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ねこ電の二日間
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(……静かになった……?)
列車を襲った激しい揺れが収まって、布団姿の寝太郎はぐぐっと身を起こす。ふわりよたりと浮かんでみれば、今の揺れで開いたらしい天窓の隙間、藍色の夜空が見えた。
天窓の隙間に身を潜り込ませる。見えたのは、黄昏からゆったりと夜の藍色に染まり行く空。先程までの喧騒が嘘のような静寂に包まれる空に見惚れていて、
「やっほー!」
背後から追い縋って来る賑やかな声を聞いた。夜の色に目を凝らした寝太郎が見たのは、白骨の狼の頭を掴んで方向を誘導しながら列車を追いかけて来る勇敢な少女の姿。
列車にもう少しで追いつく、その直前、いつもと違う乗り手を嫌がり暴れながらも走っていた狼が不意に動きを止めた。
棲処とする白骨ヶ原を過ぎたが故か、その場でガラリとかたちを崩す。狼の背から投げ出されてもめげずに立ち上がり、列車を追おうとする円のもと、ふらりよたりと空を渡って近づいてくるのは、真っ白でふわふわな高級布団。
乗って、とばかり傍らに浮かぶ不思議な布団を丸い目で見つめ、円は笑った。迷うことなく布団の上によいしょと座る。布団は全身に力を籠めるようにしばらくジッとして後、ぐぬぬ、と前方を起こした。まるで少年が少女を背負って走るように、高級布団は空を渡る。
どうにかこうにか列車の最後尾に辿り着き、布団はそのまま力尽きたように動かなくなった。
「ありがとね!」
朗らかに礼を言い、列車前方から駆けて来る日暮と夏朝のもとへ無事を告げに向かう少女の背を見送り、寝太郎は疲れた布団の身を屋根の上に広げる。
タタン、タタン、と線路の音が濃紺の空に心地よく響いている。襲撃者の気配が消えて気持ちが落ち着けば、振動に身を任せるのはいっそ心地が良かった。
(何だか仕掛け絵本でも見てるみたいだなぁ……)
草の香を含んだ風が夜の蒼に染め上げられた草原を舞い踊る。
線路の脇に広がる色とりどりの花が草の香の風にひらひらと花弁を揺らしている。
(この貨物列車どこまで行くのかな~)
花と同じに布団の端を揺らしながら、布団の姿した寝太郎は考える。人間に戻れば日暮に話を聞けるかな?
のんびりおっとり風に揺られていて、
(ん?)
布団の端っこの方がなんだかモゾモゾすることに気が付いた。意識を向けてみれば、布団の上にどこからかやってきた仔猫が乗っかっている。
寝心地を確かめるようにぽすぽすと繰り返し踏まれ、それが堪らなくくすぐったくて、寝太郎は声にならない声で笑った。
ひとしきり布団をふみふみして、仔猫は布団の真ん中に落ち着いた。香箱を組んで大あくびをする仔猫の下、笑い疲れた寝太郎はぐったりと布団の身体を伸ばす。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
みゃあ、と耳に触れる仔猫の柔らかな声と頬に触れる肉球の感覚に、桜は瞼をもたげた。
天窓の隙間から入って来る光が、夕陽の紅から月夜の白銀に変わっている。
にゃうにゃうとはしゃいだ様子の仔猫たちに誘われ、天窓に続く梯子を登る。観音開きの戸の隙間からそっと顔を覗かせ外を伺う。
ケモノたちが蠢く黄昏の白骨ヶ原はいつしか遠い。今、頭上に広がるのは金にも銀にも見える三日月と満天の星。静寂の光に照らし出されて、線路の左右には甘やかに匂い立つ花畑が広がっている。
怖いものが出て来そうにもない花畑を一眺めして、桜は屋根の上にそっと立った。草花の香の風を胸に満たし、星空を仰ぐ。
花の色して夜を埋める星々の清冽な美しさに、瞼にあった眠気がふわりと去った。このまま仔猫たちのいるコンテナに潜り込んでもどうせ寝付けないだろうと思い、流れ行く草原の景色を惜しむようにコンテナの屋根を後方へと歩く。貨車の揺れに気を付けながらいくつか屋根を渡ったところで、毛布を咥えて待ち受けていた車掌さんと出会った。
桜の足元に毛布を一枚置き、黒猫の車掌さんはコンテナの中から引っ張り出した別の毛布を咥えて他の客のもとへと向かう。
半ば押し付けられるかたちで借りた毛布にくるまり、桜はその場にぺたりと座る。風の音を耳に、空を埋める幾億の星を眺める。
(この空は寝子島につながってるのかな?)
ぼんやりと思ったとき、背後に誰かの軽い足音を聞いた。
吹き寄せる風に髪を乱されつつ振り返る。
たとえば今しも空から降り下りた花の精霊の如く、夜の静寂の色したドレスを纏って、長い黒髪の少女が森閑とした面持ちで佇んでいた。
「……こんばんは」
『フツウ』の旅の最中にあって、桜は彼女がひとであるのか迷った。そっと声を掛けてみる。
「……清かな夜ね」
眠りから醒めた森の精霊じみて、彼女は翡翠の瞳を細めた。夜空を仰ぐ細い顎とうなじを眺め、桜は小さく頷き返す。ドレスの肩に、自分と同じく車掌から借り受けたらしい毛布が掛けられているということは、精霊などではなく、きちんと寒さを感じる人間であるのだろうと思う。
毛布の縁をかき寄せ、桜はもう一度空を仰いだ。
桜から少し離れた位置に葉月は立つ。波打つ黒髪とスカートの裾を夜風になびかせ、月明りの下に眠る花畑を見遣る。
月の色を写し取った花々が歌っているように思えて、星月が音さえ立てず星の歌を奏でているように思えて、葉月はもう一度天を見上げる。
記憶にある限りの星座を思い浮かべてみるも、今天上に輝く星々はそのどれにも重ならない。
(別の宇宙なのかしら……?)
星と月と花の競演を静かに堪能しながら、葉月はそれらを胸に刻み込む。星ヶ丘寮のアトリエに帰ったら、早速絵筆を執ろう。歌を奏でるようにキャンバスに色を乗せよう。
(……でも、今は)
瞳に映している景色が耳に届く音が、どんな色彩に、どんなかたちに昇華されるのかは考えずにいよう。今はただ、流れ行く星のさざめきに目を凝らし耳を澄まそう──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年11月17日
参加申し込みの期限
2019年11月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年11月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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