【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜｜リアクション

【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜

【Ｂ】寝子島神社（裏）
　悪魔鼠達の突然の襲来で世界はテオによって切り分けられた。その際、もれいびには大雑把な説明をした。
　事情を知らない人々も巻き込まれ、運命の歯車は否応なく回り始める。

　人通りが途絶えた石畳で曖浜鴻はスチール缶のジュースを飲み干した。空になった缶は一瞬で握り潰し、露店の横にあったゴミ箱に投げ入れる。
「いつも突然だな」
　白いシャツに黒いジャケットの軽装でストレッチを行う。その間、地面は揺れていた。視界には黒い小山のような鼠が地響きを立ててゆっくりと移動している。
「あれが悪魔鼠の一匹か」
　動きは緩慢。知性に乏しく、目的のない歩行を続けているように見えた。
「……強敵は他にいる」
　程よく身体が解れた鴻は周囲に警戒しながら行動を開始した。