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寝子島ハロウィン☆デイズ!《寝子暦1370年版》
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廃墟の遊園地を、午後の光が白々しく照らし出している。
傾いてしまえばあとはつるべ落としとなる秋の陽を仰ぎ、
北里 雅樹
は黒い瞳をゆっくりと瞬かせた。時にやる気がなさそうにも見られてしまう眠たげな瞳を伏せ、小さく息を吐く。吐く息の温かさに、季節の移り変わりの早さを思う。
(もう秋か)
そう思って思い出したのは、中秋の名月の夜。元恋人であり今は腐れ縁な関係でもある
椎井 莉鳥
とふたり、抱き合いながら沈んだプールの温かさと、──スレンダーな彼女の肌の冷たさ。
気が付けばあの時から一月半近くの時間が過ぎている。
その間にしたことと言えば、来年の大学受験に向けて忙しさを増す勉強ばかり。今のところ、目指す関西にある大学の理学部の模擬試験の合格ライン判定は合格確実圏を示すA判定を取れてはいるものの、気を抜けばすぐに合格可能圏であるB判定や、ともすればそれ以下に落っこちてしまう。
とはいえ、わき目も振らずに真っ直ぐ、というのは、
(俺のスタイルじゃないんだよな)
機会を見つけては一息入れるのが、長く続く受験生活をへこたれずに続ける雅樹なりの秘訣というもの。
だからこそ、ハロウィン最終日の今日──寝子島で迎える最後のハロウィンとなる今日は、思い切りハロウィンを満喫すべくイリュージョンランドのハロウィンイベントに参加してみた。
今年は、何かしらのイベントに参加する度に思い知らされてしまう。
(……来年には)
この島を離れる。
そう思う度に、瞼の裏を過る面影がある。
(あいつ──)
椎井は、今何をしているのだろう。
そう思う度に、そう思ってしまう己に溜息を吐く。
(……いや、あいつのことを何故思い出すんだ)
ふたりの間には最早、何も残っていないはず。
幼馴染から恋人となって、けれど別れた。そうなれば、ふたりの間には何の感情も生まれるはずがない。生まれては、ならない。
それなのに、
(あの夜……)
あのナイトプールでの邂逅と出来事は、まるで二年前の莉鳥の誕生日の続きをしているような気がした。何もないはずの二人の間にまだ何かが残っているように思わせた。
(あれは、)
『何か』の正体を考えようとして、やめる。
「これじゃまるで……」
それでも唇から零れた言葉も、
(……いや、)
首を横に振って追い散らす。
往年の賑わいを取り戻したかの如く、盛装した人々やゾンビ姿の人々が行き交う廃墟の遊園地を栗色の瞳に映し、莉鳥は瞳を伏せる。
(……どうして)
こんなところまで来てしまったのだろう。
理由は分かっている。じっとしていたくなかったからだ。部屋で動かずに居ると、あのナイトプールでの出来事を繰り返し思い出してしまう。そうして考え続けてしまう。
関西の大学を受験する、と言っていた彼のことを。
来年には寝子島からいなくなってしまう彼のことを。
彼がこの島を出て行ってしまうときがきっと、完全な別離のとき。
それは分かっている。けれどあの夜以来、お互いにお互いを避け続けている。学校で顔を合わせても何も喋らない、喋れない。目も合わさない、合わせられない。
(雅樹が無視してるんだから)
だからこちらもそうしているだけ。
そう思えば、思い込んでおけば、安堵にも似た気持ちが胸を満たした。それと同時、傷口に塩水が沁みるように胸が辛く痛んだ。
(あいつ──)
雅樹は今、何してるんだろう。
ともすればそんなことも考えてしまう。
(あの夜、)
──キスして
彼にそう言ってしまった自分の行為が今でも信じられなかった。けれどあれは、紛れもなく自分自身がなしたこと。
(もう、……)
ふたりの間には何も残っていないはず。
互いに向けるどんな感情も、別れた日に跡形もなく消えてしまったはず。
そうであるはずなのに、あのナイトプールでの夜は、二年前の誕生日の夜の続きのように思えた。ふたりの間にまだ何か残っているように思わせた。
その何かの正体を、莉鳥はよく知っている。
ただ、それを認めるのは怖かった。
