウマイダケ”です。
黄色と紫の見るからに毒物な色使いに誤解されがちだが、こう見えてとても美味しいきのこである。
それは、非道の限りを尽くすヒールレスラーが、実は進んで悪役を買って出てる良い人、だという事実に似ている。
ウマイダケを採集しながら歩いていると桜花寮が見えてきた。
寮のまわりには掃除をしている寮生がたくさんいる。そこで寮生がこんな話をしているのが聞こえてきた。
「このカビの原因、どうも4組の野菜原らしいぜ? あいつの部屋から胞子が飛び出すのを見た奴がいるんだってよ」
「野菜原って……あの野菜原だろー? 何回騒ぎに巻き込む気だよ、あいつ」
――4組? 野菜原? もしかして……あのユウくん?
会ったことはないけれど、彼のことは一時期噂になっていたので知っている。
何でも島中を巻き込んだとんでもない騒動を起こしたとか。
直接それを見たわけじゃないのでどこまで本当なのかは智瑜にはわからない。
でもこの事件が彼の仕業だとすると、その噂もあながちただの噂じゃないのかもしれない、と思った。
――会いに行ってみましょう、ユウくんに。
男子寮B棟。
カビの発生源疑惑のある建物だけあって、他の場所と比べても圧倒的にカビの具合が酷いことになっている。
階段を上れば上るほど、目に見えてカビときのこの森は深くなっていく。
4階のユウの部屋を目指す智瑜は、時折、上の階から降りてくる男子とすれ違った。
大変なことになってるぞ、とか、これじゃ近づけない、とか言う声が耳に聞こえてくる。
彼らの言うとおり、上に向かうに連れ、視界は飛び交う胞子で危うく、そして息苦しさすら感じてくる。
不意にまた、ドドドドド! と寮を揺るがすような音が聞こえた。
その途端、上階から胞子の煙が雪崩れように滑り降りてきた。
「逃げろ!」
「!?」
上の階から二つの影が飛び出してきた。
その1人に腕を掴まれ、智瑜は下の階まで引っぱられて行った。
「げほっげほっ!」
煙に飲み込まれることは避けられたものの、2階も霧がかかったように胞子が充満していた。
逃げてきた内の1人は勇。咄嗟に智瑜を連れ出してくれたのは彼のようだ。
そしてもう一人は、防塵マスクにサバゲー用のゴーグルを付けた
ナタリア・シシロヴァ
。
「ここはいつから猫鳴館になったんです?」
ロシア生まれの奇麗な顔立ちをしているが、今は不愉快そうに顔をしかめている。
「やはり、不潔な人間と言うのは何処にでもいるんですね。汚らわしい……」
よほどこのカビが腹に据えかねるのだろう、全身からピリピリとした気を出している。ちょっと近寄り難い。
「どうなってるのよぉ、もう」
後ろからも声が聞こえた。
霧の中から出てきたのはジャングルに向かう兵隊さん……ではなくカビ対策の格好に身を包んだしおりだ。
皆、ユウのところに用があるようだ。
そこに刀と円もやってきた。
刀は濡れたタオルで口元に巻き、借りてきたデッキブラシを野太刀のように肩に担いでいる。
円はカビ取りスプレーとスポンジたわしを持って、腰元には何故か“のこぎり”を差している。
「すごい胞子……。雨で条件は最悪だけど、いまだに増えてるって事はやっぱり4階に発生源があるのかな?」
「だろうな」
「という事は、部屋に巨大なきのこもあるかもしれないわね」
「それは行ってみてのお楽しみだ」
刀は階段を険しい目で睨んだ。
「俺が先に行く」
頭の中で撃鉄を落とした。
瞬間、刀は加速する。
精神が加速して相対的に世界がゆっくりと動く。
散弾を撒くようにカビ取り剤を撒き、階段に張り付いたカビをブラシのひと太刀のもとに薙ぎ払う。
掃き掃除でカビを片付けながら、どんどん上の階に。
撒き散らされる胞子の煙と、速すぎる刀の動きのため、まわりには何が起こっているのかわからない。
――この能力を使うと結果のみが周りに認識され、加速中の過程は誰にも知られずに終わる。
――誰にも立ち入ることの出来ない俺だけの世界。
とても孤独な世界だ。
この能力を使っている間、自分はこの世界住人ではないような気がしてくる。
――この孤独感に慣れた時、俺にとってろっこんが便利な道具から自分の一部となるんだろう。
ものの数分で道を切り開き、4階に辿り着く。
「!?」
刀は加速を止め、身構えた。
4階に待ち構えていたのは、全身をカビに覆われたもさもさのカビ人間。
その姿はトンデモ本に出てくる雪男のよう。もさもさに覆われているため、その表情を窺い知ることは出来ない。
「なんだこいつは……」
得体が知れなさ過ぎるので慎重に間合いをとる……とその時、後ろから素早く勇とナタリアが飛び出した。
「野菜原だな! 寝ぼけているのか知らないが、今すぐにこれを止めるんだ!」
勇は胸ぐらを掴んでカビ人間をガクガク揺さぶった。
続いてナタリアがガッと首に腕を回す。
「止めるか、止めないか、道は二つに一つ。止めないのならこのまま……」
腕に力を込める彼女の目が冷たく光る。
「ぐ、ぐるじぃ……! お、俺は野菜原じゃねぇっつーの!」
カビ人間は2人を振りほどき、身体に貼り付いたカビを払い落としていく。
「食い物をダメにされるわ、野菜原に間違われるわ、散々じゃねぇかよ、俺ぇ……くそぉ、野菜原ァ……!」
出てきたのは、涙目の朝陽である。
彼は集まった皆を見回した。
「なんだよ、お前ら? お前らも野菜原のアホに文句を言いにきたのか?」
「大体そんなところ」
「うんうん」
円はのこぎりを、しおりはまきざっぽを振りかざした。
「
……え? 殺すの?
