スペース・ウォーズ！｜リアクション

スペース・ウォーズ！

●カエル型宇宙人サイド・戦艦内

　桃色の雲が渦巻く美しい星の支配権を巡り、カエリアンとトカゲックスが戦争を繰り広げていた。
　劣勢に立たされたカエル型宇宙人カエリアンは、聡明かつ勇猛な種族聞き及ぶ地球人に助っ人を求めた。
「地球人よ、どうか我々に力をお貸しください……！」
　そう言われても……と思う者もいたが、潤んだ瞳で凝視されたり、床に頭ぶつけるほど頭を何度も下げ必死に頼まれたので断ろうにも断れない。

　気が付いたら軍服を着たカエルに取り囲まれていた北里雅樹も、そのひとりだった。
　彼もカエリアンと同じような軍服を着ていたが、良く見ると少し豪華なものだ。
「どういうことか説明してくれ」
　いきなり頼むのは失礼だと思ったカエリアンは、トカゲ型宇宙人トカゲックスと桃色惑星を巡って戦っていることを詳しく説明した。
「艦隊司令長官、ご指示をお願いします」
「司令長官？　俺が？」
「そうです。ちなみに階級は元帥です」
　俺が元帥？　マジかよ……？　と一瞬、茫然としたが神魂の仕業らしいなと思うことに。
　神魂の仕業であれば、敵方の艦隊に寝子島の住人が搭乗しているかもしれない。
　そう考えると敵戦艦と撃ち合うのはどうも気乗りしないが、カエリアンが必死に頼むのでやるしかない。
　そんなことを思っていたら、敵艦隊が一瞬動きを止めたのを見て、前進してきた。
「こうなったら迎撃するしかないか」
　向こうにいる連中は多分撃たれても大丈夫だろう。この際、細かいことは気にしないことにした雅樹だった。

　椎井莉鳥は、気が付いたら身体にフィットしたパイロットスーツを着て、カエリアン戦艦空母の格納庫に収まっている戦闘機のコクピットの中にいた。
「どうなってるの？」
　そんなことを思っていると、格納庫にいるカエリアンが何やら説明をし始めた。
　何を話しているのか聞くと、戦闘機の操縦の仕方だった。
　それだけでなく、莉鳥が宇宙艦隊所属の空母航空団の総隊長で、階級は少将ということも話した。
（……結構高い階級なのね、私）
　普通は低い階級じゃない？　などと思っていたら格納庫のモニターに司令長官らしき人物が映し出された。
　映し出されたのは、艦隊司令長官の雅樹。
「何であいつが提督なのよ」

　画面の向こう側では、雅樹がパイロットスーツ姿で戦闘機に乗っている莉鳥を見て、あいつもいたのか……と思った。
　側にいるカエリアンから彼女は空母航空隊総隊長です、と聞くと、けっこう偉い立場なんだなと驚いた。
「椎井、戦闘機を率いて空母艦載機部隊で制空権を確保してくれ。トカゲックスの航空兵力を無力化した上で、艦隊戦へ移行する」
「了解」

　訓示が終わった後、莉鳥は雅樹のもとに連絡を入れた。
「これは結局、神魂のせいなんだろうけど……頼まれたからにはやるしかないだろ」
「その言い分は正しいと思うわ。カエルさん達には一応期待はされてるみたいだし……」
　期待を裏切っても仕方ないので、莉鳥は雅樹の要望通り、航空戦を指揮して制空権確保を行うことにした。

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