【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜｜リアクション

【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜

　頭の中に語り掛けるテオの声に白真白は目をきょとんとさせた。
「え、それって……」
　少しの間を開けて我に返る。
「世界がおかしくなったら、どうするのよっ！」
　その場で急に回り始めた。被っていたフードの長い耳とスカートが広がり、白くて長い髪は荒波のように乱れた。
「どこにお三夜さまがいるのよ」
　暗がりに目を凝らし、すぐに諦めた。怒りを含んだ目を斜め上に向ける。巨大な鼠は自我を失ったかのように立ち止まっていた。急に目的を思い出したのか。重々しい一歩を響かせた。
「あんなノロマはあとよ。先にお三夜さまを見つけないと」
　適当に決めた方向に足を速めた。猫が潜んでいそうな茂みや隙間を覗き込む。
　その時、頭上から羽ばたく音が降ってきた。真白は素早く反応。黒くて細い翼が星の瞬きを隠して飛翔する。よく見ると本体は鳥ではなく、鼠であった。
「あれが悪魔鼠ね」
　飛んでいく方向に真白は走る。結んでいたリボンを片手で解き、ろっこんを発動した。『鋼の如く』でリボンは鋼と化した。
「お三夜さま、待っていて！　私が守ってあげるわ！」
　邪魔な枝葉は手にした武器で打ち払う。戦意は著しく高まっていた。