認めてしまえば、近く訪れることになる喪失の痛みを今度こそ──今度こそ、確実に受けることになる。
胸に毒のように広がる痛みに堪えかね、小さく溜息を吐き出す。
知らず伏せていた視界に不意に入り込んできた靴先の主とぶつかりそうになって、慌てて顔を上げて、
「……あ」
「っと、……」
思いがけない場所で、思いがけず、莉鳥と雅樹は鉢合わせた。
ふたり、今の今まで顔を思い浮かべていた相手と顔を合わせてしばらく言葉もなく見つめ合う。
(……なんでこんなタイミングでばったりと椎井と)
おそらく同じことを思っているだろう莉鳥を眺めるまま、雅樹は莉鳥に掛ける言葉を思いつけず黙り込む。莉鳥からの言葉もないまま、ふたりは無言で対峙する。
奇妙なまでの沈黙を破ったのは、
「ヘイそこのカップル! 着替えてかない?」
イリュージョンランドの入り口に屋台を構える黄色い鳥だった。
「お任せ衣装もオッケー、こだわりワガママ出来る限りにお応えいたします、キャットロードのコスプレ屋、いっちょ如何ですかー?!」
黄色い羽根の両腕をばたばたと忙しなく動かし、うるさくしつこく呼び込む鳥を莉鳥と雅樹は眺めやる。
「盛装組? ゾンビ組? それとも離れ離れ?」
ふたりの静かな視線にも負けず、鳥は二人分の衣装をあれやこれやと屋台に積み上げた服の山から引っ張り出して来る。
「一緒? 別々?」
「一緒で」
うるさい鳥に短く答えた声は、莉鳥と雅樹の二人分。
「オッケー! ではこちらをどうぞ! レンタルもお買い上げも激安価格!」
それぞれに渡された花嫁と花婿衣装を手に、莉鳥と雅樹はなんとも言えぬ顔を見合わせる。ふたり同時に何かしら抗議の声を上げようとしたときには、鳥はもう別のお客にかかりきりになってしまっていた。
「……まあ、いいか」
「……そうね」
ふたりの間には何も残っていないと信じたいがため、何とも思っていないとお互いに知らせたいがため、ふたりは何でもないような振りでウェディング衣装を纏う。
ほどなく始まったサバイバルゲームで、ふたりは何となしそのままふたりのままでどこからともなくわらわらと湧いてくるゾンビたちから逃げ回った。
「椎井! こっちだ!」
「……っ……」
呼ばないで、と言いかけた声を呑み込む。繋がれた手を振り解けず、最初は手を引かれて走り、途中で現役陸上部の莉鳥が前後入れ替わり、雅樹の手を引いて走る。
ろくな武器も見つけられず、ただふたりで崩壊しつつある遊園地の中を走って走って、ただただ逃げ回りながら、莉鳥はふと思った。
本当に逃げ回っているのは、自分たち自身からじゃないか。
そう思って、思った途端にすぐ背後の雅樹が目に入った。
(……多分、)
雅樹もそう思っている。
同じ思いを同時に思っているのだと悟って、悟ったことに動揺を覚えて、蔓草に押し上げられた石畳に躓いた。転びそうになった身体を雅樹の腕がぐいと抱く。莉鳥の身体を抱き支えた代償に雅樹の方が石畳に転ぶ。
「先に行け」
背後に迫るゾンビたちを起き上がろうとしながら振り返り、雅樹が低く言う。
「椎井ひとりの方が早いだろ」
反論する間もなく手を離され、莉鳥は唇を噛む。早く、と振り返りもせずに突き放してくる雅樹の背中を歪めた瞳に僅かの間映す。
「……馬鹿」
短く吐き捨てた元恋人の足音が遠ざかる。自分よりもずっと速い莉鳥の足音から顔を背け、雅樹は立ち上がりかけた膝を折った。ゾンビたちの殺到を黙して待つ。
(……俺はまだ混乱してるんだ)
あの夜以来。
彼女の体温を、唇を、再び感じてしまって以来。
瞼を伏せる。
(もう終わったはずの関係)
自分に言い聞かせる。
ふたりの間には、もう何もない。だって一度、別れてしまった。だから、
(終わったはずなんだ)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
55人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年09月28日
参加申し込みの期限
2019年10月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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