スペース・ウォーズ！｜リアクション

スペース・ウォーズ！

●桃色惑星平原の戦い

　宇宙空間でカエリアンとトカゲックス。乱入するかのように現れた銀河毛むくじゃら帝国の戦いが繰り広げられている頃。
　桃色の惑星上では、仙藤紫、仙藤蒼姉妹がトカゲックス白兵部隊を率いて平原で戦っていた。

　紫とトカゲックスの許可を得たので、他の部隊が各戦線で敵の部隊と正面からぶつかっている隙をついて森の突破にかかることに。
「もしも罠などを仕掛けられていたら万事休すだけど、私は自分の勘を信じて森の突破にかかるわ」
「大した自信ね、蒼。その作戦だけど、トカゲックスの偵察で得られた情報や状況などを加味した結果、あえて認めたのよ」
　それを忘れないで、と紫は蒼に念を押す。
「総参謀長、戦車師団長、我が軍が突破に成功しました」
　トカゲックス兵士の報告で『アルデンヌの森戦法』と名付けた作戦が功を奏したことに仙道姉妹は手ごたえを感じた。
　双眼鏡で戦況を確認した蒼は、たしかに成功しているわねと次なる作戦を考える。
　その作戦とはカエリアンが混乱している隙をつき、可能な限り自分指揮下の戦車師団を敵にぶつけて蹴散らすというもの。
「敵の動揺を誘って戦線を崩壊させて。お願い」
「はっ。戦車師団、総動員でその作戦を遂行してみせます！」

　見事な采配ね、と妹の指揮に感心する紫は、欺瞞的に他の戦線で攻勢をかける。
　他の戦線に注意を惹き、十分に耳目を集めたうえで、蒼の部隊が森を突破して敵の側面や背後を叩くよう仕向けていく。
「私がやるのはこれくらいかしら。あとは蒼がどうにかしてくれるでしょう」
後は戦況や戦線全般を適宜観察しながら、的確に判断することにした紫だった。

　カエリアンとトカゲックスが平原で激戦中、上空を飛ぶ偵察用飛行機が。
　敵機なのか自軍の飛行機なのかわからないので、戦況傍観中の紫と作戦遂行中の蒼は気にしないことに。
「カエルトカゲ戦争なんて状況になっているとは……」
　地球がなぜこうなって、地球人はどうなってしまったのか。
　戦場にいる２人の女性は、宇宙船地球号の仲間なのではないのか。
　そんなことを考えながら、偵察用飛行機を操縦するカエリアン族の後ろの席に座っている獅子唐ケンジは周囲を見渡す。
（元の時間に戻れたら皆さんに報告するためにも、何が起きたのか手がかりを見つけなければ……！）
　真剣な表情で辺りを見ているケンジが気になったのか、カエリアンが何を考えているのですかと訊ねた。
「この星が未来の地球なのか。それとも別の惑星なのか。僕は、それを解明したいんです」
　そうしないと元の世界に戻れないかもしれなし、地球人同士が力を合わせ、カエルトカゲ戦争に挑まねばならないかもしれない。
　そう付け加え、カエリアンの質問に答えた。
「そんなことを考えていたのですか。ここは未来の地球ではなく、カエリアン族とトカゲックスの戦場です」
　この星の支配権を巡って戦っているのです、という言葉にケンジは「そんな……」と悲し気に呟く。
　地球人がこの戦いに巻き込まれない、あるいは加勢できないようにするしかない。
　そのためには更なる調査が必要と、ケンジは調査の範囲を広げることにした。