【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜｜リアクション

【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜

　旧市街のアパートの一室。三夜深夜子は真剣な面持ちで正座をしている。眼鏡の中央を中指で押し上げて斜め下に目をやった。
　可愛らしいブラウスが置かれていた。それに見合うスカートは若々しく、丈が少し短い。
　軽く息を吐いた。
　切れ長めの目が横に動く。厚めのパーカーは愛らしい三毛猫柄。フードの部分には猫の耳のような突起が付いていた。
　深い溜息が漏れる。

「これを、私が……」
　表情に迷いが見える。
　その時、プシュッと音が鳴った。側に置いていた缶チューハイのプルタブを起こした。
　深夜子は缶を握り、一気に呷る。喉を鳴らして数秒で飲み干し、大きな息を吐いた。
「これならいけるわ！」
　着ていたスーツを脱ぎ捨てて新しい服に着替える。最後に三毛猫柄のパーカーを羽織って仁王立ちとなった。
「今日の私は、みやこ猫にゃーん！」
　気合を入れて大股で玄関に向かう。用意した運動靴に足を捻じ込んで勢いよく外に出ていった。

このページにイラストを設定する