猫鳴館、星降る夜に宴会を。｜リアクション

猫鳴館、星降る夜に宴会を。

●宴会しようぜ！

　星屑料理や飲み物が出来上がり、宴会の準備が整った。
　料理を作っていた面々は自分が作った料理を皿に盛り付け、宴会場にせっせと運んでいく。
「手伝うぜー！」
　酒浸朱蘭は、早く宴会したいんだぜと言いながらも、準備や後片付けが残っている人達を手伝う。

「宴会の準備が始まってるようね。腹が減っては戦ができないし、食べた人の様子も観察したいから混ぜてもらいましょう」
　自室で星屑の研究をしていた神野美野梨は、星屑がどんな料理に変化したのか。
　味はどのようなものなのか気になるので、宴会に参加することにした。
「酒浸さん、私も宴会に混ぜてくれないかしら？」
「いいぜ！　大勢でやるほうが楽しいんだぜ！」
　料理の前に乾杯しようぜ、と朱蘭は宴会参加者達に紙コップを配っていく。
　恵御納夏朝と楡宮遠海が作った星屑ジュース。
　朱蘭が用意した大量の酔える「ろっこん水」「ろっこんジュース」が参加者達の紙コップに注がれる。
「宴会始めるぜー！　かんぱーい！」
　自治会長の乾杯の音頭で、賑やかな星屑宴会が始まった。

　皆に楽しんでもらえるよう、夏朝は星屑料理や飲み物等を宴会場に運んだり、足りなくなったら作ったりと忙しなく動き回る。
　その合間、未加工の星屑を摘まんで食べる。
（飴みたいに甘いね……）

　料理を食べる前にと、美野梨はポケットに入れていた星屑をひとつ、口の中に。
「美味しいわ……柔らかくなってる？　どんな原理なのかしら？」
　口の中に広がる甘味を感じつつ、特に身体に変化はないようねと思った。
　忘れないうちに、このことをメモしておく。
「保存は利くのかしら。拾ったものを、冷蔵庫と冷凍庫にそれぞれ保存してみましょう」
　研究は後回しにして、今は星屑料理を堪能しようと味わう美野梨だったが、気になるものを見つけた。
　それは北里雅樹が作った星屑を壁飾り、透明な容器に入れた照明だった。
「ほんの少しでも光を発するのなら、ライト代わりに加工してみましょう。電気代が安く上がりそうだわ」

　そこから少し離れた場所では、アイオ・キャンドライトは古いけどまだ使えるたこ焼き器に生地を流し入れている。
「宴会！　お祭り！　お祭りといえばあの料理ですわ！」
　お祭りといえばたこ焼き、ということで、タコの代わりに小さくした星屑を入れて焼き始めた。
　竹製の串を使ってくるっと回転させ、器用に成形していく。
「くるっと焼いてソースをかけて……星屑焼き、完成ですわ！」
　できたてアツアツのものを食べてもらいたいので、宴会場で星屑焼きを作っている。
「美味しそう。食べていい？」
　香ばしいソースの匂いに釣られた遠海がやって来た。
「どうぞ。焼き立てで熱いですから、お気をつけて」
「いただきまーす！」
　爪楊枝に刺さった星屑焼きをフーフーしてから口の中へ。
「美味しい！　みたらし団子みたい。星屑は溶けているかと思ったけど、そのまま残っているのね」
　遠海が美味しそうに食べるのを見た楠瑠璃は、私も食べてみたいとアイオのところへ。
「たこ焼きを甘くしたものなのね、これ。ソースとも相性が良いようね」
　新しい料理の発見に驚く瑠璃だった。
「これ、私が作った回鍋肉よ。食べてみて」
　アイオが星屑焼きをせっせと焼いているので、瑠璃は箸で回鍋肉を摘まんで食べさせた。
「この料理、どこの料理ですの？　美味しいですわ！」
「回鍋肉という中国の料理よ。私の中華料理、なかなかのものでしょう？」
　私も食べたい、と遠海は瑠璃が作った星屑料理をもらい、そのお礼として星屑ケーキをカットしたものを手渡した。
　料理の交換会みたい、と２人は顔を合わせて微笑んだ。