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寝子島ハロウィン☆デイズ!《寝子暦1370年版》
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竜の身体が傾ぐ。
「あら」
手にしていた鱗のパイをさくさくと口に運び、紫苑は片手に持った大鎌をふわりと振り上げる。宙を掻くチョコレートの爪を翼を羽ばたかせて優雅に回避し、竜の頭部目がけて大鎌を振り下ろす。
身体はあちらこちらとあらかた味わって、残るは頭部のみ。
「どんな味がするのか、楽しみですね♪」
鼻歌まじりに巨大な鎌を軽々振るう。キワドイ衣装のキワドイ部分がキワドク翻ろうが食い込もうがずれようがお構いなしに竜の頸を大鎌の刃で切り裂く。
「トリック!」
「……あら」
首を半分断たれながらもガチンと牙をかみ合わせる竜の生命力に目を丸め、ついでにヒップに食い込んだショーツを直し、紫苑はもう一度、微塵の容赦もなく大鎌を振るい直した。
ずしん、今度こそ竜の頭が落ちる。それでもトリックトリックと泣き喚く竜の頭の前、
「アナタ、いいハロウィンモンスターデース」
アカリがぱたぱたと軽い足取りで近づき、齧られ剥がされまくった頭部をさすさす触る。ろっこん『元気になぁれ』を無意識に発動させつつ、ふと目にとまった美味しそうな目玉キャンディをむしり取ってもぐもぐ食べる。
「美味しいデース、アカリはアナタのこと大好きデース」
「トリーック……」
断末魔まで神魂の影響を受け続ける竜のチョコレートの鼻先に、アカリはチュッとキスをする。そうしてニッコリ、可愛く笑う。
「来年のハロウィンも絶対遊びに来て美味しい物食べさせてくだサーイ」
キスのついでにパキリとかじり取ったチョコをもぐもぐするアカリの隣では、魔法少女な遠海が力尽きた竜の牙を魔法のステッキで力任せに叩き折っている。
「斃した竜はおいしく頂かなくちゃね」
氷砂糖じみた牙を両手に拾い上げ、ガリガリもぐもぐ。
「あとはひたすらトリートタイム!」
頭部を失くして尚じたばたと足掻く手足を一本ずつ丁寧に解体しながら、夏朝が七本尻尾を気合十分に膨らませる。
「ひとかけらも残さず食べるよ」
皆が食べきれないなら僕が頑張る、と眦を決する娘の背中を、
「皆で食べましょう」
理沙が優しくぽんぽんと叩いた。
「そうだね……うん、ハロウィンだものね」
こくりと頷く夏朝の頭を撫でて、そうしてから、
「夏朝ちゃんも冬夜君も、旦那様も……」
ぐるり、砂浜でお菓子の竜と戦った人々に優しいお母さんの眼差しを向ける。
「皆、頑張ったわね~!」
「お疲れさまです~」
「食べるにゃー!」
執事姿の幸次がのんびりと手を振って応じる隣では、黒猫お嬢様が口の周りを砂糖やチョコレート塗れにして竜を食べ進めている。
「ああっ、お嬢様、お口がっ……」
「にゃー!」
賑やかで楽しそうな人々を微笑まし気に見ていた理沙の瞳は、狼男な久隆の胡坐の脚の間にちょこんと座って顔ほどもある大きなクッキーを両手で持ってもぐもぐ食べる冬夜を見た途端にどうしようもなく柔らかくなる。
(冬夜君、おいしく食べてるみたいで嬉しいわ)
でも後で歯磨きが必要ね、とちょっとだけ心配そうな顔もする理沙を、久隆は手招きする。みんなで並んで座り、夏朝が倒れた竜からせっせと剥いできたお菓子をみんなで食べる。
目の前に山盛りになるお菓子を一眺めし、久隆は唇を引き結ぶ。普段は妻の手作り品やお祝いの時以外は甘い物はあまり好んで食べないが、今回ばかりは多めに食べるべきだろう。
「おとーさん」
「ああ、ありがとう」
足の間に座った冬夜が半分こしようと差し出して来たクッキーを受け取り、久隆は相好を崩す。
(……冬夜も喜んでいるのだ、格好悪い所は見せられんな)
なんといっても、『おとーさん』なのだから。
苺の香のする飴でできた翼にチョコレートのついたクッキー、両手に余る大きさのマシュマロに、それから、逆鱗かどうかは分からないまでもまん丸なクッキーの鱗。お菓子の竜から剥ぎ取ったたくさんの戦利品をあみぐるみたちと手分けして運んでくる拓郎のもと、
「おかえりー!」
彩葉は砂糖の砂に足を取られながら駆け寄る。
「これ、きれいにとれた……!」
褒めて欲しい犬じみて得意顔ですごく褒めて欲しそうな目で、まん丸クッキーの鱗を掲げてみせる拓郎に立ち、彩葉は手を伸ばし背伸びする。よしよしと黒髪の頭を撫でてやる。
「きれいだねー。ありがとう、拓郎」
フランケンシュタインな拓郎のお尻にぶんぶんと振り回される尻尾が見えるのは、
(気のせいかな?)
