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ねこ電の二日間
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閉ざした瞼の裏側を穏やかな光が満たした。
柔らかな風に頬を撫でられ、瞼をもたげる。
視界いっぱいに広がる水色の空の眩しさに、佑都は瞳を細める。身体を包んでいた毛布を畳みながら身を起こして気が付いた。眠っている間も背の下で響いていた線路の音が消えている。
何処かの駅に到着したのかと思ったが、そうではないらしい。
『猫又さんが目覚める迄、停車する』
佑都から毛布を回収しながら、黒猫の車掌さんが言葉少なに告げる。前方を見遣れば、機関車ほどもある巨躯を線路に横たえ、毛足も髭も真っ白で長い老猫がうたた寝をしている。
なんとなし眺めるうち、猫又さんと同じようにのんびりと微睡みたくなった佑都の気配を察したか、車掌さんは佑都の膝にもう一度毛布を乗せた。
コンテナの屋根の上を歩き、あちらこちらで思い思いの一夜を過ごした人々から毛布を回収した車掌さんが最後に行きついたのは、コンテナの最後尾で日向ぼっこをする布団姿の寝太郎のもと。
ぽかぽかな高級布団をジッと見下ろし、寝転がりたそうに前脚でちょいちょいと触れて、けれど車掌としての職務を思い出す。ぷぷぷと三角耳から尻尾の先まで身体を震わせ、車掌さんは再び貨車前方へと向かう。
その黒い尻尾をしばらく見送って、
(もういい、かなぁ?)
もぞりと布団寝太郎は動いた。布団の下から、ぴょこんと密航仔猫の頭が覗く。
(あ~ぽかぽかだぁ……)
優しい風と穏やかな陽の光にぽかぽかふかふかな布団の身体を伸ばす寝太郎の糊の効いた布団の端を、密航仔猫は小さな前脚でぱしぱし叩いた。
(えっ?)
にゃうにゃう訴える仔猫の好奇心いっぱいのまなざしは、列車最前列をふさぐ格好で香箱を組む巨大な猫へ真直ぐに向けられている。
(まさかあそこに行きたいの? 仔猫様?)
仔猫にだって散々ふみふみされた布団の身は、あんなでっかい猫を前にすれば、もみくちゃにされた挙句座布団替わりに下敷きにされてしまうかもしれない。
それでも鳴く仔猫様にはかなわず、寝太郎は仔猫を乗せてよいしょと空に浮き上がる。ぽかぽかの空をふわふわ渡り、布団は猫又さんのもふもふの背中にそっと降り立った。
背中に布団が降って来ても、猫又さんはくぁあと欠伸して瞳を細めるばかり。ちょっぴり安堵しつつ見回してみると、ふかふかのお腹のあたりに、同じ列車に乗り合わせてきたらしい人々がそれぞれにのんびりと過ごしている。
「ここまでくるともう成り行き任せよね」
猫又さんのもふもふのお腹に背中を預け、桜は長閑極まりない青空を仰ぐ。にゃあ、と草原のどこかから現れ近寄って来るなり当然のように膝に乗っかる三毛猫の背中をもふもふ撫でる。草原から現れた猫からは、おひさまのにおいがした。
「三宅さんも来ない?」
桜から声を掛けられ、葉月は黒い睫毛をしばたたかせる。昨夜の夜更かしのせいか、まだ眠気の残る身体でコンテナの屋根を歩き、梯子を下りる。
列車を停めた原因らしい、線路の真ん中でうたた寝をする巨大な白猫を眺める。
(気持ちよさそう)
穏やかな寝息は、草原を渡る風の音に似ていた。
揺れぬ大地に足をつける。久しぶりの地上に立てば、不思議な解放感を得た気分になった。
気付けば草原のあちらこちらから集まって来た猫たちに塗れていた桜が、おいでおいでと手招きをしている。気が向くままに近寄り、猫又さんのふかふかあったかいお腹をそっと撫で、葉月は桜の隣に腰を下ろした。
「猫又さん……」
黒猫の車掌から聞かされた巨大猫の名を口にしながら、夏朝は列車から降りる。歩く度に草の匂いが立ち昇る草原をぱたぱたと小走りに駆ける夏朝の足元、一緒に列車から飛び出した密航仔猫たちと草の間から現れた猫たちがはしゃぎながらまとわりつく。
「猫さん達……」
脛にまとわりつく猫たちを蹴とばしてしまわぬように足を緩め、仔猫たちを腕に抱っこし、夏朝は猫たちの可愛らしさにほわほわと瞳を細めた。
「一緒にくつろごう」
密航仔猫たちにそっと囁く。こんなにたくさんの猫たちが居れば、
「今なら多分ばれないから……ね?」
にゃあにゃあと笑う仔猫たちの首に、夏朝は緩くリボンを巻く。こうして目印をつけておけば、列車が出発するときに見つけ出すことが出来る。
「乗り遅れたら悲しいから」
できるなら名前も知っておきたいところではあるけれど、仔猫たちは車掌さんのように人間に言葉を伝える術を持たないらしい。
