欲望の果てに望むものは｜リアクション

欲望の果てに望むものは

●寝子ヶ浜海岸　～繋がりと性愛～

　眩しい陽射し。夏だったり、ココナツだったり、島だったり。寝子ヶ浜海岸は、今が12月というのを忘れてしまったようだ。
　そして、どうやら恥じらいや嗜みも忘れてしまったようだ。あるのは、愛。さあ、全開で人を好きになろう。

【海の家のあかるい店員女子】

「ハ～イ、焼きそばできたて～♪　今ならいい席ご案内！　水着も貸し出してるよ。あたしとお揃のもあるし～」
　元気に呼び子をするのは超グラマーな海の家の店員女子。その眩しい笑顔を見れば、誰しもついつい話してしまう。君もあの子もお友達。

（凄いですわ。どうしたらあんな風に誰にも明るく、分け隔て無く接する事が出来るのでしょうか）
　客と談笑する店員女子を見ながら、海辺の陽射しに似合わない溜息をつくのは天満七星だ。七星はそっと眩しい太陽を仰いだ。
　少々スローペースではあるが、真面目でしっかり者。凜と和服を着こなす古風な七星。趣味も多めで普段から色々と忙しく、周囲と何かをするという事を積極的にはしてこなかった彼女だが。
（……本当は、だれとでもつながりたいと思っているのですわ）
　フツウに手を取り合って、フツウに笑って。そんなごくごくフツウの生活も過ごしてみたい。だからこそ。
（どうしたらああなれるのでしょうか）
　七星は暫く店員女子を見ていたのだが、本当に驚くほど誰とも仲良く話をしている。それはもう羨ましいくらい。
　いつもなら、そこで考え込んでしまうかもしれない七星。でも、眩しい寝子ヶ浜の陽射しは彼女の殻をパキンと割ってくれた。
「……ちょっと、聞いてみようかしら？」
　どうしたらそういう風になれるのか。もしかしたら有用な情報があるかもしれないし、ないかもしれない。けれど。
　―――私のこういう行動が、もしかしたら重要なのかもしれない。
「あの、すみません……」
「ハイいらっしゃい！　ワオ、白い肌の美人さんだー！　あれ、あなた水着は？」
「え、いえ今日はなくて」
「えー、勿体ないよー！　ウチ貸し出してるから着なよ！　海なんて楽しんだもん勝ちじゃん？」
「楽しんだもの……勝ち？」
「そぉそ♪　どーせ過ごすなら楽しい方がいいじゃん♪」
「そっか……そうですわよね……」
「水着選びは任せて！　あなた美人だから選びがいあるー♪」
　その笑顔に惹き込まれるように店員女子と海の家に入る七星。楽しく話をしながら、彼女から少し何かを掴んだようであった。
（……そして店員にビキニを選ばれてしまい、パーカーを羽織りながらも赤面した事もここに付しておく）

（真冬なはずなのに、ここだけ真夏の雰囲気だね。変な感じ）
　キラキラ輝く海を見ながら思うのは、爆乳ロリ女子高生白真白だ。それは変な感じだろう。夏なのはこの海岸だけ。ここから一歩出れば木枯らしがピューと吹いているのだから。
　真白はビーチで上着を脱ぎ、オッドアイの瞳を細めにっこり笑った。
「せっかくだから、真冬の夏を楽しんじゃおうかな」

　海に来て水着を着ない手はない。真白は早速店員女子が呼び子をしている海の家に立ち寄った。
「すみませーん、水着借りたいんですけど」
「ハイハ～イ、いっぱいあるよ！　どれがいい？」
「えっと、私ちょっと胸が大きくて……」
「大丈夫大丈夫！　ウチ色々揃えてるからね。ホラ、あたしもけっこうだし！」
「えー、でも店員さんスタイル良くていいなぁ。私なんかすごいアンバランスで。私も身長があったらなぁ」
「あたしくらいのなんてたくさんいるからねー。あなたの方が素敵だよ。可愛くて爆乳って最高じゃん？」
　肩は凝るけどやっぱ乳は武器だよ～なんて下乳を持ち上げにししと笑う店員女子に、真白もつられて笑ってしまった。
　あっという間に仲良くなった２人。選んだ水着を狭ーい更衣室で一緒に試着会。店員女子が一生懸命真白の爆乳を水着に収めようとするが。
「店員さん、やっぱこれちょっとキツいかな……んっ」
「あ、ゴメン！　ちょっとおっぱい触り過ぎちゃったね。別なの着てみる？」
「ハイ……あ！」
「フフ♪　お互い胸でかいから一緒に着替えるとやっぱ生乳当たっちゃうねー」
　……なかなかHOTな試着会となったのであった。