【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！

●新四役、決する

　南校舎、校庭を一望できる生徒玄関前。
　いつもは行き過ぎるだけの生徒たちも、この時ばかりは足を止め、腕時計を確認したり、屋上を走り回る選管たちの影を目で追ったりしている。
　人だかりの中には各候補者たちの顔もあった。
　それもそのはず、これからこの場所で選挙の結果が発表されるのだ。

「おまたせっ！」
　明るい声とともに、屋上に一列に並ぶ選管委員たちの影。
　白衣を翻して一歩進み出た南波太陽がマイクを手にする。校内スピーカーが一斉に唸る。

「チョリーッス。選挙管理委員長の南波でっす。歴代生徒会長からの挑戦状へのチャレンジおよび選挙を経ていま、新たな四役が決定したんでみんな聞いてーッ！」
　太陽は隣にいた佐藤英二にマイクを渡す。英二は配置についた委員たちと目配せをしあってから一礼。
　結果を待つ生徒たちからの熱い拍手に緊張した面持ちで、英二はマイクのスイッチを入れた。
「みなさん大変お待たせしました。まずは会計の発表です」

　今年も旅鴉月詠が手筈通り留め具を外せば、真っ白な垂れ幕が屋上から勢いよく下りる。

　　　会計　１年５組　水上桜
　　　会計　１年４組　嘉渡洲稀跡

「よかったぁ」
　ほっと胸をなでおろす桜と対照的に、稀跡はほとんど表情を変えずに垂れ幕を見上げている。
「……」
　信任された、ということだが、この結果を受け入れていいのか、戸惑っているかのような表情だ。
「何があってもあなたはあなたですわ」
　アイオ・キャンドライトが稀跡に握手を求めた。
　ハイタッチではなく握手だったのが、稀跡には妙に有難かった。

　会計の二人に惜しみない拍手が送られる中、マイクは青山絢の手に渡される。

「会計のお二人、今後ともよろしくお願いいたします。では続いて、書記の発表です」

　碧南が片手をあげると、森篠琳子が新たな垂れ幕を下ろす。

　　　書記　２年１組　巫部紫苑
　　　書記　１年３組　八重崎壱都

「ふふ……お腹いっぱいで信任も受けて、嬉しいですね。今後ともよろしくお願いします」
　紫苑がおっとりと微笑めば、壱都は背筋を正して居合の試合のときと同じ真剣さで一礼する。
「気を引き締めてまいります。何卒よろしくお願いいたします」
「おめでとう」
　八重崎五郎八は妹の八重崎壱都に近づき、労うように頭をぺふぺふ。
「姉さん……」
　壱都は姉を見上げ、思わずほっと、胸を撫で下ろす。
　信任投票とはいえ、いや、信任投票だからこそ、皆の支持を本当に集めれるかギリギリまで心配だった。どのような結果でも粛々と受け入れようと思っていたが、実際に信任を受けてみると、そのずっしりとした重さに気が引き締まる。
　五郎八が片手を上げれば、壱都も応じて、バトンタッチ、とでも言うようにハイタッチをした。
　新旧交代のそんなシャッターチャンスを、八神修は逃さずカメラに捉える。
　
　マイクが朝鳥さゆるに渡され、アンニュイながら美しい声がスピーカーから響く。

「……副会長はこの二人に決まったわ」

　さゆるの目配せで新たな垂れ幕を下ろしたのは葉利沢倫理子。

　　　副会長　２年１組　天満七星
　　　副会長　１年４組　雨崎楓香

「えっ……本当ですか？」
　七星は驚いて目にいっぱい涙をためる。
「先輩、どうぞよろしくお願いします」
　楓香が手を差し出せば、二人は互いに握手をしあう。
　落選した恵御納夏朝は「某暗黒何とか等の敵対組織が出てこなかっただけで僕の目的は達したから」と静かに新聞部のインタビューに答え、エレノア・エインズワースは結果発表の場に姿を見せなかった。きっとどこかで、神のような視点で、この世というゲーム盤で行われている群像劇を面白おかしく見おろしているに違いない。

　マイクは野々ののこの手に渡っていた。

「静粛に、静粛にー！　いよいよ会長の発表だよ！」