雨の日の探しもの｜リアクション

雨の日の探しもの

◆河童を探そう！◆

　帰る準備を終えた御剣刀は、ふとねこったーを見て美弥子の書き込みに気づいた。
『子供たちが、天宵川にカッパを探しにいくらしいの。雨だし、危ないと思う。
あたしついてってみるけど、誰か一緒に来てくれない？』
『天宵川は、喋るカタツムリの噂もあるんだって』
（猫又川には猫又も居るし河童だって居るだろう）
　会いに行ってみよう、と決めた刀は、図書室へ向かった。
「まずはカッパの事を軽く調べてみるか」
　図書委員に聞いて民話・伝承の棚を探す。
「日本列島の青森県から沖縄にいたる全国諸地方の川・池・沼・海などの水界に棲み、陸上も歩行する妖怪、か……」
　大きさは子供くらいらしい。皿が乾いたり割れたりすると力を失う、または死ぬとされる、ともある。
「人馬を水中に引き入れようとしたり、人の尻子玉を抜いたりするので、６月１５日の祇園祭を中心に前後６日は川や海に入ってはいけないという……。
これは、危ないな」
　ぐずぐずしてはいられない、と刀は本を閉じた。
「キュウリが好きなようだし、買っていくか」

「今お友達を呼んだから、河童探し一緒に行こうよ」
　などと串田美弥子が子供たちと話しているところへ、通りかかった逆巻天野が声をかける。
「ねぇ、河童が居るって本当かい？」
「本当だよ！」
　目の大きな男の子が返事をする。
「僕、好きなんだそういうの。怪奇って憧れないかい？　僕だけかな？」
「子供みたいだな」
　眼鏡をかけた男の子がちょっと馬鹿にしたみたいに言う。
「子供っぽいとか言わないでよ。君だって子供じゃない」
　天野はなおも畳みかける。
「増水した川は危ないしね。泳ぐの得意だしいざって時は助けるから。僕も河童に会わせてよ。
一緒に探そう？　いいでしょ？」
「しょうがないなー、特別連れてってやるよ」
　まんざらでもなさそうに目の大きな子が答える。
　準備をしてから場所を決めて集まることになり、美弥子はねこったーで返事をくれた皆に集合場所を伝えた。

　その最中に、八神修が現れた。
　美弥子にねこったーの書き込みを見せて微笑む。
「俺でよければ一緒に行こう。しかし妖精ではなくカッパとはね」
「えっ、妖精？　あ、ありがとう」
　きょとんとしながら美弥子は答えた。
　そこへロベルト・エメリヤノフもやってきた。
「ねこったーを見たよ。後輩の頼みならさ、先輩としては断れないよね！
そうでないとしても雨の中小学生が川に向かうっていうのはちょっと見過ごせないね」
　ロベルトは少年たちに熱い眼差しを向ける。
（まったく、小学生は最高だぜ！メガネショタも大人しいショタもどっちも最高だよね！）
「先輩？　僕変態は嫌いだから、ショタコンハァハァとかしてる人がいたら川へ向かって蹴り飛ばすね」
「な、何を言ってるんだ？　僕は変態なんかじゃないぞ」
　天野の冷たい言葉に、内心の声を顔に出さないように表情を引き締める。
（いけない、僕は模範的な先輩キャラで通ってるから、あんまりハメを外しすぎると串田とかその他の後輩に呆れられ……っていうか引かれるしな！）
　会話が聞こえたのかカケルたちの視線も冷たい。
「ショタコンってなんだ？」
　カケルの問いにケンが嫌そうに答える。
「ヘンタイだよ、男の子をねらうんだ」
　ロベルトは、慌てて二人の会話に入る。
「だ、だからお兄さんは違うって。ミニカーをなくしたのかい？　取られたなら取り返さないとね！！　大丈夫、何かあったら僕がサポートするよ！」
「ふーん」
　相変わらずケンの表情は硬い。疑いを晴らすのは難しそうだ。

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