雨の日の探しもの｜リアクション

雨の日の探しもの

「あれ、遠野？」
　同じクラスの遠野まほろに気づき、天野が声をかける。
「子供たちだけじゃ危ないのでお姉ちゃんも一緒に行きますよ？　寝子島には河童さんもいたんだね……」
　人見知り気味のまほろだが、わくわくしている様子が見て取れる。
　続いて桜庭円もやってきた。
　ねこったーでこの件を知って、近くの八百屋でキュウリを買ってきたという。
「やっほー、美弥子ちゃん。この子達と、カッパに会いに行くの？」
「あっ、桜庭さん、来てくれたんだ。そうだよ。みんなも来てくれるって」
「えーと、君たちお名前は？」
　円に聞かれ、まず目の大きな子が自己紹介する。
「俺は、河野カケル」
「僕は……小河原ケン」
　続いて眼鏡の子が名乗った。
「ボクは、桜庭円！　カケルくん、ケンくんよろしくねー」
　と握手する円。
　円は気さくにおしゃべりを始める。
「君たち、何年生？　同じクラスなの？」
「２年生だよ。同じクラス」
「ケンはこないだ本土から引っ越してきたから、寝子島のことあまり知らないんだよ」
　二人の言葉に、円はさらに話を続ける。
「ふむ、ケンくんは引っ越してきたのかー。カケルくんと仲がいいんだ？」
「別に……仲いいってほどじゃないけど、家が近かったから。カッパなんているわけないよ」
　ケンの発言にロベルトが頷く。
「聞いた感じ二人とも正反対な意見だけど……夢があるのはいいよね！　……見れるといいね、河童」

「ねこったーさ見て一緒に来ることにしたよ」
　長靴を履いて紙箱を下げてやってきたのは澪乃澄佳。
「あれ、それ何？」
　美弥子が聞くと、
「河童さんとかへのお土産に買ったプリンとクッキー！　ちゃんとお土産持ってけば、きっと会えるよね？」
（でも正直な所は冗談半分なんだけどねっ）
　邪衣士も、猫鳴館仲間のねこったーでこの件を知った。
　今日は熊皮は脱いでいる。
「なんだかよくわからないがカッパ探しを手伝う羽目になった……
カッパねぇ……きゅうりでもぶら下げて歩いてればよってくるんじゃないか？」
　というわけで、カッパ巻きをたくさん用意して合流した。
「さあ、今日は何をしようかしら？　うふふ……」
　フリルがついた傘をさして歩いていた花風冴来も、やってきた。
「雨の日の外出も悪くないわ。可愛い傘がさせるから。
貴方達も雨に濡れないよう気をつけて。風邪でもひいたら大変だわ」
　冴来は猫鳴館仲間の士に目を向け、微笑む。
「病気の子を看病するのも、それで楽しいのだけれどね。ふふ」
　視線を向けられた士が身震いする。
「何かゾクっとした気がしたが、気のせいだな……気のせいだ」
「ほんと、風邪引いたら大変だよね。気をつけて」
　保健委員の澄佳は素直に同意するのだった。
「河童に逢えたら相撲を取ってみたいな……けど俺ってなんか妖怪に悪い噂流されてそうだな」
　と士はつぶやく。
（少し前に化け狐のしっぽを1つ頂いた訳だし）

　
「なあ、早く行こうぜ！」
　カケルの声に、美弥子は言う。
「そうね。寄り道してくる人もいるみたいだし、それじゃあそろそろ行こうか」
　そこへ刀もやってきた。
「桜庭に逆巻も来ていたか、やっぱり興味あるよな」
「だって友達になりたいじゃない」
　天野が真面目な顔をして言う。
「そうだね～。君たちも、カッパとお友達になりたいんでしょ？」
　円が子供たちに尋ねる。
「えー、ミニカー取り返しに行くんだよ。カッパが友達になって、って言ったらなってやってもいいかな」
　と、カケル。
「見た目は、おとなしそうなのに随分活発なんだね、何時もそうなの？」
　円はカケルの様子を伺う。
（本当に、探しに行くだけなのかな？）
「カケルは先生の前じゃ大人しいよ。大人がいないと調子に乗るけど」
　とケン。
「そうなのか」
　つい相好を崩すロベルトだが、男の子たちはまだ距離を置いている。
（爽やかで優しいショタコンだっているんだ！）
　力説したい気持ちを抑えるロベルトだった。

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