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ねこ電の二日間
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屋根の上から投げ出した膝に、ふわり、毛布の温かさが触れた。
「ありがとう」
会釈してまたどこかへ向かう黒猫の車掌さんに穏やかに礼を言い、佑都は拝借した毛布でぐるりと身体を包む。
風に乗って届く花の香に新緑の瞳を和らげ、屋根の上に身体を横たえる。降り注ぐが如き星空を望み、ふと思いついてポケットに入れたままだった携帯電話を引っ張り出してみる。携帯電話を起動させて時刻を確かめてみるも、示されているのは夕刻。──おそらくは、乗車時から数分も進んでいない。
思い浮かんだのは、己と同じく寝子島病院に勤める双子の姉の横顔。当直勤務のはずの姉は、今頃どうしているだろう。
ちりん、と携帯につけたストラップの鈴が小さな音をたてた。
猫の小さな編みぐるみは、以前担当した患者の少女がくれたもの。それをストラップに仕立ててくれたのは、手芸を得意とする姉だった。
──幸せになって、ね
祈るように呟いて、姉は編みぐるみと共に小さな鈴つきの四つ葉のクローバーの飾りを一緒につけてくれた。
顔の上に掲げた携帯電話の端で、星空を背に、猫の編みぐるみと四つ葉のクローバーが揺れている。
(……幸せになって欲しいのは)
君の方、と弟は姉に向けて胸で囁く。
彼女の性分であるのは理解しているけれど、姉はいつも人の幸せと笑顔ばかりを願っている。力を尽くしている。自分のことを脇に置きざりにして頑張るその姿は、
(心配だよ)
──母さんに似て頑張りすぎるところがあるから
父の言葉が耳を掠める。心配そうに、けれど少し案じた表情で、父は言っていた。見守って欲しい、と。
ちりん。風に揺られて鈴が鳴る。
姉の優しいまなざしが微睡みに落ちかける意識の中に浮かんで消えた。
──幸せになって、ね
繰り返し耳朶に蘇る姉の祈りに、弟は小さな笑みを返す。
(俺は充分幸せだよ)
望んだ職で生きている。
少なくはない友がいる。
人肌が恋しくなれば、熱を吐き出せる女性がいる。知人を通じて知り合った彼女に、熱を吐き出せば事足りる。
(俺は、充分なんだよ)
あの日の約束を忘れずにいられれば。
そうして自分らしく生きられれば。
(もう、それで充分なんだ)
だからこそ、姉が心配だ。
弟は満天の星空に祈る。
いつも人を優先しがちな、優しい姉が甘えられる人が現れますように。
姉を優しく包み込んでくれる人に姉が出逢えるように。
(君が、幸せになれますように)
ただひたすらにそう希いながら、眠りの淵に沈んだ。
毛布にくるまり損ねた銀色の長い髪が、風に揺られてふわふわとなびいている。
さらさらと揺れる自分の髪から星空へ、ゼロは灰銀の瞳をもたげる。濃紺の空に煌く天河を銀の瞳に映しとる。
一定のリズムを刻み、線路が鳴っている。音のない波の如く、星月の光が夜の花畑に降り注いでいる。
にゃあ。
列車の音に混ざり、あどけない仔猫の声が耳朶に触れた。
星空ばかりを映していた瞳を地上に戻せば、今しも毛布の中に潜り込もうともぞもぞしている数匹の仔猫の姿があった。
「こんばんはなのですー」
ゼロはふうわりと笑む。あったかい毛布の中に仔猫たちをお招きすれば、毛布の中はもっとぽかぽかあったかくなった。
「静かな夜空ときれいなお花畑なのですー」
そっと微笑むゼロに、仔猫たちはにゃあにゃあと話し掛ける。
君のことをお話して、と言われた気がしてゼロはまた笑った。
「それはこの宇宙が生まれるよりもずっとずっと昔のお話なのです」
空を仰ぎ、銀色の幼子は語る。
「ゼロが、絶対の無限をさらに超越するまで無限に巨大な大きさで宇宙の外にいたときのお話なのです」
小さな仔猫の身には理解も及ばぬ、とてもとても不思議な不思議なお話をゼロは列車に揺られながら語り続ける。
ふむふむにゃあにゃあと大きな三角耳を傾けていた仔猫たちは、それではお礼にと続けて語り始めた。
「にゃあにゃあ」
「ねこ温泉郷に行くのです?」
「にゃにゃ」
「温泉の奥にある『猫又さんの寝床』を探すのです?」
「にゃー、ふにゃー」
「温泉王になるのです? ならないのです?」
にゃあにゃあにゃごにゃご。仔猫たちとゼロが語るうち、三日月は高く昇る。花々は風に芳しく香る。夜が更けて行く──
夜の真ん中に立つ。
(さっきの喧騒が嘘みたいだな)
車輪の音ばかりが響くそこに、ティクス以外の者の姿はない。
小柄な身体で伸びをする。月を掴み取るように両手を伸ばす。両手の間に三日月を挟み、人気のないコンテナの屋根の上に腰を下ろす。
(こうやって、のんびりと一人で過ごすのはいつぶりだ?)
改めて思えば、唇に小さな笑みが滲んだ。
(何だかんだこっちに来る時には大抵誰かが側にいたし)
星幽塔の第一階層に作り上げたアジトは、いつだって誰か彼かがいて賑やかだ。
いつも、誰かが傍に居た。
誰も傍に居ない列車の屋根の上、遥か先の丘まで続く花畑を眺めやる。
(……ああ)
花に想うは、今頃はアジトの寝床でぐっすり眠っているかもしれない幼い者たちや、花を好む優雅な物腰の仲間。
(きっと喜びそうだ)
さっきの骨の『ケモノ』たちも、血の気の多い仲間たちからすれば格好の獲物だっただろう。
(きっと嬉々として屠っただろう)
仲間の一人である運び屋の精悍な男は、それから『小さな道具』を扱う店の店員でもある彼は、この膨大な荷物を運ぶ乗り物をどう見るだろう。
流れる景色を見ても思い出すのは、
(団の連中のことばかりだな)
盗賊団『十二支団』の長は小さく笑う。帰る家を思い、瞳を閉じる。
ふと、膝に投げ出した手に柔らかく冷たい感触が触れた。
睫毛を僅かにもたげる。手の甲に冷たい鼻先を触れさせていた仔猫に笑いかける。
「なんだ……慰めてくれるのか?」
にゃあ、と鳴く仔猫を抱き上げて膝に乗せる。屋根の上を吹き渡る風の強さなど気にも留めてはいなかったが、膝や腹に触れる仔猫の柔らかな温かさは妙に心をくすぐってきた。
「お前は虎の様に噛むんじゃないぞ」
静かに静かに笑み、鼠の獣人は仔猫の頭を撫でて月を仰ぐ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年11月17日
参加申し込みの期限
2019年11月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年11月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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