【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！

●開票、集計中

　すべてのプロジェクトが終わり、候補者たちが控室に集っていた。
　控室にはモニターがあり、開票作業の様子が映し出されている。
　オープンにすることで不正はなかったというための旅鴉月詠の計らいである。
　開票を行っている教室と候補者たちが待つ控室、両方に流れているのは、ジャズの作業用音楽集。
　こちらも投票者がリラックスし、選挙管理委員たちが作業に没頭する為の月詠セレクトだ。

　控室で待つ候補者たちは、自然と言葉少なになり、呉井陽太が用意した柿パイにもなかなか手が伸びない。
　モニターの向こうには、選挙管理委員たちが二人一組になって、片方が読み上げ投票用紙を仕分けして、もう片方が集計していく姿が映し出されている。選挙管理委員長の南波太陽は羽生碧南と、佐藤英二は野々ののこと、朝鳥さゆると葉利沢倫理子、森篠琳子は青山絢とペアになっていた。
「会長２種、副会長４種、無効票に仕分けよう。仕分けたものを数えながら誤りがないかチェックするのは、別の班に回して、複数の目で確認してくれ」
　真面目な顔で指示を出しているのは月詠であった。
「開票部長はユーに決めた！」と太陽に指名されたのである。
　自分よりこういう仕事が向いてそうだと瞬時に見抜いた太陽の判断の見事さと言おうか。
　出来ないことは丸っと任せてしまうことも、ある種のリーダーシップである。

　真面目で几帳面な人も多かったのでしばらくは順調に作業を進めていたが、そのうちののこの作業ぶりが怪しくなってきたことを全員が察し始めた。
「ののちゃん、大丈夫？」
　太陽が声をかけると、ののこは自信満々に頷いてみせる。
「えーっと、邪衣、屋敷野、屋敷野、邪衣……あれ？　なんだっけ？　まーいいか？」
　そんなののこの雑な仕事っぷりにハラハラしっぱなしなのは、ペアを組んだ英二である。
「野々さん、開票作業に『まーいいか』はないから……選挙管理委員は中立を疑われるような行動をするのはご法度だよ」
「えーそうなの？」
「僕が集計する方を担当するから、野々さんは読み上げてくれるかな」
「うん！　じゃあ読むね！　英二君集計よろしく」
　
　絢が小さくため息をついたのをみて、琳子が人見知りそうなこの後輩に話しかける。
「青山さん、疲れてきた？」
「そうですね……次から次へと仕事があって、全くもって休まる暇がないので……」
「バランスよく力を抜くの、苦手そうだものね」
「そうですか？　そう言う先輩こそ、根を詰めて真面目に仕事するタイプに見えます」
「……そうかもしれないわね。真面目で自分自身を抑え込んじゃって……」
「損するタイプかもね」
　さゆるが票を数えながらそう言えば、倫理子が「朝鳥さん……」と咎めるように肘で小突く。
　すると太陽が突然立ち上がり、絢と琳子に　ビシッ☆　キラッ☆　とウィンクした。
「ユーたちは、それが魅力さ！　オレには出来ないことを平然とやってのける！　そこにシビれるあこがれるっ！」
「南波先輩、もちょっとマジメに読み上げてください」
　碧南が冷静に言ってのけると、太陽はしゅんと子犬みたいに項垂れて席につく。
「はーい」
　碧南が太陽の太陽の手綱をしっかり握る様子に、一同苦笑。
「いろんなタイプの人がいる。だからこその足りないところを補い合えるんだ。これぞチームワークだよ諸君」
　月詠がまとめて、開票作業は進められていく。