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- 00月00日生 00歳
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【寝子祭2nd】前夜祭から後夜祭までフルリヤッヒィ！
隣に、早川 珪先生が立っている。
それだけのことがすごく嬉しくて、
(誘って良かった……！)
綾辻 綾花は口元を緩めた。
ともすれば見つめてしまいそうになるキャンプファイヤーの優しい炎に照らし出された珪先生の横顔からそっと視線を逸らす。キャンプファイヤーに温められたせいに違いない、熱い頬を冷えた指先で擦る。
「綾辻さん？」
「花火ですよ、珪先生っ」
不思議そうに見下ろして来る珪先生の視線がなんだかこそばゆくて、綾花は殊更にはしゃいだ声で星空を指し示した。
「秋の花火ってあまり見れないから、楽しみだったんです」
「きっと綺麗だろうね」
「はい、きっと」
先生の横顔の瞳に映り込む星の光に見惚れてしまいながら、綾花はさりげなく後頭部に触れてみる。
(今日は大丈夫なはず)
珪先生はシャウト大会を見ていないと信じたかった。
寝癖のまま学校に来たその日は、ちょうど図書委員の当番だった。顔を合わせた珪先生に気付かれないよう跳ねた髪を触って隠していたのは、
(バレてないはず)
だってしつこい寝癖で水では直せなかったのだ。
それに後ろひょっこりは気づきにくいのだ。それにそれに、
(深夜に流星群が見れるって聞いたから)
遅くまで起きていたのが最たる原因。流れ星を何個も見ることが出来て嬉しかったけれど、目覚まし時計をセットし忘れて寝てしまった。起きてみれば遅刻ぎりぎりの時間で、慌てた結果が後ろ髪ひょっこりな頑固な寝癖。
(バレてない、はず……)
繊細な乙女心を知ってか知らずか、珪先生は綾花に向けて優しく微笑むばかり。
「今年の寝子祭が終わるね」
珪先生の柔らかな笑みに、綾花は寝癖を巡るあれこれも忘れてちょっぴり寂しくなる。
「今年の寝子祭も楽しかったですね」
だからこそ、余計に。
星空に向け火の粉を舞い上がらせるキャンプファイヤーの光に照らし出された人々が、影絵のように揺らめいている。
「先生、今日はお疲れさまでした」
オークションが終わるなり自分の巣じみた化学準備室に籠っていた五十嵐 尚輝先生を秋の夜空の下へと誘い、御巫 時子はお下げの黒髪を揺らして丁寧に頭を下げる。
キャンプファイヤーとフォークダンスの会場である校庭に面した階段に並んで腰を下ろし、時子は鞄に詰めて来ていた薄手のひざ掛けを広げた。そうっとそうっと尚輝先生の傍に身を寄せ、ひざ掛けを先生の膝にも掛ける。
先生とフォークダンスを踊ってみたい気持ちもあるけれど、それよりも隣同士でキャンプファイヤーを見つめていたかった。だって、フォークダンスは踊れる時間が短くて寂しい。
「あ、……ありがとうございます」
「寒くないですか？」
水筒に入れて来た温かなお茶をコップに注ぎ、尚輝先生に手渡す。大丈夫です、とぼさぼさ髪に隠れがちな目元を和ませる先生の姿が嬉しくて、時子はもうちょっとだけ先生に身を寄せた。
(私は寒くないけど)
お祭りの最後のこのときは、先生に寄り添っていたかった。できれば、──その先の言葉は胸の奥に秘し、時子は微笑む。
「とても温かいです」
「そう、ですね……」
お茶を口にし、あたたかな息を吐き出す尚輝先生の横顔を時子は見つめる。さっきちらりとオークションに出品した『商品』について訊いたときは、川添先生に勝手に決められまして、と困った顔をしていたけれど。
(明日から先生の食事が変わるかも？)
真面目な先生は、もしかしたら明日から料理の練習がてら自分で自分のお弁当を作ってきたりするのかもしれない。もしもそうであったのなら、
(手作りのお弁当交換とかしてみたいですね)
少し先の未来の夢を口にしたら、先生はどんな顔をするだろうか。
「尚輝先生」
「はい」
「先生のシャウト、聞いてみたかったです」
パフォーマンス大会のイベントのひとつをふと思い出す。大声を出すイメージはないけれど、先生はどんな夢を抱いているのだろう。
「失敗ではなくて、先生の夢を聞いてみたいです。昔のじゃなく、今の夢を」
「今、ですか……」
先生はぼさぼさ頭を掻く。少しだけ考えて、
「とりあえず、美味しくお米を炊くことからでしょうか」
大真面目な顔でキャンプファイヤーの炎を見つめた。時子は思わずくすくすと笑う。
「お手伝い、させてくださいね」
星空の下、時子は尚輝先生の横顔を真直ぐに見つめる。
「先生の傍は居心地が良くて好きです」
ぬくぬくの炬燵のようで動きたくなくなります、と冗談じみて言ってみせてから、そっと、ひざ掛けの下の膝を先生の膝に寄せる。
(今も、離れたくなくなってしまってます)
困りましたね、と時子は幸せそうに笑う。ふたりで花火を待つ。
