【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！

●プロローグ

　シャッ、シャッ、シャッ……。
　選挙管理委員会のテントの中から、カードを混ぜる音がする。
　覗いてみれば、銀色の髪をした小柄な少女が、テントの中でタロットを混ぜている。
　選挙管理委員というより魔女と形容した方がぴったりな雰囲気のその少女は、旅鴉月詠。
　占っているのは『今選挙の行方について』。
　テーブルの上にカードの山を作り、下から一枚、裏の状態で場に置く。
　月詠は目を閉じ呼吸を深くした。
　イメージしながらゆっくり開く。
「――信託は下った。『教皇』の正位置。意味するところは秩序・慈悲・誠実」
「つまり？」
　覗き込んでいた現生徒会長の志波武道と現副会長の八神修が、思わずゴクリと生唾を呑む。
「『良心に従い後悔しない判断をし、真面目に行動せよ。傲慢は罪である』という結果だ。……どうだろう」
　信じる信じないはお好きに、と月詠は片目を瞑ってみせる。

「それにしても、壮大だなこれ！？　いや去年も去年で割と無茶ぶりだった気もするけど！」
　テントを出た武道は、修にそう話しかけた。
「そうですね。地球のことを選挙で考えることになるとは思いませんでした」
「そしてみんなそれぞれ思い付いたのすごいなぁ……」
　武道は作っておいた各候補者のプロジェクトについてのファイルに目を落とす。
　修は頷き、少し改まって武道に告げた。
「会長もお疲れ様でした。俺もこれが最後の生徒会活動になります」
「立候補しなかったんだな」
「はい。俺は一足早く生徒会を卒業です。夏までに高校課程は修めましたし、もう受験専念ですよ」
「まだ２年だよね！？　早っ！　どこ受けるの？」
「志望大学ですか。東大です。医者になりたいんですよ。なので勉強に手抜きは出来なくて残念ながら時間的ゆとりが」
　さらり告げた難関大の名に、武道はくらり眩暈を感じる。
　いやいや、他人は他人。自分は自分だ。
「そうか。頑張れとしか言えない」
「ありがとうございます。おかげ様で充実した生徒会活動でした」
「そうだな。……次の生徒会は、一体どんな色になるんだろうな。楽しみだ」
　武道は眼鏡越しに未来を見つめて目を細める。
「さぁ、候補者のみんな！　悔いなく挑んでね☆」

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