せめて抱っこした仔猫たちの毛並みを記憶しながら、夏朝は猫又さんのでっかいお腹の前に辿り着く。猫又さんの周りに集まった数十匹の猫たちと一緒に猫又さんのお腹に抱きつけば、ぽふん、とふかふかの毛皮に身体が跳ね返された。そのくすぐったさが楽しくて、思わず笑い声を零す。
「日暮さん」
立往生する機関車のデッキの腰を下ろし、ぼんやり草原を眺める日暮の姿を見かけ、夏朝は知らず跳ねる声で話しかける。
「日暮さんも、猫さん達撫でない? きっと暖かくてふわふわで気持ちいいと思うんだ……!」
「猫又さんなでなでしてぎゅーっとしてもふもふするのですー」
猫又さんの胸の毛にほとんど全身を埋もれさせた上に、集まって来た猫たちに足元を埋められたゼロがふわふわと笑っている。そのまま団子状態でお昼寝に突入する猫たちの真ん中、猫たちを起こさぬよう動けなくなりながら、それでもゼロはまたふわふわと笑った。
猫又さんにぎゅうっと小さな体ぜんぶで抱き着き、たくさんの猫たちに埋もれる。そうするうちに、眠る猫たちの身体から放たれる安眠の空気に包まれたゼロは銀色の睫毛をうつらうつらとまどろみに閉ざし始めた。
「にゃあ、なのですー」
夢うつつに呟くゼロに、猫又さんがにゃごにゃごと応じる。
「……何の話しとるんやろ」
夏朝に誘われるまま、猫又さんの腹毛に埋もれて膝を猫たちに提供しながら、猫たちの背を撫でながら、日暮は少し笑った。猫又さんや猫たちと一緒にうとうとし始める夏朝を眺め、ゼロを眺め、大きな欠伸をする。
のそり、と猫又さんが動いた。
集まっていた猫たちも次々に目を覚まし、気まぐれな動きで草原へと戻って行く。
『全員乗車後、出発する』
車掌さんの声を頭に聞き、ゼロはまどろみから覚めた。眠気の残る瞼をごしごしと擦りながら、列車に乗り込む少女たちに助けられながら、コンテナの屋根によいしょと登る。
線路の上から身体を動かす猫又さんの背中から、ふわりよたり、高級そうな負担が浮かび上がる。まるで意志を宿しているかの如くコンテナの上に戻る布団を不思議そうに眺めて、夏朝は動き始める列車のデッキにしがみついた。
線路脇に座って列車を見送る猫又さんに手を振ってから、服の胸元に密かにぎゅぎゅっと回収してきた密航仔猫たちを車内に戻す。
「車掌さんにばれないように気を付けて……」
そっと忠告しつつ、仔猫たちが心配になる。
「ちゃんとお家に帰れる? 大丈夫……?」
夏朝の心配も何のその、仔猫たちは楽し気にコンテナ内へと飛び込んだ。まだまだ冒険の旅を続ける気満々な仔猫たちを気に掛ける夏朝の目に飛び込んできたのは、草原の向こうに見え始める巨大な建造物。
朱色の壁と藍色の屋根が幾重にも複雑に連なり折り重なり、ひとつの丘のようにも見えるその建造物が、数キロに及ぶ貨物列車の目的地たる『駅』らしい。
「お疲れさん、あの駅の改札出たら寝子島駅の改札に出るさかいなー、給金忘れず受け取って帰ったってんかー」
日暮が皆にかけて回る声を耳にしながら、夏朝は草原の果てまで遥かに続く鉄路を振り返った。楽しかったねこ電の旅も、そろそろおしまい。
(また機会があれば乗ってみたいな!)
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
ねこ電の二日間、お届けにあがりましたー!
貨物列車、いいですよねえ! わたしも乗って旅がしたい! そんな風に思いながら描かせて頂きました。
浪漫! 好きなのです、貨物列車……!
みなさまの旅の様子にあわせて、貨物列車からの風景もお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加くださいまして、お読みくださいましてありがとうございました。
みなさまをみなさまらしく描けておりましたら。
それから、またお会いすることができましたら。
ではでは、ありがとうございましたー!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年11月17日
参加申し込みの期限
2019年11月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年11月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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