」
朝陽は青ざめた。
「違う違う。胞子を撒き散らしてるのは大きなきのこなんじゃないかと思って、根元から切りに来たの」
「……で、私は桜庭さんが切ったきのこを、このまきざっぽに植えて育てようかなぁーと」
「あ、そうなんだ……」
「なぁ立ち話している暇はないんじゃないか?」
刀は言った。
「先を急ごう。胞子が撒き散らされる前に片をつけるんだ」
ユウの部屋は扉が開いたままだった。
その奥に続く8畳ほどの部屋は、カビときのこに覆われて、太古の大森林を思わせる状態だった。
ジャングルの奥地に向かう探検隊のような心持ちで、おそるおそる足を踏み入れる。
カビは万年苔のように部屋全体を覆い尽くし、きのこはこれまでに見てきたものとは比較にならないほど巨大化していた。
「こんなきのこ見たことないです……」
猫サイズのものから大きなものではレトリバークラスのものまで。八百屋の智瑜も驚きのデカさである。
「どうせ食べ物を放置した結果に違いねぇ!」
朝陽は行く手を遮るきのこを、箒で薙ぎ倒して道を作っていく。
「食べ物を粗末にしたお前が悪いんだから、容赦なく徹底的に調べあげてやるぜ! 強制捜査だ!!」
そのあとに続いて中に入った円としおりは大きなきのこに目を丸くした。
「す、すごぉーい。これはきのこの品評会に出したら優勝間違いなしね……あ!」
しおりはまきざっぽに目を落とした。
「これじゃ小さいかも……」
「苗床をどうするかは切ってから決めればいいよ。暴れ出す前に切っちゃおう」
円はのこぎりで、しおりはスコップで、きのこを根元から断っては45Lのごみ袋に詰めていく(しおりの持ち帰り分も一緒に)。
その横では、朝陽が台所まわりや、引き出し、クローゼットを漁って、この異常なカビの苗床を探して回っている。
けれど、どこにも食べ物の類いは見当たらなかった。
「……あれ? おっかしーな。絶対なんかの食い残しが発生源だと思ったのに……」
首を傾げながら円としおりの切り倒したきのこの根元を調べた。
「ここになら何か……あった!」
根元から引きずり出したのは、食べ物ではなく……
おそらくユウのものと思われるパンツ!
それも大量に。
この適当に脱ぎ捨てられた感ばりばりの状態から察するに……おそらくたぶん洗ってないやつだ!!
「ぱ、ぱ、パンツぅ!? うわわわっきったねぇ!!」
思わず放り投げたそれはぺたりとしおりの顔面に!
