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地下帝国、崩落!?
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●行くか、戻るか
「行く」か、「戻る」か。
蛇那伊が2つの選択肢を示したことで、流れが変わった。
それまでの漠然とした混乱から立ち直り、各々がそれぞれ行くべきか戻るべきか、考え始めたのだ。
崩れた脇道を塞いでいる土砂を退けるか、それとも先に掘り進むのか。
どちらかに進まなければ十人ともここでお陀仏となりかねない。
「なるほどねー。行く、って選択肢があるわけかー」
円がふむふむと頷く。
「たしかに、この先をまっすぐ掘って行けば、温泉に突き当たりそうな気はするよねー。梨香先輩の分析ではどんな感じ?」
「その可能性は否定できないと思うわ。なにより私は、この先に何があるのか確かめたい」
梨香は、ダウジングロッドを手にしていた。ロッドは、この先に何かあると反応しているようなのだ。
控えめに、けれどはっきりとももは首を振った。
「僕はまずここから出て、みんなの無事を確かめたいよ……それに、大切なお客さんたち、危ない目にはあって欲しくないの。だから、確実な方向に進みたいな……」
天野がそれに同意した。
「僕も同感。先に進んでも出られるかどうかはわからないからね。まず崩落した部分を掘るべきだと思う」
「梨香、私も彼らに同感です。まずは、この場の全員の命を優先すべきかと」
天野に賛成の声を上げたのは、意外にもフィリアだった。
へえ、と天野は思わず声を漏らす。彼女がそう言いだしたのが意外だったのだ。天野が何か皮肉を言おうとしたそのとき、若菜が意を決して、スコップを掲げた。
「行くか戻るかしかないんだよね。どちらにしろ通路の片側に全員が立って作業するのは無理があるわけだから、二手に分かれたらどうかな? 考えるより手を動かす! 好きな方でいい、掘ろうよ! 私は崩れた方を掘る! だってこのまま生き埋めになるなんて絶対に嫌だから」
若菜の明るく前向きな発言は救いだった。
決断し、行動するときなのだ。
天野が言った。
「……つるはしやスコップがあったら取ってよ。僕が掘るから」
それからフィリアに向かって。
「……暴力嫌いなんでしょ、力仕事も嫌いなんじゃない?」
フィリアは返答を避け、ただ肩をすくめる。
◇
こうして、天野と岬、若菜の三人が先頭に立って、「戻る」方――塞がれた入口側を掘りはじめた。
もも、フィリアが彼らの後ろで、掻きだした土砂を通路の脇に避けてゆく。
通路の奥側、「行く」方は、蛇那伊と円が先頭で掘ることになった。
「アタシは興味本位で潜った口だし、他の人の望む方向についていくわ。その分、肉体労働は任せておいて!」
蛇那伊が呼吸を整えると、腕の筋肉が盛り上がる! そのまま、素手で、掘る! 掘る! 掘る!
円もその隣でスコップを振っていた。
円がこちら側に回ったのは、単純な興味からだけではない。
彼女のろっこん<ブレイブハート>は、危険なことをすると運が上がるから、脱出路とあえて逆を回り込むように掘ってみたら効果があるかもしれないと考えたのだ。
掘るふたりの後ろで、チカと梨香が補助役として土を掻きだしている。
(私も、梨香センパイやみんなのために、自分に出来ることをしなくっちゃ……!)
お団子頭の実々は考えた。
私に出来ることってなんだろう。
元気なのが取り柄な私。
小さいけど大声を出すのは得意だ。
そうだ、と実々はひらめく。
(私に今できることって、これだ!)
