ニセモノは誰だ｜リアクション

ニセモノは誰だ

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「いいか？　通りすがりの知らない人が、やたら優しくしてきたら要注意だ、裏が無いわけがない。
　というか入れ替わった時点で、セクハラという物になるのだ。深く考えなくていいぞ、今は……。
　まぁ落ち着いて貰う為に、ニャンゼルパイをあげよう。
　僕の今日のおやつになる予定だったが、チコ君と分けたまえ。
　……そこのスーパーで買って来たばっかだから、大丈夫だぞ。変な物は入ってない！」
　砂田詩穂は言っている事と、やっている事が微妙に矛盾していた。
「でも、これからは怪しい人から、モノを貰ってはダメだぞ？
　さっきのチコ君みたいな事に、なるかもしれないからな」
「う、うん……」
　パイを受け取って良いものかどうか、迷う姉妹に、笠原ひびきは苦笑した。
「自分達で分からない時は、信頼できる大人に聞くといい。……それは貰っていいよ」
「わあい、ありがとう！　お姉さん！」
　素直にお礼を言ってお菓子を受け取る姉妹の純粋さが、詩穂には眩しすぎたとか、何とか……。

　優しいお兄さんやお姉さんが見守る中、チコは目を覚ました。

「チコちゃん、おはよう。よく眠ってたね」
　ねむるがはにかんで、修も今ばかりはニッコリ微笑み、小さな頭をぽふぽふと撫でる。
「良くない夢を見ていたみたいだな。でも、もう大丈夫だよ」
　おっさんはチコが目を覚ます前に、修の計らいで徹が送っていったため、もうここには居ない。
　七緒璃音も、そちらにくっついて行った。

「夢？　あたし、おじさんになったんじゃないの……？」
「それは、悪い夢だよ」
「でも」
　手の中のロリポップを見つめて、チコは首を傾げる。一体、いつの間に？
「はい、これチコちゃんにあげる」
　遠野まほろがチコに、うさぎのぬいぐるみを手渡した。
「え、うさぎさん？　これ……、もらっていいの？」
　“夢”に出てきた、うさぎさん。無意識に天野の顔を伺うと、こくりと頷いた。
「モコちゃんと、トコちゃんにも、後であげるからね」

　刀も、屈みこみチコと目線を合わせると、最近意識して覚えた、人好きのする優しい笑みを浮かべる。
「チコも、モコも、トコも。今度からは、お母さんの言う事をキチンと守らないと駄目だよ？
　それでも泣きそうな目に会ったら、俺に言いな。すっ飛んで行くから」
　ぽんと胸を叩いた刀に、姉妹が問う。
「お兄さん、お名前は？」

「俺？　俺は御剣刀。フツウを守る、ナニカだよ」

　　　終

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あとがき

担当マスター：メシータ
ファンレターはマスターページから！

　メシータです。貧乏所帯の三つ子の姉妹。コメディのはずが、思ったよりスリリングな展開に！？

　そんなわけで、皆様お疲れ様でした。無事に解決です。
　皆様のお気遣いのお陰で、チコは元の姿を取り戻し、嫌な体験も夢だと思ってくれたようです。
　また三姉妹は今後、用心を覚え、知らない人から物を貰う事も無くなるでしょう。

　おっさんのろっこんの発動条件は「名前を知っている対象に、飴玉を食べさせる」となっておりました。
　刀さんは、ビンゴですね。お見事です。

　おっさんは二度とこんな事はしないと約束し、去っていきました。
　自分のしていた事の罪深さも、ようやく理解出来、リアクション内では描写しませんでしたが、今後は彼女らが成人するまで毎年、クリスマスに三姉妹の家に、クリスマスケーキとチキンが届く事になります。

　三つ子や、おっさんに対して、真剣に向き合ってくださって、心よりお礼を申し上げます。
　当シナリオへのご参加、まことにありがとうございました。

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