「きゃーーーーっ!!」
慌てて払うと今度は円の頭に。
しかし、彼女は飛んでくるパンツをボクシング部仕込みのスウェーバックで躱し、朝陽にボディブローを食らわせた。
「何すんの!」
「ぶおっ!!」
朝陽はきゅう……と情けない声を出して、カビのマットに沈んだ。
とその時、智瑜は人差し指を唇に置いて耳をそばだてた。
「……待ってください。何か聞こえます」
聞こえる。
このメロディはフォークソングだろうか。昭和の、貧しい侘しい、暗いメロディが繰り返し繰り返し、部屋の中に流れている。
部屋はカビで覆われているので音の出所は不明だが、たぶんラジカセかコンポから流れているのだろう。
ユウのろっこんは『ダイナモセンス』。
聴いている音楽をテンションに反映するというささやかな力だが、前に暴走した時はその効果を島中にばらまいた。
それもとても過剰な形で。
今回のこれは以前のものとは違うタイプだが、もし彼の暴走が引き起こしているなら音楽が関わっているのは間違いない。
「ユウくん、どこにいるんですか?」
智瑜は声をかけた。
「初めまして。1組の宮祀智瑜と言います。お土産に美味しいきのこを持ってきました。出てきてもらえませんか?」
返事はなかった。
それでも辛抱強く声をかけていたその時、躓いておもいっきりコケた。
「きゃあ!」
ところが、突っ込んだカビまみれの床はよく見れば膨らんでいて、優しく受け止めてくれた。
「も、もしかして……!」
カビをひっぺがし、出てきたのは高そうな布団。
その中に、ユウはいた。
目の下にクマを作って、大分やつれ果てた彼はぼんやりと天井を見つめている。
「……暗い。鬱だ。辛い……」
「野菜原!」
勇は襟首を掴んで引き起こした。
けれど、ガクガクとゆすり、ほっぺをぎゅうっとつねっても、ユウは依然様子がおかしいままだった。
ただ、様子はヘンだが、着ているもの……バンドのTシャツとハーフパンツ……は奇麗なままだ。
と言うか、この“布団”自体がカビを寄せ付けていないようである。
この騒動が起こる少し前。
雨のそぼ降る中、
猫島 寝太郎
はクリーニング屋のアルバイトでちらしをポスティングして町内を回っていた。
「今日もよく降るよねぇ~」
寝太郎は雨合羽を被って自転車で回る。
その途中、立ち寄ったのは桜花寮だった。
「おはようございまーす」
「あら、おはよう。朝から頑張るわね」
寮母のトシコさんと挨拶をかわして、寝太郎がやってきたのは男子寮のB棟。
雨合羽を脱いで玄関の郵便ポストにちらしを入れていく。
――野菜原君の部屋はB棟の4階だったよね。留守じゃないといいんだけど。
ユウから借りっ放しになっていた『ハレバレサニーデイ』のCDを、ついでに返しに行こうと階段を上がって行った。
ところがドアフォンを鳴らして待っても反応がない。
「どこか出掛けてるのかなぁ……ん?」
少し開いた扉の隙間から、煙がうっすらもれているのが見えた。
次の瞬間、どっかんとけたたましい音とともに扉が開き、とんでもない量のカビ胞子が噴き出してきた。
「な、ゲホゲホッ! ちょっ火事とか? 野菜原君、大丈夫ー!?」
煙る部屋の中、ベッドに体育座りしているユウを見つけた。
ところが、昨日は元気だったのに、目の下にクマを作ってすごくげっそりとしている。
その上、壁の一点を見つめてブツブツ言っているのだから、怖い。
「と、とにかく連れていかなきゃ!」
助け出そうと担いだその時、力なく垂れたユウの手が肩に2回触れた。
寝不足の人物に肩を2回叩かれる、それは寝太郎のろっこんを呼び覚ます合図。
超高級羽毛布団に変身してしまった寝太郎の上に、ユウは倒れ込む。
――ど、どうしよう!
図らずも発覚したのは超高級羽毛布団と化した寝太郎の汚れと侵食への強さである。
流石、高級。いついかなる場合においても眠り手に安眠をもたらす特別な布団なのだ。
一家に一組、寝太郎布団!
ま、それはさておき。
「……いい加減説明してもらいましょう」
ナタリアがユウに尋問している。
このカビの原因は一体何なのか、ユウが関わっているのか、尋ねるがユウは相変わらず反応がない。
「仕方がありません。
ロシア式
に質問しましょう」
だらんとしたユウの腕をナタリアは掴んだ。
「あなたに質問をします。10秒待ちます。あなたが答えない場合、腕が間接と逆に曲がります。ルールは簡単ですね」
「待て待て待て!」
刀は彼女を羽交い締めにして止めた。
「ロシア怖すぎるだろ!!」
「なんですか、祖国を侮辱する気ですか?」
「そ、そういうわけでは……」
ツンドラよりも凍える彼女の視線に、刀は背筋が寒くなった。
「こうなったらこれだ」
勇はおもむろに洗面所に行くとバケツに水を入れて戻ってきた。
「目を覚ませ!」
ざっぱぁん!
頭からユウに水をかける。
「……どうだ?」
しかし刀は首を振る。
「これも駄目か……」
どうしたものかと考え込んだその時、突然部屋の中がしぃんと静まり返った。
さきほどまでとは部屋の空気が違う。
台風が来る前の静けさ、お母さんがお説教する前の沈黙、恐ろしいことが始まる前には必ず静寂がともなう。
そして、ざわざわ、ざわざわ……と今度は部屋の中がざわつき始めた。
不穏な空気に皆の表情がに強張る。
きのこも胞子を飛ばすが、カビだって胞子を飛ばす。
異常に活性化したここのカビの撒き散らすそれは、爆発的に拡散し、窓から花火のように胞子を打ち上げるほど!
ここにいたらヤバい!!
「に、逃げろ!!」
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ブロンズシナリオ(100)
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なし
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日常
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年09月11日
参加申し込みの期限
2013年09月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年09月18日 11時00分
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