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【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜
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初瀬川 理緒
は髪の毛を気にしながら駅へと急ぐ。
「まだ、湿ってるよ」
少し怒った口調で足を速める。
――十二月からは受験勉強に力を入れる。そんなお願いを事務所がすんなり聞いてくれた理由がわかったわ。
仕事量を何倍にも増やして、聞いたフリをしているだけじゃない。今日は大切な約束があるって言うのに。
改札を通って階段を駆け上がる。コートと一緒にスカートが翻っても気に掛けない。しばらく怒りは収まりそうになかった。
寝子島駅の瓦屋根が橙色から錆色に変わる。夜の気配が迫る中、
佐和崎 紗月
は駅舎に熱い視線を向けていた。
右手から電車がホームに滑り込む。紗月は関心がない様子で髪に結んだ青いリボンを結び直す。風が吹いて乱れた髪を軽く手で整えた。
改札を抜けた人々が参道商店街へと流れてゆく。その中に二人組の女性がいた。どちらも同じくらいの年齢で上司を俎上に載せて盛り上がる。
紗月の目が自然と二人を追った。
「まだかな」
ぽつりと呟く。外していたコートの上部のボタンを嵌める。ショートブーツで小さく蹴る真似をした。
瞬間的に左手に目がいく。寝子島大橋を渡って電車が到着した。
紗月は改札を食い入るように見詰める。スーツの男性が足早にバス停へ向かう。三人組の女性は冬期講習について話し合っていた。
一際、明るい笑顔に紗月の目は吸い寄せられる。
「ハーイ、待った?」
「……理緒ちゃん」
涙ぐむような声を出し、紗月は小走りで出迎えた。
「遅くなってごめんね」
「ううん、仕事だから仕方ないよ。それに、そんなに待ってないし」
意識して明るい顔を作る。理緒は疑うような目で紗月の手を握った。
「やっぱり冷たいじゃない」
「……うん、少し待った」
しおらしく答える紗月に理緒は飛び切りの笑顔を見せた。
「お祭りに行こうよ」
「今日は二人で楽しもうね」
手を繋いだまま、二人は参道商店街を抜けていった。
石畳を挟む形で露店が奥の方まで立ち並ぶ。提灯には明かりが灯り、人々を淡く染め上げる。賑やかながらも流れが滞ることはなく、理緒と紗月は悠々と歩くことができた。
「ソースの匂いが胃にくるわ」
「理緒ちゃん、もしかして昨日から何も食べてないの?」
「撮影の合間に少しは食べたけど、全然、足りなくて。できればカロリーの低そうなものがいいんだけど、あるかな」
理緒は弱々しい顔で笑った。
紗月は顎先に手を当てて左右の露店に目を向ける。
「見つけたよ」
「え、どれ?」
紗月は手を引いて一つの露店に連れていく。
「どうかな」
「乾物屋さんね。かぼちゃの種ってどんな味だろう」
「試食してみるかい」
目尻の笑い皺を深めた店主が商品の袋を掴み取る。手で空けて用意した紙皿に入れた。
「食べてみてよ」
「じゃあ、遠慮なくいただくわ」
理緒は三粒を摘まんで口に入れた。味を確かめるように噛み締める。
「……固いかと思ったら、とても柔らかくてナッツに近い味がするわ」
「気に入ってくれたようだね」
「もちろんよ」
理緒は他にニンジンやバナナの乾物を購入した。
二人は近くのベンチに座って個々の袋を開けた。
「こんなにドライフードが美味しいとは思わなかったよ」
「空腹は最高の調味料っていうものね」
「そんな状態には、あまりなりたくないわ」
理緒は苦笑してパリパリとスライスされたニンジンを齧る。紗月は適当に摘まんで食べた。
小腹を満たした二人は再び露店を見て歩く。
紗月は遠くの方に目を向けた。
「すっかり夜ね」
「ここは明るいからいいけど、奥は歩きにくいかも」
話していると前から親子連れがやってきた。父親と手を繋いだ男の子はもう一方に丸い提灯を持っていた。棒状の持ち手を握ったまま、大きく腕を振っている。激しく揺さぶられた提灯は何の影響も受けず、変わらない明るさを保っていた。
理緒は感心したように、ほう、と声を漏らす。
「あれって露店で買ったものよね」
「そうみたい。ほら、あそこの女の子も同じ物を持っているよ」
「あんなに振り回しても平気なのね」
言いながら鼻をひくひくさせる。目は匂いの先を見つけた。露店には『とうもろこし』と書いてあった。中年男性が網の上でとうもろこしを焼いていた。刷毛でタレを塗ると醤油の香りが強まった。
「理緒ちゃん、辛かったりする?」
「平気よ。さっきで空腹が紛れたし、今は思い切り遊びたい気分ね」
理緒は証拠とばかりに腕を振って飲食系の露店を振り切った。
「あれ、面白そう。普通の輪投げでは、ないのよね」
「そう、みたい」
二人を出迎えたのは猫であった。的は猫の置物で首輪を投げると説明を受けた。
「なんだか知らないけど、首に嵌めればいいだけよ」
理緒は首輪を纏めて掴んだ。一回で全部を投げた。
「やったね!」
一つが猫の置物の首に嵌った。
猫は想定していなかったのか。失意に沈むように項垂れた。
「私は普通に投げるわ」