実々は通路の中央で、両足を踏ん張って立った。
それから胸いっぱいに息を吸う。
応援団で鍛えた大声は、いつも通り腹の底から出た。
「フレー! フレー! み・ん・な! 頑張れ頑張れ、み・ん・な!」
◇
こうして、はじめは皆、意気揚々と掘っていた。
実々の声が、ときどき絶望しそうになるみんなの心を支えてもいた。
しかし、十分経ち、二十分経つ頃になると、徐々に余裕が失われ、焦りが生まれ始めた。
「きゃっ」「くそっ!」「またなの!?」
何度目かの崩落が、天野、岬、若菜の目の前で起こった。
掘って、崩れて、が繰り返されるうち、天野も若菜も、身体よりむしろ気持ちが疲れて来ていた。かすかな希望、それが打ち砕かれる……そんな繰り返しは、心をひどく摩耗させる。
「お疲れ様、僕が代わるよ」
ももが若菜に交代を申し出る。それを見てフィリアも、岬に交代を申し出た。
「こちらも交代しましょう。……それにしても地下帝国と言うのはすごいところですね。高校生にここまでできるということに正直驚きました」
「そうね。もともとの防空壕部分も多いみたいだけれど最近は人も増えて賑やかにやってるわ」
「しかし少々気にもなります。この脇道はわりと掘りやすいようですが、こうやって崩れるということは岩盤が脆弱で掘削に耐えられないということを示しているとは言えませんか? 水脈があるということもそうです」
「そうかもしれないわね。でも私たち、もっとここを整備して崩れないようにしっかりさせることはできるわね。この脇道はまだこれからだけれど、きちんと整備すればきっと立派な坑道になるわ! ね、浪漫が詰まっているでしょう?」
「そうですね……でも、一言だけ忠告します。私は地質の専門家ではありませんが、それでもここが危険だという理由で猫鳴館の廃寮について突くこともできる、と」
岬は、にっこりとほほ笑みながらフィリアの金の髪に触れる。
「ウフフ。あなたって意外と親切なのね。教えてくれたってことは、いまのところそうするつもりはない、ってことでしょう?」
それから岬の指先は、フィリアの白い首筋へ落とされる。フィリアは肩をすくめた。
「……かもしれませんね」
「だったら、私たち、仲良くやっていけそう。仲良くなりたいって思ってたの。だって二人ともとても素敵なんですもの。でも地下帝国や猫鳴館に何かしたら……うふふ……」
岬の微笑みにすこしだけ影が混じる。フィリアは動なかった。
「そうならないよう、お互い力を尽くしましょう。さあ、どのあたりを掘ったらいいか教えてください。掘ることに関してはあなたの方が先輩のようですから」
掘る。掘る。崩れる。
掘る。掘る。崩れる。
「フレー! フレー! フ……ごほっごほっ」
応援を頑張っていた実々が身を屈めて咳込んだ。
「大丈夫?」
後方に下がってすこし休息していた若菜が、ちいさな実々の背を擦る。
「は、はいっ。ちょっとむせただけ……でも、なんか、息苦しくなってきた気が……しません?」
「実は、私もそう思ってた。え、まさか酸素なくなり始めてる?」
薄々気づいていた不安は、口に出してしまうと、こぼしたミルクみたいに大きく広がる。
「やだっ! 絶対生きて帰る! 脱出したらアイス買うんだからー!」
若菜が叫びはじめた。実々も叫ぶ。
「私だってここを出たら梨香センパイと温泉一緒入って背中流しっこしたいですー!」
「というか君、私と初対面よね」と梨香。
「そうですけどー! ひと目学校でセンパイを見た瞬間から花咲く憧れもあるんですー! そのかっこよさの秘訣はなんですか? 白衣ですか、それともクールなタタズマイですか? どうやったらそこまで背が伸びるんですか? わたしとお団子仲間として友情をはぐくんで貰えませんかーっ!?」
実々はもう何を言っているのか分からなくなってきた。
そしてそれは他のみんなも同じだった。
「あー! さっきから妙に中華食べたいわー!」と岬。
「あ、僕も。なんでだろう」ともも。
「ゴマ油のにおい?」と天野。
「そうだ! ゴマ油ー! くんくん、なんか近くから臭うよーな」と円。
「やだ、どうしてアタシの匂いをかぐのよ、失礼ねっ」
蛇那伊がぷんぷん頬を膨らませる。
……が、実のところ蛇那伊は、
とある事件
の影響で、体臭がなんだかごま油風味になっていたので、円の鼻もあながち間違ってはいないのだった。
「いけませんね……空気が薄くなってきたせいか、みんなの様子がおかしくなってきました」
チカはまだ辛うじて冷静だった。
行く方は、まだどこにも通じそうな気配がない。
戻る方は掘っては崩れの繰り返し。
「フィリア先輩?」
チカは、岬にスコップを返したフィリアが、後方でうずくまっているのに気づき、声を掛ける。
「すみません……少し、吐き気が……」
チカは舌打ちした。暗がりの中でもフィリアの顔色が青白くなっているのがわかる。
「いけない。早くここから出ないと。せめて誰か、穴の外にいる人が気づいてくれれば……」
チカのつぶやきに、若菜が答える。
「そうなの。でもダメ。掘りながら岩をスコップで叩いたりして音を出してたけど、人の気配はなくって」
それを聞くと、実々がよろよろと立ち上がった。
「私に……、まっかせてください!」
実々は、応援の練習しているときにみる青空を思い浮かべた。
自分は応援団の学ランを着ている気がした。
そして、9回裏、サヨナラのチャンスのときと同じように、最後の力を振り絞って大きく息を吸い、身体をくの字に折り曲げて叫んだ。
「S! O! S! た・す・け・てえええええ! 押忍!」
(あ、押忍はいらなかったかな、いつものクセでつい……とにかく誰かに来てもらわないと……)
――それが、遠のく意識を手放す直前に、実々が思ったことだった。
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担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
冒険
神話・伝説
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年08月30日
参加申し込みの期限
2013年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年09月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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