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ねこ電の二日間
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闇を満たして瞬く星々の眩しさに左右で彩の違う瞳を細めて、
「って、……何やぁ?!」
服部 剛
は頓狂な声を上げた。途端、揺れる足元に転びそうになってたたらを踏む。その間にも素早く周囲に視線を巡らせる。
「ゆーちゃんが居る」
気付けば立ち尽くしていた貨物列車の、しかも屋根の上で、加えて傍らには
弥逢 遊琳
がぺたりと座り込んで、星よりも煌いて見える蜜色の瞳を瞬かせている。
「……今晩は」
うなじで緩く結わえた黒髪を花の香の風になびかせながら淡く微笑む遊琳は、突如として列車の屋根の上での旅に放り込まれた状況にあってもどこか落ち着いた風情に見えた。
「……俺らはいつの間に銀河ステーションを通ったんやろなぁ」
ぽつり、剛は呟いて遊琳の隣に尻をついた。冷たい鉄で覆われた屋根はひどく冷たくて、不可思議の真ん中に居るくせに妙にそれが何だかおかしくて、剛は笑う。
三日月に照らされた貨物列車がどこまでも続いている。
冷たい線路の上、花の香の風を巻いた赤い列車がどこまでも広がる花畑の中を走って行く。
ふたり並んで座り、どこまでも続いて行くようにも見える星と花を眺めていると、
「どこまでもどこまでも行けてしまいそうやんなあ」
確かに、そんな気がした。
静かに、祈るように口にした剛の言葉に、遊琳は黒い睫毛を微かに震わせる。
「聞き覚えがある台詞だね、銀河鉄道の夜かい」
「お、よう分かったなあ!」
どこか寂し気にさえ聞こえた声音を瞬きのうちに掻き消し、剛はさざめく星々よりも明るく笑った。
「剛さんな、この物語よう読んでん」
意外やろ、と悪戯っぽく笑い続けてみせる剛を、遊琳は黄金の月の色した瞳に映す。
「ほら、此処なんて天の野原みたいや」
「そうだね」
静かに微笑む遊琳の頬が蒼白く見えて、剛は少し慌てた。
「……っと、ゆーちゃん寒そうやんな……!」
そう小柄ではないものの線の細い遊琳に、列車の屋根の上の、しかも夜風は沁みるだろう。
そうだね、と遊琳は困ったように短く笑う。
「そろそろお尻が痛む上に寒い」
貨車のどこかしらからコンテナ内に入ることも出来るのかもしれなかったが、下手に動くと屋根の上から落ちそうで怖かった。だから列車の屋根の上にいると気づいて座り込んだところから全く動けていなかった。
(無茶しなければ良いのだろうけど)
少しずつでも動いてみようかと腰を浮かしかけて、
「風邪でも引いたらあかん!」
列車の揺れなど苦にもせぬ様子で立ち上がった剛に動きを制された。
「ゆーちゃんはじっとしとき」
遊琳に言い置き、けれどさてどうしたものかと視線を彷徨わせていた剛が見たのは、列車の前方を軽い足取りで歩んでくる黒猫の姿。制帽にインバネスコート姿の黒猫は、どうやらこの貨物列車の車掌らしい。
『冷える』
短く告げた車掌は、何両か後ろのコンテナの天窓から中に潜り込んだかと思うと、毛布を咥えて引っ張って来た。
「……ねぇ車掌さん、毛布貸して貰える?」
そっと遠慮がちに尋ねる遊琳の膝に毛布を乗せ、車掌は再度コンテナに戻る。もう一枚毛布を持ち出し、剛の傍にも置く。
「おおきに。強い子良い子の剛さんでもちと寒なってきとってん」
人懐っこく笑う剛に軽く頷き、黒猫の車掌は尻尾をゆらりと揺らして屋根の上を渡って行った。
(流石にお仕事中の身を抱かせてもらうのはダメだよね)
温かそうな猫の身を見送りながら毛布で身体を包む遊琳の後ろ、何か思いついた顔の剛がひょいと立った。振り返る遊琳に、ちょっと来たって~、と言うなり、ふわりと毛布を自分の背に広げる。遊琳の背を、線の細い身体を抱き込むようにその場に座る。
「ってちょ、ちょっと、何」
「どや、剛さんあったかいやろー!」
背中から抱きしめられる格好になって焦る遊琳に、剛は悪戯を成功させた子供のように得意げに笑った。
「もれなく風除けにもなんで。お買い得や」
星と花を映していた左右色の違う瞳に、今は己の姿だけが映っているのを見て取り、遊琳はほんの少し途方に暮れた。
(あーはいはい押し売りですねわかります)
屈託のない笑顔に押し切られながら、悔し紛れに胸のうちに呟いてみる。そう、押し売りだときっと剛は言う。言って、また笑う。だから気にするなと。好きでしていることなのだからと。
「好きにすれば」
突き放すように言おうとして出来なかった。笑みが零れてしまいそうになる頬をせめて剛に見せまいとそっぽを向く。抱えた膝に顎を押し付け、毛布に頬を埋める。
(どうせ大型犬に正面からは勝てないよ)
体格的にも、力的にも。それから、その真直ぐ過ぎる心にも。
毛布に埋めた唇を噛む。
背中に感じる温もりが、怖かった。今、背中に触れている温もりが緩やかに身にしみてゆくことが、そう感じてしまうことが、堪らなく怖かった。
(いっそ)
列車の向こうに広がる夜闇を見据える。さっきまで落ちるのが怖くて堪らなかったはずの屋根の向こうが、背に感じる温もりよりも余程マシなものにすら思えた。
(……けれど)
優しさが怖いからと振り払ってしまえば、間違いなく剛を傷つける。
そこに思い至って、遊琳は瞼を伏せた。
(……嗚呼そうだ)
唇から零れてしまいそうになる嘆息を噛み殺す。気付いてしまった。元より気づいていることに、気づいてしまった。
(僕にはこの子を傷つける勇気がない)
縋るように触れて握りしめるのは、首から提げた革紐の先。天使の翼を象った銀色のキーチャーム。
己の体温を帯びたキーチャームが握り込んだ掌にほとんど刺さるほど強く触れながら、殺し切れない息を漏らす。
(知っているのに)
己が未来に選ぶ選択肢は、
(絶対に、この子を裏切る)
冷たい風からこの身を護ろうとしてくれている剛を傷つける。それを知っていて尚、
(僕には、勇気がない)
ごめんね、と胸の内に繰り返す。
──どこまでもどこまでも
星と花を見つめて決意するように囁いた、銀河鉄道の夜をなぞらえた剛の言葉に、繰り返し詫びる。
(どこまでも一緒に行くには、君と僕の切符は違って……)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年11月17日
参加申し込みの期限
2019年11月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年11月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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