紗月は一つずつ、狙いを定めて投げた。二回は失敗した。要領を得た最後、手前の置物の首を捉えた。
「これが賞品にゃ! 持ってけ、泥棒猫にゃ!」
「猫はそっちよね」
理緒は笑いながら猫耳付きのニット帽を受け取った。紗月には猫の手を模した手袋を渡す。
紗月は柔らかい笑みで猫に言った。
「ありがとう、猫ちゃん」
「ふん、さっさと行くにゃ」
言葉とは裏腹に猫は頻りに尻尾を振った。
二人は笑って歩き出す。
「私達も仮装したみたいになったね」
「祭りらしくなったわ。それと紗月、可愛いよ」
「そ、そうかな。理緒ちゃんの猫耳だって、とても素敵よ」
恥ずかしそうな小声で言った。
二人の握る手が少し強くなる。寄り添うようにして先へと進んだ。
「猫の次は鼠なのね」
呆れたような顔の理緒に紗月は、そうね、と表情を和らげた。
二人は『ネズミ射的』の露店で足を止めた。店主の鼠に簡単な説明を受けてコルクを詰めた空気銃を構える。
走り回る鼠の的は俊敏で狙いを定めることが難しい。理緒は迷いながらも撃ったが当たらなかった。
「これ、絶対に無理よ~」
理緒は不満をぶちまけた。
「……え、当たっちゃった」
紗月は最後の一発を当てた。勢いで転げ落ちた鼠の横っ腹には数字が書かれていた。
「特等なのでチュ! 店の目玉がなくなって死活問題なのでチュ!」
「あの~、賞品はどのようなものなの?」
「高貴なチーズの香りがするキングサイズのベッドでチュ!」
「それはちょっと、困るかな。持って帰れそうにないし」
「女神でチュ! それなら小さな鼠ストラップをお二人に進呈するのでチュ」
二人は微妙な笑みで受け取った。
「でも、ベッドは困るよね」
紗月は歩きながら景品をコートのポケットに収める。
「あれも商売上手って言うのかな」
「どうだろう」
二人は顔を見合わせてくすりと笑う。
少し暗さを感じる。奥まったところに風船提灯の露店を見つけた。
「私は水色にするね。理緒ちゃんは?」
「同じ色だとつまらないから赤にするよ」
二人は手にした提灯をゆらゆらさせて歩いてゆく。
「提灯の柔らかい明かりで不思議な気分になるわ」
理緒は意識して提灯を左右に揺らす。
「夜が優しく感じる」
口にした紗月は理緒と目を合わせる。二人の肩が触れた。
その雰囲気に便乗するかのように新たな露店が現れた。『運命万華鏡』の文字に揃って目が留まる。
無言で立ち寄った二人は運命が見える万華鏡を即断で購入した。少し歩いた先で紗月から試すことになった。
「何か見えた?」
理緒の言葉に紗月は覗いた格好で口を開く。
「季節は秋かな。私と理緒ちゃんが、二人で歩いているわ……寝子島ではなくて、都内かも」
「今度は私が試してみるわ」
手に入れた万華鏡を上に向けて目に宛がう。
「仲良さそう……二人で歩いていて、紗月が大人っぽくなって……綺麗じゃん……」
「今、思ったんだけど、万華鏡は一つでよかったような」
「今日の記念にどこかに飾ればいいよ」
一言で済ませて二人は更に奥を目指した。
「ここ、どこなんだろう」
「ぼんやりした明かりでよくわからないわ。理緒ちゃん、戻ろうよ」
微かに声を震わせた紗月に理緒が顔を寄せてきた。
「声が聞こえるよ」
二人で耳を澄ますと確かに聞こえる。
理緒は力強い歩みで突き進む。紗月は及び腰で付いていった。
木々の合間にぼんやりと光が見える。よく見ると風船提灯で周囲には鼠達がいて陽気に踊っていた。
紗月は小声で言った。
「鼠の宴会みたいね」
「当然、乱入よね」
「え、理緒ちゃん!?」
止める間もなかった。理緒は大股で近づき、こんばんは、と声を掛けた。
「飛び入り参加でチュ?」
「明かりが増えたでチュ」
「猫っぽいでチュね」
鼠達に怯えた様子はなく、すんなりと二人は場に加わった。
理緒は枯れ葉が敷き詰められたところに座った。その直後、そうよ、と声を上げた。
「かぼちゃの種があるんだけど、食べる?」
「好物でチュ!」
「食べるでチュ!」
「ほかにもあるでチュ?」
「あるわ。ニンジンのスライス、それとバナナね」
鼠達は理緒の周りに殺到した。夢中になって食べる姿は愛らしく、一気に賑やかな宴となった。
「こちらも楽しい気分になるね」
先程の心配はすっかりなくなり、紗月は朗らかな笑みを浮かべた。
「楽しい夜になりそう。愛らしい鼠と可愛い紗月のおかげで」
理緒は紗月と目を合わせて共に笑った。
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3人まで
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日常
バトル
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
36人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年01月12日
参加申し込みの期限
2020年01月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年01月19日 11時00分
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