- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！
●海岸KISEKI
寝子ヶ浜海岸。
嘉渡洲 稀跡はひとり黙々とゴミ拾いを行っていた。
淡い灰色の、ひとくくりお団子に結ったセミロングの髪が、冷えてきた秋の海風に煽られて乱れる。
頬にかかった髪の一筋を払いのけ、稀跡は釈然としない思いを抱えたまま海岸に打ち寄せられた空き缶やペットボトル、破けたビニール袋や海外の文字の入った菓子袋などを拾い続けていた。
去年の寝子高バザールの事も調べて、楽しそうで……今年の挑戦状もとても楽しみ『だった』。
『秋の寝子ヶ浜海岸ゴミ拾いプロジェクト』の企画を立ち上げようとしたが、今回のルールは去年とは違っていて、稀跡が思ったかたちでの立案は叶わなかった。
（納得できない気持ちを他候補者への……皆の応援に、混ぜたくない。誰が認めなくたって私は『自称』立案者。サボリ・協調性なしと言われるのも結構。私は去年のバザールのような寝子高の自由さが好きなの。この我儘はやり通すわ）
拾ったゴミは分別してビニール袋へ入れ回収する。
処分は、ゴミの回収日に所定の方法で捨てるか、もしも量が多ければ業者に依頼しようと考えている。
時間は９時～１１時・１３時～１５時の２回。
企画のために用意したペットボトルのお茶とスポーツドリンクは、幾本ずつかは持ってきたが、殆ど星ヶ丘寮の自宅に置いてきた。勿論飲み終われば分別するつもりだ。
午前のゴミ拾いを終え、ペットボトルのお茶で喉を潤す。
たったひとり、２時間の作業でも、ゴミの量はかなりあった。
砂浜に腰を下ろして自分が来る前より綺麗になった砂浜と、打ち寄せ続ける波を見つめる。
とくになんの感慨も沸いては来ないが、持ってきたお弁当ですこしだけ減った腹を満たす。
太陽が真上をすぎ、時計の針は１３時。
ふたたび作業を開始しようとしたそのとき、白銀色した縦ロールの少女が寝子ヶ浜海岸に姿を現した。
「初めましてですわ、キセキ」
制服姿で背中にカゴ、火バサミの古典的ゴミ拾いスタイルのその少女は、スカートの裾をちょいと摘まんで令嬢風に膝を追って挨拶をする。
「貴女は……？」
「寝子高1年の喜矢武あいお……ではなくほしびとのアイオ・キャンドライトですわ。演説を見てあなたを手伝いに来ました」
アイオはほしびとである素性を明かし、稀跡に向かって手を差し出した。
「悪い人が立候補しないように入ったと演説で言われてましたわね。キセキはすごいですわ、もしものことまで考えつつ行動出来るなんて……アイオはどんくさいので無理ですわ。テーマの取り組みもみんな環境問題ばっかりになってしまって、もっと学校に還元出来るようなのがよかったのに、歴代会長さんは意地悪ですわね」
くす、と肩をすくめてもう一度稀跡の方へ握手を求める。
稀跡はすこしばかり戸惑いながらも、アイオの手を握った。
アイオは言った。
「キセキは真面目だけど真面目すぎますわ。得票に繋がるやり方が不満なのはアイオもあります。けれど人数うめ要員とか、支援活動で票が入ったら責任取って立候補取り消すとか、あんまり自分を蔑ろにしないでくださいな」
微笑んでそう言うと、アイオは握手した手をそっと解き、火バサミを手にしてゴミ拾いを始めた。
風に煽られ流れ着いたゴミを、先ほどより範囲を拾う。
今度はふたりなので、大きくて重たかった流木を端の方に避けることもできる。
「……ありがとう」
今まで何と言っていいかわからなかった稀跡の口から、小さくお礼の言葉が転がり落ちた。
アイオはその言葉を拾い上げて言った。
「１人ぼっちの時はせめて２人ぼっちになってあげたいと思ってますわ。カタいのは頭じゃなくて持ってる石だけにしてください、なんて。……あら？」
持ち上げた流木の下。
日の光を反射して、何かがキラリキラリと光った。
流木を海岸の邪魔にならないところに置いて、戻ってみると、そこにあったのは。
「綺麗なガラス石……」
薄水色の、まるでラムネ瓶を覗き込んだかのような水泡の浮かぶガラス石。
太陽に翳し見て、その美しさに稀跡のかんばせがようやく綻ぶ。
「大事に持ち帰るわ……地球の為に、なれていればいいわね」
「それはもちろん。なれているに決まっていますわ」
稀跡はそのガラス石と大切にしまい、アイオにもこれはと思うガラス石をひとつ見繕ってプレゼントした。
それからスポーツドリンクを奢って一緒に飲んだ。
秋の海風は、ふたりの灰色の髪を穏やかに、またときに荒く巻き上げ続けた。
ひたすらに、地球のただなかに、ふたりはいた。
寝子ヶ浜海岸。
嘉渡洲 稀跡はひとり黙々とゴミ拾いを行っていた。
