猫鳴館、星降る夜に宴会を。｜リアクション

猫鳴館、星降る夜に宴会を。

●星屑が消える時

「料理も飲み物も無くなったんだぜ……」
　人一倍ろっこん水、ろっこんジュースを飲んでいた酒浸朱蘭は、そろそろお開きにしようぜと言い出した。
　アイオ・キャンドライトが作った星屑焼き。
　恵御納夏朝が作った星屑シチューと星屑カレー、星屑野菜炒めといった料理や持ち込んだおやつ、おつまみ。
　北里雅樹が作った星屑炒め物、星屑唐揚げ、星屑串焼き。
　楠瑠璃が作った星屑ラーメンとチャーハン、星屑回鍋肉。
　楡宮遠海が作った星屑スイーツが、宴会に参加した皆が残さず食べた。

　皆で協力して、宴会終了後は後片付け。
　夏朝は後片付けの合間に、残った未加工の星屑の加工を行う。
「残る未加工星屑……保存食にできるかな……」
「たくさんあるから、ゆっくり考えればいい」
　落ちている星屑を拾い集めながら、雅樹もどう加工しようか思案する。
「この星屑、すごく興味があるわ。まだまだ調べ足りないわ」
　神野美野梨は、研究のしがいアリと後片付けの最中に拾った星屑を見つめる。

「酒浸さん、宴会に誘ってくれてありがとう。楽しかったわ」
「私も。料理もたくさん作れたし、皆に喜んでもらえたし」
　遠海と瑠璃は、後片づけの手を休めることなく朱蘭にお礼を言った。
「それは何よりだぜ」
　やってよかったんだぜ、と少し酔いが醒めても楽しそうな朱蘭。
　その横では、まだ酔いが残っているのかフラついているアイオがゴミ拾いをしている。
　朱蘭は休んでもいいと気遣うが「大丈夫ですわ。後片付けはちゃんとしなくては」をアイオは手を休めない。

　後片付けが終わったのは、日が上りかけの頃。
　解散する前に、夏朝と遠海が作った星屑ゼリーを食べよう、ということになった。
「僕、持ってくるね……」
「私も手伝うわ」
「私も」
「あたしも手伝うぜー」
　たくさんある、ということなので遠海と瑠璃、朱蘭も運ぶのを手伝う。
　
　どんなふうに出来たかな……と冷蔵庫を開けた夏朝が見たのは、普通のゼリーだった。
「中に入れた星屑……無くなってる？」
「私達、確かに入れたわよね」
　一緒に作った遠海も何で？　と不思議がっている。
「夜の間だけある星屑、だったのかしら」
「夜が明けると消えるなんて、本当の星みたいだぜ……」
　星は夜の間だけ空に瞬くもの。朝になると消える。それと同じようなものかと瑠璃と朱蘭は納得した。
　星屑を思い出しながら食べよう、と、皆で楽しかった宴会を思い出しながらゼリーを食べる。
　出来上がったゼリーは普通のオレンジゼリーとグレープゼリーだったが、ほのかに星屑の甘味が。
「星屑は消えたけど、味はちゃんと残っているんだな」
　グレープゼリーを食べながら、雅樹はたくさん降ってきた星屑の光景を思い出す。
「朝になると消える星だったなんて。味がするということは、星屑の成分がこのゼリーにまだ残っていると言うことね」
　研究対象として、美野梨は一口食べたオレンジゼリーを残した。

　ゼリーを食べ終えると夏朝は桜花寮、遠海と瑠璃は自宅へ。
「あ……」
　お持ち帰りしようとした星屑が消えるのを見て夏朝は少しせつなくなった。
　まだ消えていない星屑を抱え、消えるまで大切そうに抱えて帰る。
「楽しかった……本当に、ありがとう！」
　顔を上げ、素敵な星屑を降らせてくれた空に感謝した。

　消えたのを残念に思いつつ、美野梨はゼリーと星屑の照明に使った加工品を学校へ持参し、顕微鏡等で詳しく調べた。
「これは未知な物質だわ。他にどんな成分があるのかしら」
　調べ甲斐があるわね、と更なる研究意欲を燃やす。

　一夜限りの星屑は、宴会に参加した皆を幸せな気分にしてくれる物質だったのかもしれない。

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あとがき

担当マスター：カターレ
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カターレです。
突然、空から降り注いできた星屑集め、お疲れさまでした。
たくさんだったので、大変だったでしょう。

宴会では、さまざまな星屑を使った料理が出てきたので「美味しそう……」と思いました。
食べるだけでなく、照明やオブジェにもなるので、どういう成分なのかが気になるところ。
皆様、食べたり、加工したり、研究したりと様々な反応でした。
一夜限りの宴会が、参加してくださった皆様にとって思い出に残るものであることを願います。

ありがとうございました。

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猫鳴館、星降る夜に宴会を。

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