それだけのことがすごく嬉しくて、
(誘って良かった……！)
綾辻 綾花は口元を緩めた。
ともすれば見つめてしまいそうになるキャンプファイヤーの優しい炎に照らし出された珪先生の横顔からそっと視線を逸らす。キャンプファイヤーに温められたせいに違いない、熱い頬を冷えた指先で擦る。
「綾辻さん？」
「花火ですよ、珪先生っ」
不思議そうに見下ろして来る珪先生の視線がなんだかこそばゆくて、綾花は殊更にはしゃいだ声で星空を指し示した。
「秋の花火ってあまり見れないから、楽しみだったんです」
「きっと綺麗だろうね」
「はい、きっと」
先生の横顔の瞳に映り込む星の光に見惚れてしまいながら、綾花はさりげなく後頭部に触れてみる。
(今日は大丈夫なはず)
珪先生はシャウト大会を見ていないと信じたかった。
寝癖のまま学校に来たその日は、ちょうど図書委員の当番だった。顔を合わせた珪先生に気付かれないよう跳ねた髪を触って隠していたのは、
(バレてないはず)
だってしつこい寝癖で水では直せなかったのだ。
それに後ろひょっこりは気づきにくいのだ。それにそれに、
(深夜に流星群が見れるって聞いたから)
遅くまで起きていたのが最たる原因。流れ星を何個も見ることが出来て嬉しかったけれど、目覚まし時計をセットし忘れて寝てしまった。起きてみれば遅刻ぎりぎりの時間で、慌てた結果が後ろ髪ひょっこりな頑固な寝癖。
(バレてない、はず……)
繊細な乙女心を知ってか知らずか、珪先生は綾花に向けて優しく微笑むばかり。
「今年の寝子祭が終わるね」
珪先生の柔らかな笑みに、綾花は寝癖を巡るあれこれも忘れてちょっぴり寂しくなる。
「今年の寝子祭も楽しかったですね」
だからこそ、余計に。
星空に向け火の粉を舞い上がらせるキャンプファイヤーの光に照らし出された人々が、影絵のように揺らめいている。
「先生、今日はお疲れさまでした」
オークションが終わるなり自分の巣じみた化学準備室に籠っていた五十嵐 尚輝先生を秋の夜空の下へと誘い、御巫 時子はお下げの黒髪を揺らして丁寧に頭を下げる。
キャンプファイヤーとフォークダンスの会場である校庭に面した階段に並んで腰を下ろし、時子は鞄に詰めて来ていた薄手のひざ掛けを広げた。そうっとそうっと尚輝先生の傍に身を寄せ、ひざ掛けを先生の膝にも掛ける。
先生とフォークダンスを踊ってみたい気持ちもあるけれど、それよりも隣同士でキャンプファイヤーを見つめていたかった。だって、フォークダンスは踊れる時間が短くて寂しい。
「あ、……ありがとうございます」
「寒くないですか？」
水筒に入れて来た温かなお茶をコップに注ぎ、尚輝先生に手渡す。大丈夫です、とぼさぼさ髪に隠れがちな目元を和ませる先生の姿が嬉しくて、時子はもうちょっとだけ先生に身を寄せた。
(私は寒くないけど)
お祭りの最後のこのときは、先生に寄り添っていたかった。できれば、──その先の言葉は胸の奥に秘し、時子は微笑む。
「そう、ですね……」
お茶を口にし、あたたかな息を吐き出す尚輝先生の横顔を時子は見つめる。さっきちらりとオークションに出品した『商品』について訊いたときは、川添先生に勝手に決められまして、と困った顔をしていたけれど。
(明日から先生の食事が変わるかも？)
真面目な先生は、もしかしたら明日から料理の練習がてら自分で自分のお弁当を作ってきたりするのかもしれない。もしもそうであったのなら、
(手作りのお弁当交換とかしてみたいですね)
少し先の未来の夢を口にしたら、先生はどんな顔をするだろうか。
「尚輝先生」
「はい」
「先生のシャウト、聞いてみたかったです」
パフォーマンス大会のイベントのひとつをふと思い出す。大声を出すイメージはないけれど、先生はどんな夢を抱いているのだろう。
「失敗ではなくて、先生の夢を聞いてみたいです。昔のじゃなく、今の夢を」
「今、ですか……」
先生はぼさぼさ頭を掻く。少しだけ考えて、
「とりあえず、美味しくお米を炊くことからでしょうか」
大真面目な顔でキャンプファイヤーの炎を見つめた。時子は思わずくすくすと笑う。
「お手伝い、させてくださいね」
星空の下、時子は尚輝先生の横顔を真直ぐに見つめる。
「先生の傍は居心地が良くて好きです」
ぬくぬくの炬燵のようで動きたくなくなります、と冗談じみて言ってみせてから、そっと、ひざ掛けの下の膝を先生の膝に寄せる。
(今も、離れたくなくなってしまってます)
困りましたね、と時子は幸せそうに笑う。ふたりで花火を待つ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年12月07日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年12月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年12月14日 11時00分
