「とりっく、おあ、とりーと!」
「おかしくれないとイタズラしちゃうぞー!」
寝子島をあげての一大イベント、寝子島ハロウィン☆デイズ!も最終日、休日が重なったおかげもあって、星ヶ丘の閑静な住宅街の一角にある小さな植物園『ねこの庭』にも朝から仮装した可愛らしい子どもたちが次々にやってくる。
「こんちはっす、可愛らしいお化けたち」
南瓜や蝙蝠をモチーフとしたオーナメントで飾られたアメジストセージの影から現れたのは、カフェエプロン姿の
紗雪 幽。
トリックオアトリート、と懸命に繰り返す子どもたちに朗らかに笑い、幽はエプロンのポケットから植物園内にある温室カフェ特製のハーブクッキーを取り出して手渡した。
「夕方になったら植物園でハロウィンパーティするからみんな誘ってまた来てねー」
「お疲れさま、紗雪君。ごめんね、臨時バイト入ってもらって。助かります」
「いいっすよー」
ハロウィンデイズに協賛している次のお店へと向かう子どもたちに手を振る幽に、庭の飾り付けとパーティの準備をしていた温室カフェの店員、新村和子が声を掛ける。
「ところで、紗雪君。仮装してみない? 衣装は色々揃ってるから」
「考えときまーす」
仕事に追われながらもハロウィンを楽しむつもりの和子に、幽は悪戯っぽい笑みを返した。
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「trick or treat!」
九夜山のほぼ天辺、三夜湖を臨む寝子島イリュージョンランドに恐ろし気な声が響き渡る。
かつての賑わいも夢の跡となった遊園地の廃墟に溢れるは、ハロウィンのお決まりの台詞を叫び散らすゾンビメイクな人々と、
「……始まったわ」
ハロウィン仕様のドレスやスーツを身に纏わせた人々。
葛に覆われようとしている壊れた遊具や砕けた石畳を踏んでわらわらと襲い掛かって来るゾンビたちをポンパドールハットの下の緑眼に映し、
ロザリー・マルリアーヴは南瓜モチーフの傘の柄を優美な仕草で引き抜く。
傘の柄に仕込まれた細剣を淑やかに構え、ロザリーは片腕に大事に抱いたぼろぼろのぬいぐるみの頭を自分の子にするが如く優しく撫で、おっとりと微笑んだ。
「がんばって生き残らなくては、ね」
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「お菓子がいいか、それとも悪戯か?」
黒パーカーのフードから生えた兎耳をぱたぱた揺らし、和服仕様なミニスカートの裾もふわふわなびかせ、
黒兎 都は寝子温泉の通りを行く。
南瓜モチーフな提灯がつり下げられた土産屋や老舗和菓子屋を覗き込んでお決まりの台詞を放てば、南瓜の練り切りに羊羹を巻いたカステラにどら焼きに、和風なお菓子が供される。
「……うん、悪くないかの」
月と兎模様のぽっくりをぽくぽく鳴らし、都が目指すはとある旅館の駐車場。
寝子島ハロウィン☆デイズ!の一環として『和風ハロウィン☆猫地獄温泉大宴!』と称したお祭りが催されている寝子温泉の通りは、今日は和風な仮装や妖怪のコスプレをした人々で溢れている。
都が向かうメイン会場の旅館駐車場では、竹で組まれた特設舞台での仮装コンテストも開催されている。それに出るか出ないかはともかく、いつもと違う温泉街の雰囲気を楽しむのも一興、──かもしれない。
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「トリーックーーー!!」
さまざまのハロウィンイベントに盛り上がる寝子島の、夏場であれば海水浴客で賑わう寝子ヶ浜海岸に響き渡るは、どこか悲鳴にも似た咆哮。
「トリーックーー!」
そうとしか鳴けなくなったそれは、全身がお菓子で出来ていた。
鱗はパンプキンパイにガイコツ模様の砂糖菓子、全身のあちこちにはぎょろぎょろ動く目玉型ロリポップキャンディ、トゲトゲ尻尾は蛍光色の砂糖菓子、羽ばたく翼の被膜は鮮やかに赤い飴細工。
「トリーックー!」
全身お菓子に鎧われた元焔竜は何故だ、とも聞こえる喚き声で鳴き散らす。
以前、月に囚われた主──この島の住人が絶神と呼ぶ主の為にこの島を襲ったときには、島の住人に
手酷い反撃を食らった。片目を潰され、巨大だった身は卑小な人間の三倍ほどにまで縮まされ、魔界に追い返された。それでも挫けず、縮んだ身でも構わぬ、島の住人を食い散らかしてくれようと改めて島を襲来した途端。
強靭だったはずの全身が、一瞬にしてお菓子になり果てた。
「とーーーりーーーっくーーー!」
島に散らばった神魂の影響を受け、今、寝子ヶ浜海岸にお菓子の竜が降り立つ。
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とりっくおあとりーと!
