【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！｜リアクション

【生徒会選挙】歴代生徒会長からの挑戦状～リゾルブ・ワールド！

●りぞるぶ？　ねころぶ？　ねこさんわーるどひみつきち！　その１

「ねえ、ちょっと。パネルの位置、これでいい？」
「もうちょっと右側が上じゃないかな。……ああ、そうそう！」
　ピンバッチやぬいぐるみで賑やかにデコった桃色のカーディガンと、オーソドックスに着こなした制服。
　ふたつのツインテールが揺れる。
　犬杜初と七夜あおい。
　ふたりは恵御納夏朝に声をかけられ、夏朝の企画『りぞるぶ？　ねころぶ？　ねこさんわーるどひみつきち！』を手伝っていた。
「ふたりともありがとう……」
「何水臭いこと言ってんのよ」
「私の方こそ楽しい企画に誘って貰えて嬉しいよ」
　初とあおいは励ますように両側からポンと夏朝の肩に触れた。

　『りぞるぶ？　ねころぶ？　ねこさんわーるどひみつきち！』は、色々なテーマに可愛い猫さんを絡めたぱっと見のわかりやすさ重視のイラストを描き、さらに環境の話題も絡めて紹介していくボートを置いた小さなひみつきちを寝子島の各所に設置、それらのひみつきちを巡るスタンプラリーも行うというものだ。
　猫だらけ企画ゆえに、猫好きたちが集まっていて。
「こんなにいっぱい猫を描いたことが未だかつてあったろうか！」
　猫を絡めた展示イラストと担当した響タルトは、設置したボードの前で自らの仕事に自画自賛。
　なにしろ描いた描いた。海の猫・川の猫・水の猫・山の猫・森の猫・植物の猫・気候の猫・空気の猫・エネルギーの猫・動物の猫・人の猫・社会の猫・多様性の猫・町の猫・宇宙の猫……地球の猫！　猫！　猫！
「すごいね～」
　同じく猫好きの万条幸次もそれをみて感嘆！
　幸次の肩に載った彼のヘアピンと同じ色の首輪をつけた黒白模様の猫は、彼の飼い猫・花遊。
　ご機嫌に「にゃあお」とひと鳴きして「すごい」と褒めてくれているかのようだったので、タルトは花遊をなでなでして他の仕事も見せびらかす。
「スタンプラリーのはんこや目印のイラストも、ほら♪」
「可愛いねえ～」
「夏朝ちゃんやみんなと相談して、アドバイスしてもらったからね♪」
「じゃあさっそく、」と夏朝が皆を見回した。「ひみつきち５か所に……レッツゴー！」

　ひみつきちは島内５カ所。
　星ヶ丘地区は『星ヶ丘駅』、シーサイドタウン駅は『寝子島シーサイドタウン駅』、自分たちのお膝元『寝子島高校』付近、九夜山は『寝子温泉街』付近、旧市街の『寝子島駅』だ。
　許可を取ったり借りたりと駆けまわったのは夏朝。
　小休止できる場所も、とレンタルした椅子を数個設置する。
「ここに、響さんが作った手作りハンコと、目印のイラストを掲示して……と」
「スタンプ台は色違いなんだね～」
「スタンプラリーの用紙は首から下げるタイプだね。これも夏朝ちゃんが作ったの？　すごーい！」
「うん……こうやってポイントに用紙を置いておいて、自由参加方式にしようと思って」
「スタンプラリーのルールはどうするの？」
　用紙を手に取り裏に表にとひっくり返しながら幸次は尋ねる。
「景品は１カ所以上のスタンプを集めたらＯＫってことにしようと思うんだ。お菓子とかメモ帳なんかの小物から好きに選んでもらえばいいかな……って」
「交換したら、『済』のハンコを押せばいいんだね♪」
　タルトが自作の『済』の字を刻印したハンコを試しに押す。
　朱色の肉球マークの中に『済』の字が押されるとなんとなく嬉しい。
「終わった用紙は記念に持ち帰ってもいいし、不要なら各所内のボックスに入れてもらうようにしようかな」
「了解だよ♪　じゃあ僕はシーサイド担当するねっ」
「俺は旧市街エリアかなあ。飼い猫の花遊も一緒だけど猫の手は借りられないかな？」
「あはは」
　ろっこんが使えたら実際に猫になれたんだけどね。とタルトは幸次にウィンクしてみせる。
　それは幸次も同じだが、今回はろっこんはなしだ！
「なら私は星ヶ丘駅を担当するよ」
　とあおいがいえば、
「ういは寝子温泉街ね。夏朝は全体を見て回れるほうがいいでしょ？」
　と、初も協力的で、すんなり決定。
「みんなよろしく……僕は寝子島高校付近から各所を巡って全体の管理や万一のトラブル対応をするね」
　こうしてそれぞれの担当場所へレッツゴー。