せんせいといっしょ：鷲尾先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：鷲尾先生編

●この服、似合いますか？

　休ませてくれた礼として、八神修は、保健室の掃除をしようとしたが、桃川圭花が、皆にも私服を見てほしいと言い出した。
「保健室の掃除の前に、先生と一緒に、私の相談に乗ってほしいんだけど。この服、どう思う？」
　クルリと回り、モデル立ちして、着替えた私服を得意気に見せる。
　身に纏っているのはチェック柄のショートパンツ。
　ドレープとレースの華やかな黒の大きめカットソーは、ショートパンツがギリギリ隠れる裾丈で超ミニのワンピ風。
「服長さの余る袖もポイントのひとつよ。先生、大人意見を聞かせてちょうだい」
　鷲尾先生にファッションチェックしてほしい。これが、圭花の相談内容だ。

「なんで鷲尾先生に聞くのか、知りたい？」
　意地悪そうに含み笑いされては、余計知りたくなるもの。
「理由を聞かせてくれる？」
「真央ちゃんも知りたいのだ！」
「私も知りたいですぅ～」
　オリガ・ドラグノーヴァ、後木真央、鷲尾先生に抱きついたままの添木牡丹は、何故、圭花がファッションチェックをしてもらいたいのか気になっている。
「じゃあ、教えてあげるわ」
　中指で眼鏡のブリッジをクイと押し上げ、ニヤリと笑って言う。
「普通、学校で先生相手に私服の感想なんて聞けないでしょ。でも、派手な服を着て来る人になら、こっちだってわざわざ注意される筋合いがないってことになるじゃない？　だから、先生に相談しにきたってわけ」
　そう言われてみればそうかもしれないが、鷲尾先生の衣装は、谷間チラリズム以外、派手と言い難いような気がする。
「ショートパンツとドレースワンピの組み合わせが良いわね。ファッションセンスの研究をしているの？」
「してないわよ。適当にコーディネートしただけ。センスが良いって褒められたのは、嬉しいけどね」
「でも、学校では、ちゃんと制服を着ないと駄目よ」
「それ、さっき、そこのゴツい彼にも言われた」
　話を聞いている尾鎌蛇那伊をチラリと見ながら、意地悪そうに言う。
「確かに似合っているが、校則は守らないとな」
　優等生風な修に言われたので、圭花は、相談が済んだから着替えることに。
「校則はわかってるって。だから、ここに来る前、空いている教室で私服に着替えてきたの。私、校則はちゃんと守ってるんだよ？」
　移動するのが面倒臭いので、ベッドのカーテン越しに制服に着替えることにしたが、その前に大胆発言を。
「ねえ、あなた達……鷲尾先生の下着、どんなものだか知ってる？」
「な……！」
　顔を赤くする修に対し、女性陣と蛇那伊は、どんな下着なのか気になるのか、鷲尾先生をじーっと見ている。
「キミ達、私の下着が、そんなに知りたいの？」
　そう言うが、圭花自身も、鷲尾先生の下着がどのようなものか知らない。
　ハッタリをかましたのだが、鷲尾先生にからかわれるのは予想外だったので面食らった。
（本当のところ、鷲尾先生のこと、ちょっと綺麗だし、かっこいいって思うから、相談に来たんだよね）
　そう思うが、こんなこと、本人には言えない。
「話を戻しましょう。キミ、ファッションセンスすごく良いから、センスを磨けば、モデルになれるわよ」
「それはともかく、私も、先生みたいに大人っぽい着こなし方をしてみたいし。ありがと、先生。ベッドだけど、空いてる？」
「今は、誰も使ってないわ。休むの？」
「そこで着替えようと思って。男子の前で、堂々と着替えできないしね」
　フフッと笑い、修と蛇那伊をチラ見する。

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