こんにちは、今回、ハロウィンイベントのシルバー無制限シナリオを担当させていただきます、
阿瀬 春と申します。
ガイドには、紗雪 幽さん、ロザリー・マルリアーヴさん、黒兎 都さんにご登場いただきました。
ありがとうございます!
もしご参加いただけますときは、ガイドに関わらずどうぞご自由にアクションをお書きください。
このシナリオでは、寝子島あげてのお祭りイベント、
数日に渡って行われた寝子島ハロウィン☆デイズ!の最終日を描かせていただきます。
いくつか、イベント会場をご用意いたしました。下記の会場に向かわれましても、
別の場所でハロウィンを楽しまれましてもオッケーです。
ハロウィン、めいっぱい楽しみましょうー!
【1】星ヶ丘植物園『ねこの庭』
夕方までは子どもたち向けにお菓子を配ったり、小さな温室カフェ『Oz』で通常営業をしたり。
観葉植物で溢れる温室内は、南瓜や蝙蝠やお化けなどの飾りに溢れています。
ハロウィン特別メニューなども用意されているようです。
夕方からは、『ねこの庭ハロウィンパーティ』と称して、夕空の下での仮装パーティが執り行われます。
温室カフェの端に小さな特別衣装室も用意されているので、そこで着替えたりもできます。
貸衣装もあります。
夕空演奏会や植物園と温室を利用したおばけ探しゲームが計画されています。
※おばけ探しゲーム
植物園や温室のあちこちに隠された南瓜おばけや蝙蝠おばけモチーフの小さな陶器人形を探してください。
参加される方は、コメント欄に書き込み(「おばけ探ししまーす」とか)をお願いします。
書き込み欄の端に表記されるサイコロの右の目(こちら→側の目)によって、景品が決まります。
〈おばけ探しゲーム景品〉
〇南瓜賞 1~2……『ねこの庭』特製ハーブクッキー詰め合わせ
〇蝙蝠賞 3~4……『ねこ温泉郷ご招待券』(と、こどものへたくそな字で書かれた謎の『招待券』)
〇ねこ賞 5~6……寝島温泉の宿泊券
衣装・小道具の貸し出しもありますので、ハロウィンデイズの最終日をのんびり和気藹々とお楽しみください。
仮装しての給仕や音楽演奏のバイト等も可能です。
・登場NPC
七夜 あおい
夕方から開催されるお茶会に、蝙蝠の翼と仮面な仮装で訪れています。
お菓子を摘まんだりお茶を嗜んだり、音楽を楽しんだりとのんびり過ごしているようです。
【2】寝子島イリュージョンランド
廃墟遊園地でのサバイバルゲームが企画されています。
ゾンビ組と盛装組に別れての模擬戦闘。ゾンビは素手ですが、盛装組は趣向を凝らした武器
(ペイント弾入りのライフルや触れると塗料が飛び出し相手に付着する仕込み杖やナイフ等)
の使用が許可されています。
用意して持ち込んだものの他にも、遊園地のあちらこちらに武器が隠されています。
ゾンビたちの頭と胴と両足の四ヵ所に的が描かれており、一ヵ所ヒットする度に五秒動きを止めます。
四ヵ所ヒットするとその場に倒れて一分間のタイムロスとなります。
有志がたくさんいるのでわらわら出てきます。わらわら。
盛装側は用意したり現場で手に入れたりした武器で戦います。
遊園地の敷地内であれば、ミラーメイズやお化け屋敷など、どこでも逃げ隠れ可能です。
わらわらぞろぞろ出て来るゾンビたちに囲まれずに二時間逃げ延びてください。
ゾンビたちに囲まれ『食べられた』場合は、敷地の一角に用意された牢屋(プレハブ)に入れられます。
休憩所も兼ねているので、お菓子やお茶が用意されていたりもします。
また、園内あちこちに仕込まれたカメラを通して仲間の奮闘を観戦したり、
ゾンビとしての復活し元仲間な盛装組と戦うことも可能です。
盛装組でもゾンビ組でも、どちらでも参加可能です。