淡い灰色の、ひとくくりお団子に結ったセミロングの髪が、冷えてきた秋の海風に煽られて乱れる。
頬にかかった髪の一筋を払いのけ、稀跡は釈然としない思いを抱えたまま海岸に打ち寄せられた空き缶やペットボトル、破けたビニール袋や海外の文字の入った菓子袋などを拾い続けていた。
去年の寝子高バザールの事も調べて、楽しそうで……今年の挑戦状もとても楽しみ『だった』。
『秋の寝子ヶ浜海岸ゴミ拾いプロジェクト』の企画を立ち上げようとしたが、今回のルールは去年とは違っていて、稀跡が思ったかたちでの立案は叶わなかった。
（納得できない気持ちを他候補者への……皆の応援に、混ぜたくない。誰が認めなくたって私は『自称』立案者。サボリ・協調性なしと言われるのも結構。私は去年のバザールのような寝子高の自由さが好きなの。この我儘はやり通すわ）
拾ったゴミは分別してビニール袋へ入れ回収する。
処分は、ゴミの回収日に所定の方法で捨てるか、もしも量が多ければ業者に依頼しようと考えている。
時間は９時～１１時・１３時～１５時の２回。
企画のために用意したペットボトルのお茶とスポーツドリンクは、幾本ずつかは持ってきたが、殆ど星ヶ丘寮の自宅に置いてきた。勿論飲み終われば分別するつもりだ。
午前のゴミ拾いを終え、ペットボトルのお茶で喉を潤す。
たったひとり、２時間の作業でも、ゴミの量はかなりあった。
砂浜に腰を下ろして自分が来る前より綺麗になった砂浜と、打ち寄せ続ける波を見つめる。
とくになんの感慨も沸いては来ないが、持ってきたお弁当ですこしだけ減った腹を満たす。
太陽が真上をすぎ、時計の針は１３時。
ふたたび作業を開始しようとしたそのとき、白銀色した縦ロールの少女が寝子ヶ浜海岸に姿を現した。
「初めましてですわ、キセキ」
制服姿で背中にカゴ、火バサミの古典的ゴミ拾いスタイルのその少女は、スカートの裾をちょいと摘まんで令嬢風に膝を追って挨拶をする。
「貴女は……？」
「寝子高1年の喜矢武あいお……ではなくほしびとのアイオ・キャンドライトですわ。演説を見てあなたを手伝いに来ました」
アイオはほしびとである素性を明かし、稀跡に向かって手を差し出した。
「悪い人が立候補しないように入ったと演説で言われてましたわね。キセキはすごいですわ、もしものことまで考えつつ行動出来るなんて……アイオはどんくさいので無理ですわ。テーマの取り組みもみんな環境問題ばっかりになってしまって、もっと学校に還元出来るようなのがよかったのに、歴代会長さんは意地悪ですわね」
くす、と肩をすくめてもう一度稀跡の方へ握手を求める。
稀跡はすこしばかり戸惑いながらも、アイオの手を握った。
アイオは言った。
「キセキは真面目だけど真面目すぎますわ。得票に繋がるやり方が不満なのはアイオもあります。けれど人数うめ要員とか、支援活動で票が入ったら責任取って立候補取り消すとか、あんまり自分を蔑ろにしないでくださいな」
微笑んでそう言うと、アイオは握手した手をそっと解き、火バサミを手にしてゴミ拾いを始めた。
風に煽られ流れ着いたゴミを、先ほどより範囲を拾う。
今度はふたりなので、大きくて重たかった流木を端の方に避けることもできる。
「……ありがとう」
今まで何と言っていいかわからなかった稀跡の口から、小さくお礼の言葉が転がり落ちた。
アイオはその言葉を拾い上げて言った。
「１人ぼっちの時はせめて２人ぼっちになってあげたいと思ってますわ。カタいのは頭じゃなくて持ってる石だけにしてください、なんて。……あら？」
持ち上げた流木の下。
日の光を反射して、何かがキラリキラリと光った。
流木を海岸の邪魔にならないところに置いて、戻ってみると、そこにあったのは。
「綺麗なガラス石……」
薄水色の、まるでラムネ瓶を覗き込んだかのような水泡の浮かぶガラス石。
太陽に翳し見て、その美しさに稀跡のかんばせがようやく綻ぶ。
「大事に持ち帰るわ……地球の為に、なれていればいいわね」
「それはもちろん。なれているに決まっていますわ」
稀跡はそのガラス石と大切にしまい、アイオにもこれはと思うガラス石をひとつ見繕ってプレゼントした。
それからスポーツドリンクを奢って一緒に飲んだ。
秋の海風は、ふたりの灰色の髪を穏やかに、またときに荒く巻き上げ続けた。
ひたすらに、地球のただなかに、ふたりはいた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2019年10月12日
- 参加申し込みの期限
-
- 2019年10月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2019年10月19日 11時00分
