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Sweetnessをさがして
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陽が海に消えると、シーサイドタウンはぐっと静かになります。
地方都市だからでしょうか。大都会よりずっと、夜は早い。
といっても、街が活動を停止したわけではありません。真昼のタウンが無邪気な、子どものような陽性を発しているのとは対称的に、夜になれば落ち着いた、冴えた気配が満ちるのです。
寄せては返す潮騒が、目を閉じれば聞こえてくるようでした。
シーサイドタウンで評判の、海の見えるフレンチレストラン。一番いい席に二人はついていました。
「ちょっと、気障すぎたか?」
水の入ったグラスを傾けるのは
シグレ・ナイトウォーカー
。
夜色のスーツは有名ブランドのしかもオーダーメイドで、惚れ惚れするほどにぴったりと、彼の身を包んでいます。
「あ……いえ、そんなこと、ないよ」
うつむき加減で
緋紅朱 赫乃
は答えるのです。薔薇色のテーブルクロスさながらに、彼女の頬は紅潮していました。
念入りに選んできた白基調のゴシックドレスは、店にも、シグレの今宵の装いにも調和していました。
髪を飾るのは二輪の髪飾りです。いずれもモチーフは薔薇でした。ひとつは、赤とピンクの複色、もうひとつは、純白。
初夏のコース料理は粛々と、それでいて様々な色彩と表情を見せながら、二人のテーブルにやってきました。
まずは小さなパンと、これをひたすチーズのオイル漬けがアミューズとなりました。
続いてあらわれるはトマトとアボカド、それに初夏の海で採れた魚介類を盛り込んだメランジェサラダ。海老の赤さとトマトの赤さ、アボカドの緑がおりなすファンタジー。
かくてサラダが夏の香りを呼び入れた後は、クレソンの色を楽しむ冷製ポタージュが涼をもたらします。
そしていよいよ魚料理、白身魚の香草焼きです。伝統的なフレンチの味付けというよりは、多少和風のテイストですが、これがなかなか、すっきりしつつも奥深き逸品。
さあ、メインディッシュと参りましょう。
国産牛フィレ肉のグリエは、焼き目も鮮やかな半円形。大きなお皿にちょん、ちょん、と載せられた飾りつけともども、フォークやナイフで触れるのがためらわれるような可愛らしい姿でありました。隠し味にオレンジを使った、軽やかながら印象的な舌触りです。
シャーベットは山葡萄の味、そして締めくくりに、レモンのケーキですっきりと終わります。
「この、ケーキ……とっても」
「うん。美味しいな。この店、シェフが代替わりしてから来るのは初めてなんだけど、押しつけがましくない程度に洗練されていて、むしろ前より良くなったと思う。パーフェクトだ」
「すごい。くわしい、ね」
「いや、来たのはまだ四回目さ。通ぶって聞こえたとしたら、それは誤解」
微笑を唇に浮かべながらも、すこし、満ち足りないように思うシグレです。
足りていないのは心でした。
ロマンティックなデートといっていいのですけれど、まだその表面を撫でているだけな気がします。本当に口にしたい言葉を、まだ出せないでいるのです。
それは赫乃も同じでした。
手を伸ばせばすぐ届くところに答があるのに、見えているのに、なんだか触れるのが怖い――そんな悩ましさがあります。
――明るすぎるから?
店内は控えめの照明で、他にはキャンドルの灯があるばかりですが、それでも互いの顔が、しっかりと見えすぎなのです。少なくとも、勇気を挫いてしまう程度には。
「あの、観覧車、に、乗りません、か?」
積極策を提案したのは、赫乃でした。
「そうしよう」
その言葉を待っていたかのように、シグレはさっと立って彼女の手を取りました。
「お手をどうぞ、薔薇の君」
夜の観覧車が、シグレと赫乃の二人を乗せて上昇をはじめました。
適度に冷房が効いた円形のゴンドラは、囁き声でも会話ができるくらいに静謐でした。
ゆっくりと眼下の光景が小さくなっていきます。
同時に、空にかかる月が、手に取れるように近づいてきます。
そろそろ頂上……というところで赫乃はこつりと、ガラス窓に額をつけて言いました。
「ねぇ、シグレさん。……私、は、貴方が、盗みたく、なるような。レディに、なれた、かな?」
不意を突かれたか、一瞬、言葉をうしなうシグレです。
「俺は……」
その言葉を遮って、
「けど、もう、私の、好きの、感情、は……もう、抑え、られない、よ……!」
彼に顔を向けた彼女は、瞳を潤ませていました。
水無月の夜空の、黄金の月光を反射させて。
「ちょ、ま、待った!」
赫乃はシグレの胸元にしがみつこうとしたのですが、シグレはありったけの自制心を働かせて彼女を押しとどめました。
「す、すまない……」
――でもな、先に奪われちまったら怪盗の面目丸つぶれだ。
ふわっ、と彼女の香水が薫りました。かすかに。
薔薇です。きっと赫乃が、育てた薔薇から作った香水なのでしょう。
その甘い香りに包まれながら、それでも頬を引きしめて、シグレは言うのでした。
「お前の気持ちに変わりがないなら……今宵ここでお前を奪う。もう待ったはなしだ」
リードされるよりリードしたい。けれどそれは、相手が彼女だからこそ。
とんだ窃盗予告もあったものですが、そんな言葉が口をつくくらい、シグレの心は赫乃に占められているのです。
このとき観覧車が、ちょうど中天に到達しました。
同時に彼は、彼女からひとつ、盗みました。
その甘い唇を。
時間にすれば十秒に満たないものでしたが、それは長い、長い口づけでした。
「……盗まれた感想を聞かせてくれるか?」
「恥ずかしいけど、ファーストキス、だったの……」
嬉しさと照れを四対六でカクテルしたような口調で、彼女は言ったのです。
「盗まれたのがシグレさんで、本当、に、良かった」
赫乃は言うなり、彼を押し倒すくらいの勢いでしがみつきました。
ゴンドラが揺れます。互いの心臓の動悸みたいに。
もう一度キス。今度は、もっと長くて、もっと熱い。
彼は彼女の耳元に囁きました。照れくさいので、母国語で。
「Until you are addicted to my love, I love you.(俺の愛に溺れるまで、愛してやる)」
――好きだよ、赫乃。
――好きだよ、シグレさん。
それははじめての、二人きりのSweetness。
『Sweetnessをさがして』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました! 桂木京介です。
シーサイドタウンですごす一日を、皆さんそれぞれ、自分らしいアクションで表現して下さったことを感謝します。バラエティ豊かでまとめるのが少々大変でしたが、とってもやりがいのある内容でした!
恋模様、友情絵巻、ファッション物語にグルメ、ちょっとえっちな気持ちなどなど、たくさんの展開がありましたがいかがだったでしょうか。よろしければ掲示板等でご感想をお聞かせ頂ければ幸いです。
リアクションは基本的に時間軸にそって描写しました。ですが構成状の都合、一部前後している箇所があることをご了承下さい。
それでは、次はプールびらきのシナリオでお目にかかりましょう。
桂木京介でした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年09月10日
参加申し込みの期限
2013年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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