キャットロードの貸衣装屋が協賛しているため、B級品や訳あり品を激安価格で購入することができます。
黄色い鳥のコスプレをした店員が遊園地入り口で屋台を開いています。
お任せ衣装なども出来ますので、衣装に悩んだ方はよろしければこちらにどうぞ。
・登場NPC
野々 ののこ
南瓜パンツな王子様の格好で、短剣を手に歓声じみた悲鳴をあげてあちこち駆け回っています。
戦わず時間いっぱいまで逃げ回る作戦のようです。
【3】寝子温泉
寝子温泉の協力のもと、『寝子島ハロウィン☆デイズ! ~和風ハロウィン~』と称した
イベントが開催されています。
お化け提灯が掲げられた土産物屋に和装お化けな格好で入り、『お菓子か悪戯か』的な台詞を言うと、
最中やお饅頭などの和菓子がもらえます。
たくさんのお菓子を貰ったら、ハロウィンパーティならぬ『おばけうたげ』が行われている
寝子温泉の一角に向かってみてもいいかもしれません。
寝子温泉のとある旅館の駐車場を利用した『おばけうたげ』では、
『百鬼夜行』と称した温泉街を巡るパレードや、特設舞台での仮装コンテストな『化け比べ』が催されています。
『化け比べ』では、仮装に応じた台詞を言ってみたり、
ちょっとした劇を演じてみたりすると楽しいかもしれません。
優勝者及び準優勝者には寝子温泉宿泊券が進呈されます。
・登場NPC
相原 まゆ
座敷童に扮して、仮装コンテストに出てみたり仮装行列に混ざってみたりと楽しんでいるようです。
【4】寝子ヶ浜海岸
テオのろっこん『かみさまクリエイション』によって別世界化しています。
一見フツウの寝子ヶ浜海岸にも見えますが、よくよく見ると砂がお砂糖だったり南瓜おばけな飴玉だったり、
流木がチョコレートだったりなお菓子な世界です。
そこに君臨するは元は悪魔でありながら、神魂の影響を受けて全身お菓子になった竜。
「トリックー!」と鳴きながら海岸で暴れまわっています。放っておけば寝子島にも影響を与えてしまいかねません。
テオが言うには、やっつける方法はただひとつ。
「食え」
だそうです。
※テオの声を聞いたことにしても、偶然お菓子竜に出くわしてなんとなく事態を把握したことにしても、
きっかけはなんでも大丈夫です。
竜のお菓子を食べても体には何の影響もありません。竜を形作っているのは普通のとっても美味しいお菓子です。
食べると小さくなります。食べ過ぎるとなくなります。
ただし元火焔竜なのでちょっと暴れます。火炎放射ならぬ金平糖放射をしたり、チョコレートの爪で薙ぎ払ってきたり。
飴コーティングな鱗やトゲトゲ砂糖菓子な尻尾は結構硬めです。
お菓子な世界のためか、ハロウィン衣装に勝手に変身しちゃっていたり、
その格好に応じた不思議な力が使えるようになっていたりもするようです。
たとえば魔法少女であればキラッキラなレーザーが撃てたり、狼男であれば普段の何倍もの剛腕が振るえたり。
・登場NPC
マンボウくん
お散歩中にお菓子な竜と遭遇し、戦闘(?)の邪魔にならない海岸の端っこの方で気絶しています。
【5】その他
友達と集まってパジャマパーティなハロウィンパーティをしてみたり、
あちこちの商店街ハロウィンデイズ協賛店巡りをしてみたりとかも楽しそうです。
ハロウィンに関することでしたらどんなことでもどうぞ。
XキャラやNPCについて
このシナリオでは、Xキャラの描写も可能です。
もし登場をご希望の場合は、【Xキャラの名前】【一人称】【口調】【PCとの関係】などを
記して頂けますと助かります。
NPCは、特定のマスターが担当しておらず、その場にすることが不自然ではない登録NPCであれば登場が可能です。
あと、阿瀬が担当している未登録NPCの登場は可能です。
それではっ、今年の寝子島☆ハロウィンデイズもはりきってまいりましょうー!