猫鳴館、星降る夜に宴会を。｜リアクション

猫鳴館、星降る夜に宴会を。

●星屑を集めよう

　致命的方向音痴な楡宮遠海は猫鳴館に住む友達を訪ねたのはいいが、すっかり暗くなり、帰れそうになかったのでやむ無く猫鳴館に泊まることに。
　友達と一緒に、屋根に上がってなんとなく夜空を見る。ここから見上げる夜空はとても綺麗だった。
　綺麗ね、と星を見ていると、額に何か軽いものがコツンと当たった。
　当たっても痛くはないが、何かしら光っているような気がする。
　そのうちに、いくつも何か小さな光るものが夜空から降り注いできた。手に取ってみると、それは星形の……グミ？　飴玉？　らしきものに思えた。
　恐る恐る口にすると、それは甘くて美味しかった。
「空から、美味しいお星さまのキャンディが降ってきた？」
　見た目はスレンダーな鎌倉の名家のお嬢様然とした遠海だが、実は規格外の大食い。
　空から大量に食べられる星屑が降ってきたら、もう味わい尽くす以外の道がないではないか。
　もっと食べるべく、遠海は立ち上がり、降ってくる星屑を集め始めた。
「星屑集めて宴会だー！」
　この星屑を肴に宴会すればいいんだぜ！　と上機嫌な酒浸朱蘭は色々とやっていく。
　重みで猫鳴館がつぶれちゃまずいぜ！　ということで、まずは屋根に上り、星屑をできる限り回収。
「あたしはそこまで運動神経良くないから、ある程度回収してから他の人に任せるのがいいかもしれないぜ！」
　というが、飴やグミのような甘い味がする肴をせっせと回収。
「あなたも、星屑を集めているのね。美味しいわね、これ」
「甘いけど宴会のつまみにはもってこいだぜ！　どんどん集めるんだぜ！」

　桜花寮の自室から猫鳴館の方角を見ていた恵御納夏朝は、流れ星らしきものが大量に降り注いでいるのを目撃した。
「猫鳴館の方に流れ星？　がたくさん……降り注いだら、屋根壊れちゃう！」
　猫鳴館へ急げー！　と恵御納夏朝は差し入れ含めて色々持って駆け付けた。

　喜矢武あいおと名乗る自称寝子高１年生、アイオ・キャンドライトは学校生活に憧れて生徒のふりをしているほしびとだ。
　猫鳴館なら紛れてもバレないだろうと、空き部屋を無断使用して生活をしている。
　空き部屋で何をしようか考えていると、天井がミシ……という音を立てた気がした。
　ネズミかと思った時、窓に何かがコツンと当たったので外を見ると、それは星屑だった。
　星屑は猫鳴館を埋め尽くすかのように、空から降り注いでいる。
「これが音の原因ですのね。埋め尽くされてしまっては大変ですわ」
　できるだけ多く集めようとアイオは外に出た。
　外に出るなり、口の中に星屑が入り込んでしまった。
「……甘い。これは料理に使えそうですわ。よくわからない物ですが、たぶん食材の代わりにしてしまって大丈夫でしょう」

「外が騒がしいな……こっちは眠いっていうのに」
　騒がしさで目が覚めた北里雅樹は布団代わりの寝袋から出て、寝子高のジャージ姿で外に出た。
「な、何だこれ！？」
　外に出るなり、降ってきた大量の星屑は足元を埋め尽くしていた。
　せっせと集めているアイオに「何があったんだ？」と訊ねる。
「アイオにもわかりませんわ。気づいたら、これら空から降ってきましたの」
　さらに話を聞くと、星屑はずっと降りっぱなしだったとのこと。
　足元が星屑だらけでは出られやしない、と雅樹は、とりあえずちりとりとほうきを持ってきて星屑を集めた。
　高所恐怖症なので、やむをえない場合を除き屋根には、できれば上がりたくない。
　朱蘭と遠海がせっせと集めているので、雅樹が屋根に上がることはなさそうだ。
　２人が拾い損ねて地面に落ちてきた星屑を、アイオとせっせと拾っていく。

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