お菓子の山を前に、砂浜に横たわるデッカイお菓子の竜を背景に、ふたりは並んで座る。
褒めてもらえてほっこり嬉しい胸を一撫でして、拓郎はジャケットのポケットからあみぐるみの熊を取り出した。
「……このあみぐるみたちにも、すごく助けられた」
「頑張ってくれたんだね」
拓郎から受け取った熊の頭を、彩葉がありがとうの気持ちを込めて撫でていると、お菓子の山のてっぺんでバンザイをしていた犬と猫のあみぐるみたちも転がるように彩葉の膝元にやってきた。撫でて撫でてと頭を差し出す犬と猫の頭も順繰りに撫でてやって、
「……さて」
「うん、……さて」
ふたりは山積みなお菓子を前に声を揃える。
「いただきます!」
みんなで食べても食べても、どれだけもぐもぐしても、お菓子の竜はなくならなかった。
「ひとかけらも残せないのに……!」
「ゼロにお任せなのですー」
頑張って食べ続けようとする夏朝の肩をぽんと叩いたのは、純白のワンピースに銀糸の髪の少女。
「ゼロは魔法少女なのですー」
だから、とゼロが手にしたステッキをひとふりふたふりした途端、ゼロの小さな体をキラキラな衣装がふわりと包んだ。それと同時、ゼロはどんどん大きくなり始める。屈強な狼男よりもフランケンシュタインよりも、竜の身体よりも、もっともっと、どんどんぐんぐん大きくでっかく。
「ひとくちなのですー」
大きくでっかくなったゼロは可愛く言うなり、竜の頭と体を白い指先でちょんとつまんで掌に乗せた。呆然と見守る人々の視線の中、でっかいはずのお菓子の竜をひとくちでぱくり。
「美味しいのですー」
ほわほわと笑うゼロの身体がするすると元の大きさに戻ると同時、分厚い雲に覆われていた空に光が差し始めた。
「……元の世界に戻れるんですよね?」
「この不思議な夢ともお別れですね」
元凶が取り除かれ、元の寝子島に戻りつつある世界で、時子は黒い睫毛を上下させる。いつも通りに感情の乗らない声でぼそぼそと喋る尚輝先生を真直ぐに見つめる。
「元の世界でも先生に会いたいです」
甘いお菓子で甘くなった唇を抑え、尚輝先生はほんの少し困ったように微笑んだ。
「いつもの場所でコーヒーを淹れて待っています」
「はい、尚輝先生」
すべてがお菓子で出来た世界が元のかたちを取り戻しつつある世界の中、久隆の膝の上に座っていた冬夜がぴょこんと立ち上がった。ふわり、小さな体が宙に浮かび上がる。
「冬夜……」
別れの時間が迫っていることを悟り、久隆は努めて笑ってみせる。少し名残惜しくはあるが、きっとまた共に過ごせると信じて。
狼男のけむくじゃらな手から元の姿に戻ろうとしている手で、久隆は冬夜の小さな手を包み込む。ポケットを探ればきちんと入っていたハロウィン用のお菓子を握らせる。
「また、な」
「うん、おとーさん」
「はい、お菓子だよ」
「ありがと、おねーちゃん」
竜から剥ぎ取ったものではない、元から用意していたラムネを弟に手渡し、夏朝も笑う。
「一緒にハロウィン過ごせて、嬉しい!」
「とーやも!」
世界でフツウに戻れば、冬夜の姿は見えなくなってしまう。それでも、この寝子島に居ればきっとまた会えると心から信じて、夏朝は手を振る。
「冬夜君……それじゃまた、ね!」
「また会いましょうね」
手作りのクッキーを冬夜に持たせてから、理沙はほんのちょっぴり心配そうな顔をする。
「忘れずに歯磨きしてね~!」
「はーい!」
ひらりと手を振り、ふわふわと浮かび上がって行く冬夜の姿が、雲間から差し込む太陽の光に透けて消えて行く。
大切な家族の一人を見送って、七尾猫又の姿から元の姿に戻って、それでも夏朝は晴れ渡ってゆく空を仰ぎ続ける。姿は見えなくても、冬夜はきっときっと、傍にいる。
「トリック・オア・トリート!」
明るい声で言えば、傍らに笑ったいつもの姿の久隆と理沙が、冬夜に渡したものと同じお菓子を手渡してくれた。
「ごちそうさまでしたー!」
元の砂浜に戻った寝子ヶ浜海岸の片隅で、瑠樹は海に向けて元気に挨拶をする。
「そうだ、マンボウくん!」
背中に庇い続けていたマンボウくんを振り返ると、いつのまにか居たゼロがマンボウくんをなでなでして介抱していた。
「マンボウさん、気絶してるのですー」
「起こそう!」
「なのですー」
ふたりは顔を合わせて頷きあい、よいしょよいしょとマンボウくんの大きな体を揺する。
「マンボウくん、もう大丈夫だよぉ」
「起きてくださいなのですー」
「ううん、……ん?」
何もかもが終わってからようやく目を開いたマンボウくんが見たのは、長い銀の髪に白いワンピース姿のおばけのような女の子と、月から紛れて来たような長いウサギ耳の男の子。おはようと笑う、ハロウィンのちっちゃな怪物たち。
「トリック・オア・トリート!」
「なのですー」
そのふたりに声を揃えて言われ、マンボウくんはまたきゅうと目を回して気絶した。
「ああっ、もう気絶しなくても大丈夫だよぉー!?」
「なのですー」
秋の日差しの注ぐハロウィン・デイズの最終日の海岸に、瑠樹とゼロの声がのんびりと響いてゆく──
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
ハロウィン・デイズ最終日の一幕、お届けにあがりました。
色んなハロウィンを描くことができまして、みなさまと一緒にハロウィンを楽しむことができまして、とてもしあわせでした!
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加くださいまして、お読みくださいまして、ありがとうございました!
またいつか、お会いできますことを楽しみにしております。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
55人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年09月28日
参加申し込みの期限
2019年10月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月05日 11時00分
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