【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！

●綺麗な星を見るために

　副会長候補の天満七星は、その名の通り満天の星空を見上げていた。
　候補者として『地球のために』という挑戦状に真摯に挑もうと考えていると胸に浮かんだのは、宇宙から見た青い地球。それから大好きな、この星空。
「この綺麗な星空を見続けるためには……」
　地球の空気。
　何故ならば、天頂近くは良く見える星々も、水平線近く地上間際は霞んで見えるから。
　本土、大都会のある方角に目を向ける。
　街の灯りの空にぼうっと映り込むのに追いやられている星々。
「そうですわね。綺麗な星空を見られるように、綺麗な空気を作るため、一つ何かを意識して行動してみる、というのはどうでしょうか」
　必要なのは勇気と決意。
　ほんのちょっとの行動で、何かが変わるという希望。
　そんなものがあればいい。
「無理はしない、心構えを持つことが大事、ですわ」
　それはとても、自分らしい考えのように思われた。
　具体的に七星が考えたことは、しばらく火を使わないことを意識する、ということだった。
　何かを燃やせば、ほんの少し空気に交じって変容するから。
　しかしよく考えたら、身の周りで火に直接触れる機会は時代の変化かめっぽう減っていた。
　たき火はしないし煙草も吸わない。オール電化の家も増えている。
　七星は意識してしばらくガスレンジを使わないようにしてみたが、どうも食事が味気ない気がしてやめた。
「火という、人が作り出した自然現象の利用方法に対して制限をかけることは、本当に意味があるのでしょうか……？」
　火は、自然現象のはずだ。
　地球のために、地球が用意したものを使わないというのは、本当に地球のためになっているのでしょうか？

　投票の前日、七星は再び星空を見上げていた。
　プロメテウスが人間に火を与えた神話。
　自然現象で、かつ文化の象徴でもある火。
　一方でゼウスが危惧したように戦争や破壊の象徴でもある火。
　考えるうち、腑に落ちたことがひとつあった。
「わかりました……私は迷います。だからこそ、皆といっしょに考えて、声を聴きたいんですわ」